新年を迎えて「今年こそは人生を変えたい」「夢を実現したい」と思う人は多い。しかし、一体どれだけの人がその実現に向け努力しているだろうか。現役の経営者で陽明学者の加地太祐氏は、「成功するためには、何より実践が大事」と説く。本連載では、そんな加地氏の初の著書成功する人の考え方』(ダイヤモンド社より1月16日に発売)の内容をベースに、これまでの人生を変えて、成功をたぐり寄せるためのポイントをお伝えしていく。どんな人にも無限の可能性が秘められていると思うが、キミは無意識に自分の持てる力を制限していないだろうか?

ノミの曲芸

 読者の皆さんは、蚤の曲芸という話を知っているだろうか。

 蚤は本来、自分のカラダの何百倍も跳躍することが可能だという。蚤はその跳躍力を活かし、様々な動物のカラダへ飛び移り、生きている。

 これは、僕ら人間にも同様のことが言える。人間にも蚤と同じく跳躍力というものがあるのだ。

 過去の失敗や、生まれた境遇を越えて、自分の本来のチカラで跳ぶことができる。

 そんな蚤の跳躍力以上の成功する人を、僕は沢山見てきた。

 この素晴らしい跳躍力を持つ蚤だが、その跳躍力を奪う方法を僕は知っている。

 その方法は蚤に「透明のコップ」を被せるこという簡単な方法だ。

 透明のコップを被せられた蚤は、跳躍のたびに透明のコップの天井に頭をぶつける。

「痛っ!」

 何度も頭をぶつけた蚤は、知らず知らずの内に跳躍を制限するようになり
コップの内側だけでジャンプするようになり始める。

 しばらく時間をおいた後、透明のコップを取ると、蚤はどうなるだろうか?

 蚤はコップが無いのにもかかわらず、本来の跳躍する力を発揮できなくなる。見えないコップに制限された蚤は、自分の本来の能力すら忘れてしまうのだ。

 この話は蚤だけの話ではなく、現代社会の構造とよく似ていると僕は思う。

能力を忘れた者たち

 僕は、どんな人にも無限の可能性が秘められていることを確信している。

 しかし、子どもの頃にあった無限の可能性は「無意味な学歴ピラミッド」で挫折したり、マスコミの誤った価値観によって透明なコップを僕らに被せる。

 東大を頂点とした学歴社会で作られた我々の国では、テストの点数で優劣を競う。この仕組みでは、誰かに優しいことや、思いやりがあり、誠実であることは点数に評価されない。

 また、東大などに行く人達は一部の人間であり、仮に自慢できないような大学や高校だと、どこか「心の中に劣等感」が生まれ、負けたというコンプレックスが生まれる。

 しかし、キミたちも知っての通り、ひとたび社会に出ると、学歴はそこまで重要ではない。学歴が高いからといって、その人が必ずしも仕事で活躍できる訳ではないのだ。

 困っている人を助けたりするという優しさは、とても素晴らしい事だし、思いやりがあることは、人として重要な資質だと言える。

 この連載の読者は、成功する人として生きていく覚悟がある人だと思う。

 ならば、誤った価値観のコップを外して、もう一度自分の可能性を信じて思いっきり跳躍してみよう。

1.学歴がなくてもキミの跳躍を制限する要因にはならない
2.どんな生い立ちや家庭環境に育ってもキミの跳躍を制限する要因にはならない
3.年齢が何歳であっても、キミの跳躍を制限する要因にはならない

 原因があって結果が生まれる。それを因果応報と言う。

 しかし、キミが見えないコップを越えることができれば、因果を越える成果が生まれると僕は思っている。

 そして、いつの日か、この日本というコップを取り除き、世界で活躍できる成功する人として羽ばたいてほしい。

見えないコップは、キミ次第で取り除けるのだ。

加地太祐(かじ・たいすけ)
1976年大阪生まれ。株式会社aim代表取締役。
阪南大学高等学校中退後、溶接工に。その後、サラリーマンになり英会話スクールに通うが、1年後の2004年に通っていた英会話スクールが倒産。当時の従業員に「給料を数ヵ月もらわぬままオーナーが失踪したので助けてください!」と生徒なのに相談される。月商18万円で家賃支払いが23万円と大赤字なのにもかかわらず、「可哀想だから」と400万円を借金して援助し、サラリーマンを続けながら思いがけずオーナー経営者になる。
しかし、3ヵ月で資金がなくなり、助けてと言った従業員も退職。その後、英会話スクールの経営を実弟にまかせるが、1年後に病死する。この人生のどん底のときに安定したサラリーマンを辞め、給料の出ない英会話スクール経営1本に絞る。その後、NOVAが倒産し英会話教師だった外国人失業者があふれた。彼らを黙って見過ごせないと、生徒が増えたわけでもないのに日払いで外国人を雇う。この行動が新聞に紹介され、それがもとで生徒数が飛躍的に増え、以後、順調に業績を伸ばす。
2015年2月6日、交通事故に合い5日間意識不明に。6日目に目覚めたとき、「このまま死んだら僕はこの世界に何も残していないことになる」と愕然とする。
それがきっかけで、スタッフや愛する娘たちに残せるのは「言葉しかないのだ」と悟り「成功する人の考え方」の連載をスタート。純粋に言葉の力を試すために名前をふせたままスタートするも幸運にも支持を得て開始8ヵ月で3万いいね!を突破。月間リーチ数250万人の人気ウェブサイトに成長する。年間1000人以上の経営者と対話し、会社経営を行う傍ら、1人でも多くの成功者を世に出したいと、日夜、記事の執筆に精力を注いでいる。山田方谷を学ぶ実践塾「方谷塾」塾頭、陽明学者。
所属団体 
・盛和塾<大阪> 世話人。稲盛和夫の経営者塾世話人
・EO Osaka<Entrepreneur Organization> 理事。アメリカに母体を持つ経営者団体。年商100万ドル以上の経営者が集まる団体
成功する人の考え方HP http://ekusia.com/
フェイスブックページ  https://www.facebook.com/seikousuru/
 

※次回は、1月25日(月)に掲載します。