「あれも大事、これも大事」と悩むのではなく、「何が本質なのか?」を考え抜く。そして、本当に大切な1%に100%集中する。シンプルに考えなければ、何も成し遂げることはできない――。LINE(株)CEO退任後、ゼロから新事業「C CHANNEL」を立ち上げた森川亮氏は、何を考え、何をしてきたのか?本連載では、待望の初著作『シンプルに考える』(ダイヤモンド社)から、森川氏の仕事術のエッセンスをご紹介します。

意思決定の「数」を絞る

LINE(株)CEOを退任した森川亮氏が明かす!<br />「統制」はいらない。現場こそ、最高の意思決定者

  現場がフルスピードで走っている──。
 そのときに、リーダーに求められることは何か?

 的確かつスピーディな意思決定です。リーダーの意思決定が遅ければ、現場は仕事を中断せざるを得ず、不要なフラストレーションをため込んでしまうでしょう。しかも、意思決定が的確でなければ組織全体が「道」を誤ることになります。

 では、的確かつスピーディな意思決定をするには、どうすればいいか?
 僕の答えはシンプルです。「数」を絞ればいいのです。

 僕は、意思決定には二つあると考えています。
 自分で決める。そして、「決める人」を決める。この二つです。

 LINE株式会社にはさまざまな事業領域があります。僕は凡人ですから、そのすべてに精通することなどとてもできません。にもかかわらず、すべての意思決定をしようとすれば、「クオリティ」「スピード」ともに劣化するに決まっています。だから、自分で決めることは最小限に絞り込む。社長にしかできない意思決定に集中するほうがいいと思うのです。

 そして、「決める人」を決める。その事業領域について、僕より強い人に権限を委譲して、すべての意思決定を一任するのです。誰に任せるのか? これこそが、リーダーの最も重要な意思決定だと考えているのです。