ゼネラル・エレクトリック(GE)が、金融事業部門のGEキャピタルを売却することを決定し、製造業への回帰を図るという。

 GEキャピタルは、1980年代以来GEが拡張してきた事業で、一時は製造業からスタートした同社の現代的な収益基盤として注目を集めていた。だが、同部門は2008年の金融危機で同社を危機に陥れ、それ以来も株価を押し下げる悩みの種になっていた。

 GEの製造業部門は、しばらくそのGEキャピタルの華々しさの影に隠れ、最近は逆にその重荷のせいでやはり確固とした存在感が打ち出せないものだった。だが製造業部門は、そもそもGE 全体の利益の60%弱を生み出している核たる事業。金融事業からの離脱によって、2018年にはさらに90%まで拡大する計画だとCEOのジェフ・イメルト氏は明らかにしている。

 この発表を歓迎して、同社株は久しぶりに大きく上昇したものの、製造業部門の本当の実力はまだわからないとする見方が大半を占めている。

 GEの製造業部門は、石油および天然ガス設備、航空機エンジン、パワー・タービン、医療機器などの事業から成り立っている。そのうち、石油および天然ガス設備は、原油価格の下降で売上が落ちているところだ。直近の四半期業績では、航空機エンジン、医療機器も売上を縮め、ドル高の影響もあって、製造業部門全体は前年度比で売上を1%縮小させている。本来のルーツである製造業だけに戻るというには、今ひとつ勢いに欠けているというわけだ。

「楽観」「悲観」に見方が分かれる

 GE製造業部門の展望については、見通し不明論と楽観論の両方が見られる。

 見通し不明論者が心配しているのは、製造業部門でも企業の買収や事業の売却などが続き、ポートフォリオが断続的に変化していること。同社は現在、フランスの重工業大手アルストムの大部分を130億ドルで買収するプロセスにあるが、これは丸ごとの買収ではなく、合弁会社設立も含む複雑なものになっている。

 一方で、プラスティック事業や家電事業は売却。これらも含め、同社の2001年の売上の60%は、もはや同社が所有しない事業から上がっていたといい、事業ポートフォリオの入れ替わりが激しいことが伺える。