グローバルに資産運用サービスを展開するステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ。年金基金をはじめとした機関投資家の運用ニーズに合わせた、包括的なソリューション提案に定評のある同社だが、多くの投資家にとって今後、最も重要な課題とされる「下値リスク」に対しても、伝統的な分散投資の枠を超えた新たな提案で応えていく。

「当社の最大の強みはパッシブ運用です。一言でパッシブ運用と言っても、シンプルに通常の時価加重インデックスをトラックする伝統的な手法に留まりません。そもそもトラックすべきインデックスにはどのようなものがあるのか。新しいインデックスやその使用法についてのリサーチにも力を入れ、その結果を運用サービスとして投資家に提供しています」。こう話すのは、ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ(SSGA)の専務取締役チーフ・インベストメント・オフィサーの髙山秀樹氏だ。

幅広いソリューションの提供
ETFも豊富に品揃え

 SSGAは、機関投資家をはじめとする世界中の投資家から約2兆ドル(図表1)の資産を預かるグローバルな資産運用会社。株式や債券はもちろん、オルタナティブ、為替まで幅広い対象において、投資家の運用ニーズに合わせた資産運用サービスを提供している。

 機関投資家がリターンの源泉としてまず検討するのは、アセット・アロケーション(資産配分)である。この時に、投資対象の選択と組み合わせがポイントになるが、とりわけ投資対象の選択においては、パッシブ運用を行う際のインデックスの選択と同様のノウハウが必要になる。このパッシブ運用における実績こそ、SSGAが機関投資家にアセット・アロケーションに関する包括的なソリューションを提供できるゆえんとなっている。

 同社においては、株式、債券、金、不動産など幅広いアセット・クラスのETFを展開していることも大きな特徴だ。現在の投資環境においては、国内外の株式・債券といった単純な伝統的4資産をベースにしたアセット・アロケーションではとうてい対応できない。

 髙山氏は、「たとえば、株式に投資する場合、国内、海外といった大きなカテゴリーで銘柄を選択するだけではなく、とある国の小型株やセクターといったレベルにまで踏み込んでアセット・アロケーションを検討する必要があります」という。

 運用資産額の制約がある中で、このように細分化されたポートフォリオを構築していく必要があるが、その際に、透明性や流動性、コストなどさまざまな面で、同社のETFのラインアップが目的に合った投資を実践するための有用なパーツになる。

 アセット・アロケーションの構築から具体的な運用戦略の提案まで、あらゆる相談に応えることができる同社において、近年、年金基金から受ける相談内容が変化してきたという。以前であれば、SSGA側に話を持ち込む前の段階で大枠の議論が済んでおり、「具体的にこんな戦略はないか」というケースが多かったが、課題抽出の段階から相談される機会が増えたという。

専務取締役
チーフ・インベストメント・オフィサー
髙山秀樹

 国内の投資環境を振り返ると、過去3年は、日経平均がほぼ2倍になっており、内外債券についても世界的な金融緩和や円安を受けて良好なリターンを得ているはずだ。にもかかわらず、多くの年金基金が、運用を根本的な部分から見直しているということになる。背景には、投資環境の大きな変化として、世界的な低金利と低成長がある。かつてなら債券に投資していれば安定的なリターンが見込めたが、世界金融危機以降、債券が以前と同様の機能を果たすのは難しくなりつつある。

「株式への投資の割合を増やす必要性が高まっているわけですが、その株式も低成長のさなかにあります。目標とするリターンを得るためには、高いボラティリティ(価格の変動性)を受け入れ、下値リスクをどこまで許容するかを検討しなければなりません」(髙山氏)