日本株(特に日経平均株価)の先進各国に比べて相対的に割高なバリュエーションは、(1)公的・準公的年金基金のポートフォリオ見直しに伴う国内株式買い入れと(2)円安にけん引された高い利益成長によってもたらされてきた。

 しかし、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)に続いて、運用見直しに着手した3共済も、2016年春先には買い余力が尽きる見込み。今後は株価下落で国内株式の資産配分比率が大幅に低下しない限り、国内株式の買い余力はないと考えるべきだろう。

 日本銀行は年間3兆円(16年4月からは3兆3000億円)のETF(上場投資信託)買い入れを継続する。しかし、日銀は株価の下落時にしか買い入れない。

 ゆうちょ銀行とかんぽ生命保険も有価証券運用において国内株式を増額することを表明している。

 しかし、貯蓄銀行であるゆうちょ銀行が積極的にリスクを取る必要はない。ベンチマークになる資産配分比率がなく、トレーディング収益に依存するのであれば買い一辺倒にはならないはずだ。かんぽ生命保険には国内株式増額を通じて運用収益を改善させる余地がまだあるものの、いつも買い持ち主体というわけではない。16年春以降、公的・準公的マネーに期待はできない。