BBC、ワーナーなど世界の一流企業でコーチングを行ってきた著者が、その手法を徹底解説。一瞬で「やる気」を手に入れるための8つの方法とは? 『瞬間モチベーション』よりモチベーション低下に悩む人に役立つコンテンツを公開していきます。第3回はストレスとの上手な付き合い方をレクチャー。

「適度なストレスは必要である」
 は間違い!

ストレスの原因については大きな誤解が存在します。では、まず私が研究で集めた、ストレスが誤解されている証拠をご紹介しましょう。

 仕事の成果に波がある理由として最も多くの人が選んだ理由は、
 「ストレスを感じているか、不安か、心配なため」。
 最も少ない答えは、「自分の心理状態」だった。

これは、思考とストレスの関係がおおむね見過ごされている証拠です。科学や心理学は進歩したのに、私たちのアプローチは古いパラダイムにとらわれたままなのです。伝統的なアプローチは、ストレスの管理に重点を置いています。多くの書籍やウェブサイト、文献も同じ。いまやストレス管理はドル箱ビジネスです。

ストレスはそのままにしておいた方がいい理由

でも、ストレスは「人生につきものだ」という考え方は、まったく時代遅れです。もしストレスを管理する必要がなかったら? もっと簡単な方法があったら? ストレスや不安を解決したいなら、その本質を理解すればいいのです。

非常によくある思い込みの一つとして、「私たちの感情は、人生に何かが起きているサインだ」というものがあります。でも、これまでお話してきたように、感情が伝えているのは、私たちの思考です。

感情は、私たちが持つ美しく知的なシステムであり、最も重要な計器と言えるでしょう。
不安やストレスや心配は、思考の計器が点滅している状態です。私たちの感情は、思考が経験していることを教えてくれるのです。

この原理をある程度理解するまでは、私も、自分が落ち込んだり不安になったりするのは、自分か周囲の何かがうまくいっていないサインだと考えていました。だからイライラすると、原因はなんだろうと考えました。

当然一番に目を向けるのは、自分を取り巻く環境です。すると必ず、自分の感情を説明する(あるいは正当化する)理由が見つかります。
するとそれを何とかしようと考えて、思考が増えて、頭の明晰性はどんどん失われていきます