パラレルキャリアは、生涯続けることができる

 第1回でお伝えしたとおり、パラレルキャリアとは、本業のほかにもうひとつの世界を持つことであり、P・F・ドラッカーが「社会の進歩で長命になった個人がいきいきと働き続けるための方法」として提案したものです。

 ここで参考になるのは、「キャリアの時間軸を自分で決める」という考え方です。これは千葉登志雄氏が提案したものであり、職業生活の長期化に対応するためには、どのようなキャリアの選択肢があるのかということに関する考え方です。

キャリア時間軸の延長の意味

 では、キャリアの時間軸を自分で決めるとは、どういう意味でしょうか?

 キャリアの時間軸を自分で決めないとは、他の人が決めた基準によって自分の職業生活の終了時点を決めることを意味します。簡単に言えば、会社が60歳定年を定めているから、自分の職業生活の終了時点も60歳と考えるということです。

 これに対し、キャリアの時間軸を自分で決めるとは、会社が定めた定年の年齢には関わりなく、「自分は何歳まで働きたい」と考えることを意味します。会社が定めた定年が60歳だとしても、自分は75歳までは働きたいと考えることこそ、キャリア時間軸の延長なのです。

 実際、千葉氏によれば、キャリア時間軸を自分で決めたいと思う人は、そうでない人に比べ、自己啓発に熱心であるそうです。キャリア時間軸を自分で決めれば、生涯にわたってさまざまなキャリアを選択できる可能性が広がる、と言えるでしょう。