計画の立案に続き、ステップ4は「計画の実行」。PDCAのDo、つまり実際の業務を通しての指導となります。どのように仕事を任せるか。そのさなかは、いかなるスタンスと姿勢をとるか。いくつかのシーンと、それに対する「ベストプラクティス=望ましい行動」を示します。(構成:ダイヤモンド社人材開発編集部 間杉俊彦)

シーン1
日々の行動を観察できていない

Nさんは昨年、課長代理に昇格した営業マン。典型的なプレーイング・マネジャーで、毎日、朝から夕方まで客先を訪問する。Nさんの下には部下が2人。ひとりは新卒新入社員Sくんで、部長からはしっかり指導するように言われている。

 同行営業をするときはいいのだが、必ずしも、そうはいかず、Sくんの行動を把握しきれないでいた。

ベストプラクティス1
「私はつねにあなたのことを見守っている」というサインを部下に送る

 自身の業務が忙しいことを理由に、部下と向き合うことをさぼらないことが大事です。

 ОJTが上司に課せられた重要な業務であることを再確認しましょう。

 育て上手のトレーナーは、トレーニーと頻繁にコミュニケーションすることを心掛け、「手をかける」よりも「目をかける」、「教えさとす」よりも「聴く」を重視する傾向があります。

 その意味で、常に部下の行動を見守る姿勢が大切です。仮に、忙しくて部下を直接指導できない時でも、「私は常にあなたのことを見守っている」というサインを部下に送ることはできます。この「見守り」サインを感じることができれば、それだけで部下は心理的に安心します。

 逆に、そうしたサインがなければ、部下は「自分は放置されている」と感じ、孤立するおそれがあります。

「見守りサイン」には、以下のようなものがあります。

・視線を送る
・声かけする
・日報のフィードバックを必ず行う
・メモを残す、メールする
・他のメンバーに指導をお願いする(間接的に「見守り」サインを送る)

 この中で、育て上手のマネジャーがほぼ100%実行しているのが「声かけ」です。行動を把握しきれない営業部門などでも、声かけが見守りのサインとなります。