ルナサンド 代表取締役
原田 路子(はらだ・みちこ)

岩手県出身。マーケティング会社経営などを経て、青森の砂利業者の経営に資本参加。直後に倒産し、残った3人の社員の受け皿になるべく起業。2001年ルナサンドを設立。同社を砂利採取販売業界における国内有数の企業に育て上げ、さらなる成長を目指す。

ルナサンドの青森産プレミアムブランドの砂は、競馬場のダート砂で圧倒的なシェアを持ち、東北の震災復興の原材料として重要な役割を果たすなど、供給先は年々拡大している。それを支えるのは強力なロジスティクスによる「届ける力」。原田路子社長に成長の秘訣と今後の戦略を聞いた。

──ルナサンドの採掘場は青森県の六ヶ所村にありますね。

原田 弊社が所有する23万平方メートルの広大な砂地から、天然の浸透水で洗われて、塩分を含まない良質な砂が採取できます。角が少なく、丸い形で、硬度に優れている砂。これが社名にもなっているプレミアムブランドの「ルナサンド(青森砂)」です。

 その砂を、出荷後の用途に合わせてさらに精製することで、ハイクオリティの砂が誕生します。創業時から私たちにしか作ることのできない高品質の砂をお客さまに届け、喜んでいただきたいという一心でやってきました。

ゴルフ場の集中購買で
構築したロジスティクス

──採掘から出荷まで、ワンストップで実現しているロジスティクスが強みですね。

原田 採掘した青森砂はまず、お客さまのニーズに合わせて、青森県の野辺地町と六ヶ所村にある3基のプラントで精製します。精製が完了した砂は、弊社チャーター契約の3隻の船で出荷。同じく確保している、むつ小川原(おがわら)港、川崎港、船橋港、石巻港、鹿島港、名古屋港のストックヤードに保管し、そこからトラックで消費地まで届けます。

 この生産地から消費地まで、ワンストップで「届ける力」は、ゴルフ場への砂の納入で集中購買を行ったときに構築したものです。各港のストックヤードを確保すること自体が大変なことだったのですが、各地域の業者の方々と交渉を重ね、アライアンスを組んで消費地までのロジスティクスをつくることができました。現在、「ルナサンド」の販路は拡大していますが、多くはこのプラットフォームの上で展開しています。お客さまが欲しいハイスペックな砂を、欲しいときに、安定して迅速に供給する。言うのは簡単ですが、これが一番大変な作業であり、それを実現したことで、業務を遂行し続けてこられたのだと思います。

採掘現場(左写真) 青森県六ヶ所村にある広大な露天掘りの採掘現場。約1150万立方メートルの埋蔵量を誇る / 船橋工場(右写真) 千葉県の船橋港の近くに完成した新工場。自社で砂を殺菌して出荷できる