「あれも大事、これも大事」と悩むのではなく、「何が本質なのか?」を考え抜く。そして、本当に大切な1%に100%集中する。シンプルに考えなければ、何も成し遂げることはできない――。LINE(株)CEO退任後、ゼロから新事業「C CHANNEL」を立ち上げた森川亮氏は、何を考え、何をしてきたのか?本連載では、待望の初著作『シンプルに考える』(ダイヤモンド社)から、森川氏の仕事術のエッセンスをご紹介します。

会社は学校ではない

LINE(株)CEOを退任した森川亮氏が明かす!<br />社員が「教育」を求めるのは”受け身”の証拠

 会社は学校ではない──。

 当たり前のことです。

 会社は仕事をする場所であって、教育機関ではありません。
 だから、LINE株式会社では教育・研修などは行っていません。入社面接で、「どのような研修制度がありますか?」などと質問をされると、「この人は大丈夫かな?」と不安になったものです。

 実は、以前、NHN Japan株式会社で教育研修制度を設けていた時期がありました。社員のスキル向上のために、非常に充実したプログラムを用意したのです。

 ところが、すぐにバカバカしいことに気づきました。
 というのは、やる気のある社員は来るけれど、やる気のない社員は来なかったからです。「せっかくやっているのだから……」と、やる気のない人を無理やり参加させても成果は上がりません。身が入ってないのだから当然です。

 逆に、やる気のある人は、自分に必要だと思えば、勝手に勉強を始めます。上司に聞いたり、本を読んだり、学校に通ったり……。だったら、そのような自発的な学習を、会社が資金面でサポートしたほうがいい。そう結論づけたのです。

 そもそも、僕は「教育」という言葉があまり好きではありません。
 なぜなら、「教育を受ける」というように、そこにあるのは「受け身」の姿勢だからです。もちろん、子どものころは生きていくうえで最低限必要な知識や教養を教育される必要があるでしょう。

 しかし、社会人になってから「教育を受ける」という意識でいることが理解できない。会社に入るのは、その会社で何か実現したいことがあるからです。僕たちは、その「想い」に共感できる人だけを採用してきたつもりです。だから、「勉強したい」「成長したい」「学びたい」という主体性があるのが当たり前。「受け身」でいること自体が不思議なのです。