「正しい敬語」より「現場で使える敬語」、「失敗しない話し方」より「人に好かれる話し方」をコンセプトとした書籍『接客・商談の一流プロに学ぶ! お客様の心を動かす敬語と話し方』。同書のエッセンスをまとめた連載の第2回です。今回は、会話における「笑顔」の効用と一人称の使い方について説明します。

会話における
最高の武器は「笑顔」

美しい敬語が<br />簡単に使いこなせる秘密戸田 覚(とだ・さとる)
1963年東京生まれ。ビジネス書作家、コンサルタント。株式会社アバンギャルド、株式会社戸田覚事務所代表取締役。ハイテク、パソコン、成功する営業のコツ、新商品開発、新事業開発といったテーマを中心に、執筆、出版プロデュース、講演、コンサルティングに携わる。ビジネス誌、パソコン誌、情報関連雑誌をはじめとして多数の連載を抱える。著書に『新 あのヒット商品のナマ企画書が見たい!』『プレゼンの極意を盗め!』(以上、ダイヤモンド社)、『すごい人のすごい企画書』(PHP研究所)、『仕事で使える!クラウド超入門』(青春出版社)など多数がある。
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『接客・商談の一流プロに学ぶ! お客様の心を動かす敬語と話し方』で取材したプロフェッショナルの皆さんは、実に美しい敬語を使っていて、当たり前だが深く感心させられた。

 そもそも本書は、文法的に正しい敬語よりもビジネス現場でリアルに使われている言葉、しかも、聞き手に心地よい話し方を探そうというところから企画が始まった。

 文法的に完璧な敬語を使っても、場面や相手によっては慇懃無礼に感じられてしまうケースも少なくない。接客プロの皆さんは、それぞれの立場やポスト、顧客との距離感をきちんと把握して、素敵な敬語を操っている。話し方も素晴らしく、思わず引き込まれてしまう人物ばかりだ。

 言うまでもないが、敬語や話し方を気にする前に最も大切なのは心の持ちようだ。たとえば、高いスキルを持ったテレフォンオペレーターの方は、相手から見えないにもかかわらず笑顔で話している。笑顔になるだけで、気分や話し方も変わってくるのだろう。それが電話越しで相手にも伝わるのだ。

 このように、相手の目を見て(電話なら相手の表情を想像して)笑顔で会話をするのがコミュニケーションの基本中の基本だ(とはいえ、お詫びの際には、もちろん笑顔はNG。真摯な表情になれば、話し方も変わってくる)。

 素敵な話し方をする上で、この「笑顔作戦」は重要な武器になる。たとえあらゆる話し方を学んだとしても、いきなり話術の達人になれるものではない。まずは、素敵な笑顔で話すことから始めるのが正解だ。