“経営のカリスマ”小山昇氏の最新刊『【決定版】朝一番の掃除で、あなたの会社が儲かる!』でも取り上げられた、「滋賀ダイハツ販売」。小山氏の指導500社で初めて「日本経営品質賞」を受賞した。だが、その裏には2度の失敗があった。
日本で初めて「日本経営品質賞」を2度受賞、12年連続増収増益中の株式会社武蔵野社長でありながら、指導500社中100社が「過去最高益」、13年連続「倒産企業ゼロ」という小山氏と、滋賀ダイハツ販売社長・後藤敬一氏の初対談から、組織活性化のヒントを探ろう。

指導500社で初受賞の舞台裏

【第7回】<br />指導500社で初!2度の落選にめげずに<br />2013年度「日本経営品質賞」を初受賞した<br />「滋賀ダイハツ販売」の秘密小山 昇(こやま・のぼる)
株式会社武蔵野代表取締役社長。1948年生まれ。12年連続増収増益、日本で初めて「日本経営品質賞」を二度受賞(2000年度、2010年度)。「指導500社中100社が過去最高益」「13年連続倒産企業ゼロ」を達成。全国各地で年間240回の講演・セミナーを開催。現場の叡智が詰まった内容は、全国各地から「今日から仕事に役立つ」と現場見学会参加者があとをたたない。机上の空論は一切なし!実務中心の内容が口コミを呼んでいる。

 ……「滋賀ダイハツ販売株式会社」(自動車販売/後藤敬一社長/本社:滋賀県栗東市)は、ダイハツ車の販売、およびアフターサービスをするカーディーラーです。2014年1月には、「全国ダイハツ販売会社代表者および部門長会議」において、販売会社の最高峰の次点である「準総合表彰」を受賞。そのほか、「CS(お客様満足度)優秀賞」、「新車連続目標達成賞」を受賞しています。そして、なんといっても特記すべきは、2013年度「日本経営品質賞(大規模部門)」を受賞したことでしょう。これまで、小山社長が指導された500社超の中では「初」ですよね?

小山 そうです。滋賀ダイハツ販売は、私が指導する500社超の会社で、初めて「日本経営品質賞」を受賞した超優良企業です。

 ……小山社長から見て、滋賀ダイハツの後藤敬一社長は、どんな方ですか?

小山 滋賀ダイハツ販売は、2011年と2012年にも「日本経営品質賞」に応募し、このときは残念ながら、落選しています。箸にも棒にもかからず、審査員から、ケチョンケチョンに酷評されたそうです(笑)。それなのに、3度目の挑戦をして、見事に受賞。後藤社長は、一見すると穏やかですが、じつは、かなりしつこい(笑)。もちろん、いい意味で、です。

【第7回】<br />指導500社で初!2度の落選にめげずに<br />2013年度「日本経営品質賞」を初受賞した<br />「滋賀ダイハツ販売」の秘密後藤敬一(ごとう・けいいち)
滋賀ダイハツ販売株式会社社長。1958年大阪生まれ。静岡大学卒。1984年、滋賀ダイハツ販売に入社。1994年社長に就任。ダイハツ車全車種の販売と中古車の販売などを行う。1970年以降、県下トップの販売台数を誇り、1988年には県下で初めて新車の販売台数1万台突破。 2013年度「日本経営品質賞(大規模部門)」受賞。社内に「滋賀掃除に学ぶ会」の事務局を設置し、独特の掃除方法による自分磨きを実践中。【滋賀ダイハツ販売株式会社HPはこちら】

 ……後藤社長にお聞きしたいのですが、2度も落選すると、「もう、あきらめよう」という気になってもおかしくないと思うのですが……。

後藤 当社の幹部社員からは、「再チャレンジするにせよ、何年か間をあけて、もう一度勉強をしてからでもいいのではないか」という声が出たんですね。でも、私の答えは「やる」でした。ここであきらめたら、また一からやり直すことになってしまいますし、せっかくいいところまできているのだから、その流れでもう一年やってみようと思いまして……。

「展示車の向きを変えてはどうか」

 ……では、小山社長は、滋賀ダイハツ販売をどんな会社だと見ていますか?

小山 私は、2011年10月に、滋賀ダイハツ販売の栗東店を見学したことがあります。このとき、すべての展示車が国道を向いていたのですが、私が「ショールームのお客様からも目にしてもらえるように、展示車の向きを変えてはどうか」と指摘をすると、すぐに対応して、国道向きとショールーム向きの“互い違い”に展示し直したんです。これは朝一番の掃除(=環境整備)の「整頓」の一つです。非常に、改善意識の高い会社ですね。また、社長と社員の価値観が一致しているので、会社が強かです。400名を超えるスタッフが、「日本経営品質賞に3度目のチャレンジをする」という社長の決定に従うことができたのは、環境整備によって『みんなの心が一つにそろっていた』ことも大きな要因でしょう。

 ……環境整備を導入するにあたって、社員から「掃除をするのは面倒くさい」といった反対意見は出なかったのですか?

後藤 当社は、環境整備を始める前から、「滋賀掃除に学ぶ会」(掃除を通して心を磨く会)の事務局を務めていましたから、掃除に対する抵抗感はそれほどなかったと思います。

小山 多くの会社は、賞与と連動させるなどして、強制力を行使しなければ、環境整備は定着しません。でも、滋賀ダイハツ販売は違いますね。自発的に掃除をする文化が根づいていた。だから、環境整備定着プログラム(環境整備のやり方を教える研修制度)の進捗も早かったのです。