6月から上場企業の企業統治の指針として5章の基本原則、30条の原則、38項の補充原則から成る「コーポレートガバナンス・コード」が適用される。これに伴い東京証券取引所の有価証券上場規定が改正され、上場会社は株主総会から半年以内に(来年度からは遅滞なく)「コーポレートガバナンス報告書」を取引所に提出しなければならないこととなった。

 上場企業が喫緊に直面する課題としては(1)独立社外取締役を2人以上選任しない場合の説明義務、(2)政策保有株式に関する情報開示、(3)収益計画や資本政策に関する説明の充実、(4)株主との対話促進が挙げられる。

 政策保有株式の項目は「物言わぬ株主」として日本企業のコーポレートガバナンスを妨げてきた象徴と目されることの多い銀行に対し、政策保有株式の売却を促すとして投資家の注目度が高い。

 これまでも政策保有株式については内閣府令により銘柄、株式数、保有目的、貸借対照表計上額が開示されてきた。目的については、「長期的な取引関係の維持・強化」と説明されることが多かった。

 しかし、今回、報告書では政策保有の方針、政策保有株式の経済合理性や将来の見通し、政策保有株式に係る議決権行使の基準まで開示を求められる。上場企業が純投資以外の理由で株式を保有する場合、投資家の厳しいチェックが働くようになるであろう。