趣味で約200人という大所帯のサンバチームの運営に関わっています。月1回、土曜の朝9時から集まって練習をするんですが、メンバーは全員社会人。もちろん、みんな月曜から金曜まで仕事をしている人ばかりですが、これが結構集まるんです。そこで見つけた法則なんですが、寝坊もせず、朝から元気に参加している人ほど仕事もデキる、というもの。サンバ以外にも、某住宅系メガサイトの編集長はフラダンスの達人だし、某新聞社の関連会社で広報部長を務める女性は週末になると車のレースにドライバーとして参加。みんな超ウルトラ級に忙しい人ばかりだというのに、きちんと時間を捻出しています。遊ぶときはとことん遊び、仕事をするときは集中して仕事をする。結局、仕事がデキる人というのは、何でも楽しめる天才なんですね。

 とかなんとかいいながら、私も20代後半の頃は、友人から飲みに誘われても直前になってドタキャン、なんてことをしょっちゅうしていました。でも、そんなことを続けていたら、友達はいなくなるし、企画勝負の仕事なのに、肝心のアイデアが浮かばなくなってしまいました。インプットせずにアウトプットし続けたせいで、ネタの引き出しが空っぽになってしまったんですね。

 それに気づいてからです。遊びの時間を大切にし始めたのは。すると、机の前で仕事をしているときよりも、いい映画を観たり、友人と美味しいご飯を食べているときのほうがいいアイデアが浮かぶことを知りました。それに、仕事を離れて、ミュージカルでも演劇でも、どっぷりとその世界に浸ることでリセットでき、感動は心を元気にしてくれます。きちんと遊ぶ時間を持っているほうが、精神的なバランスも取れて仕事もうまくいくんですね。

趣味の世界を極めて出会える新たな自分

 でも、せっかくなら、仕事でもなく、素の自分でもない、第三の自分という存在に出会ってみませんか? それは趣味の世界を極めてみることで出会える新たな自分です。というのも、仕事と趣味とでは、使う脳の領域が違うようで、仕事以外に目標ができると、息抜きに映画を観たり、スポーツ観戦をする、なんていうのとは比べものにならないほど、リフレッシュできるんです。私の場合は、年に1度の浅草サンバカーニバル優勝に向け、チーム一丸となって1年間駆け抜ける私が第三の顔。習い始めたクラシックギターで1曲弾けるようになって発表会で披露する、水泳を始めた人なら、来年の遠泳大会に挑戦する、ビーズを使ったアクセサリー作りが得意なら、作品をフリーマーケットに出してみる、など、目標設定はあなた次第です。

 趣味の世界を極めることでリフレッシュでき、それが仕事にも役立つだけでなく、趣味の世界でハッピーキャリアをつかむ人もいます。以前取材した女性ですが、数年前まで仕事にマンネリ感を覚えていたそうです。そんな変わりばえのしない日々から脱出しようと、会社帰りにほぼ毎日のように様々なお稽古事に通っていました。どのお稽古事にも真剣に取り組んでいましたが、実は仕事帰りにお稽古事にいくまでの時間を過ごすカフェに彼女の天職との出合いはありました。顔見知りになった店員さんと交わす何気ない会話に元気をもらっていたことに気づき、暖かい飲み物と交流で人を元気にできる「カフェ店長」という新たな目標を見つけたのでした。

 あなたの第三の顔は何ですか? お子さんのいらっしゃる方なら「母の顔」という方もいるかもしれませんね。仕事も趣味も「とことん楽しむ」のが、この法則の条件です。そんな人のところに運命のきっかけはやってきます。