新聞やTVの断片的な情報だけでは、めまぐるしく変わる世界情勢は根本的には理解できない。ニュースの前に、知っておくべき基礎知識というのがある。
私の『アメリカ、ロシア、中国、イスラム圏を知れば、この複雑な世界が手に取るようにわかる』という著書の中で、この「知っておくべき」基礎知識を集めたが、今回は台湾についてざっとおさらいする。

台湾の独立はどうなるか

 日清戦争の末、1895年に台湾は日本に割譲された。そして、日本が1945年に第2次世界大戦で無条件降伏するまでの50年間、台湾は日本の統治下にあった。

 行政、司法、教育などすべての社会システムは日本式で、インフラ整備も日本政府によって行われた。

 第2位次世界大戦後、台湾は中華民国(国民党)に接収されたが、その中華民国は1949年に毛沢東率いる共産党との内戦に敗れた。そのときの国民党のトップである蒋介石は台湾に避難した。

 しかし、台湾は日本が統治する前から中国とは違った文化圏であったので、そのときの国民党は避難というより占領した形となった。中華民国は亡命政権でありながら、台湾という領土を実効支配し続けるという特殊な状況となった。

 戦後50数年間、台湾では国民党政府による強権政治が続いた。言論の自由などは、内省人である李登輝総統が、歴史上初めて選挙で選ばれてから認められたのである。内省人とは台湾生まれの人を指し、大陸から渡ってきた国民党員などの外省人に対する言葉である。

 台湾独立を目指す李登輝前総統によれば、独立派と中国との統合派が3割ずつで、残り4割が態度未定という。

 ちなみに、国民党は「もう中国本土を取り戻すのは難しいから、自治を認めてもらったうえで中国と統合しよう」と思っているが、2014年の「一国二制度」が否定された香港のデモにより、統合についての考えに影響を受けている。