顧客名簿、売上管理データ、研究・開発データなどの重要データは、企業の業務遂行や将来成長に欠かせない資産である。にもかかわらず、保存するハードディスク駆動装置(HDD)やメモリーの破損、ソフトの不具合などにより一瞬で消滅してしまうリスクがある。ところが、そんなデータ復旧をいとも簡単にやり遂げてしまう企業がある。官公庁や名立たる大手企業なども頼りにするデータ復旧サービス最大手のデジタルデータソリューションだ。

データ復旧サービスで9年連続国内シェアナンバーワン

9年連続で国内シェアナンバーワンのデジタルデータソリューションを率いる熊谷聖司社長。

「どうしても復旧しなければならないデータがある。1週間以内に何とかならないか?」。

 訪日外国人で賑わう築地市場からほど近いデジタルデータソリューションの東京本社に駆け込んできたのは、ある大手ICT企業の担当者だった。得意先からシステムごと管理を任されていた重要な財務データを、担当者のささいなミスによって完全消去してしまったのだという。

「1ヵ月以内に必ず復旧しろ。さもないと大変なことになるぞ」。得意先から厳命され、データ復旧に詳しい社内のエンジニアを総動員してあれこれ取り組んでみたが、まったく埒が明かない。万策尽き、期限の目前になって同社に救いの手を求めに来たのだ。

 持ち込まれたHDDをデジタルデータソリューションのエンジニアが分析したところ、どうやらHDDを動かすファームウェア(装置の基本的な制御をつかさどるソフトウェア)に問題があることがすぐにわかった。依頼主はモーターやヘッドなどの駆動部分に、問題が発生していると考えていたようだが、じつは装置そのものを機能させるファームウェアが破損したせいでデータが取り出せなくなっていたのだ。依頼主のエンジニアたちもメーカーも、同業他社もそのことにまったく気づかず、ハードウェアのみの問題だと考え、ハードウェアの交換のみを繰り返していたようだ。

 それから3日後。データは無事よみがえり、期限ぎりぎりに間に合った依頼主は、ほっと肩をなでおろした。じつは、この依頼主は世界的にも名の知られた大手ICT企業だが、その精鋭エンジニアたちが3週間がかりで悪戦苦闘しても復旧できなかったデータを、社員100名弱の未上場企業が、たった3日間でよみがえらせたのだ。

 それもそのはず、デジタルデータソリューションは、じつは知る人ぞ知るデータ復旧業界の国内ナンバーワン企業なのである。その技術は日本国内はもとより、世界でもトップクラスの実力を有しており、ある独自開発分野においては、世界でも稀な技術を有している。

「HDDやUSBメモリー、SDカードといった記憶装置・媒体のデータ復旧サービスの国内市場規模は、専業だけで年間約50億円、パソコン修理などの付帯サービスとして提供している会社も含めると100億~150億円に上るとみられますが、同業他社の事業規模はせいぜい数千万円から数億円。当社のように20億円近い売り上げを達成している会社はほかにありません。2007年から9年連続で国内ナンバーワンのシェアを実現しています」。デジタルデータソリューションの代表取締役である熊谷聖司氏は、そう胸を張る。