マイホーム取得が人生の「大きな目標」であった時代は遠く過ぎ、最近では人生の段階(ライフステージ)ごとに、自分たちが暮らしやすい住宅を選択する人が増えてきている。理由は少子高齢化に加え、晩婚化、未婚率の増加など。さまざまな背景が重なり合い、求める住まい像が、人により大きく違ってきているからだ。

ファミリー層は減少
一人暮らしが増加

 ハウスメーカーや分譲マンションのコマーシャルを見ると、幸せそうな子育て家族の様子を前面に打ち出し、「マイホームを得る喜び」を表現しているものが多いが、実際のところどうなのだろうか。

 日本の人口はすでに2010年の1億2555万人から毎年減少し続けている。しかし、世帯数は逆に増加し続けている。

 人口減少局面なのに世帯数が増加するのは、世帯の規模が小さくなっているから。

 20年前には、夫婦と子から成る「子育てファミリー」がトップシェアを占めていたが、今では一人暮らしのシングル層がトップ。今後20年にわたりシングル層は増え続け、やがて4割近くになる見込みだ。

 いまやマイホーム=ファミリー向けとは限らなくなってきた。

 さらに一人の人生の中でも、独身、新婚、子育て、子離れ(シニア夫婦)、高齢単身者……といった、ライフステージのバランス自体が変わってきている。それに伴い、住まい選びがどう変化しているのか。次ページ以降でじっくり考察してみたい。