ビジネスのグローバル化が加速する中で、人事部門は国内に閉じこもってはいないだろうか。世界市場での成長をサポートするグローバル人事への脱却を目指して、先進企業の人事部門は変革に向けたチャレンジを始めている。SAPは独自の価値を活かして、そんな企業を支援するとともに、自社の人事システムを用いて自ら自社のグローバル人事変革にも取り組んでいる。

ビジネスのグローバル化に人事が追いついていない

SAPジャパン
人事・人財ソリューション部
部長
南 和気
大阪大学法学部卒業後、米国企業を経て2004年SAPジャパンに入社。人事・人材戦略コンサルティングの専門家。欧米企業で広く導入されているグローバル人事の手法を日本に適応させた「日本型タレントマネジメント」を2006年より『人材教育』誌に連載発表。2015年、日本企業の人事における代表的な企業のリーダーとの対談をまとめた書籍『世界最強人事』(幻冬舎)を上梓。

 近年、グローバルに事業を展開する日本企業を中心に、人事のあり方を見直す動きが目立ち始めた。背景にあるのが、人事制度と人材育成に関する切実な課題感である。SAPジャパンの南和気氏はこう指摘する。

 「多くの日本企業でビジネスのグローバル化が進み、海外従業員の数も相当増えています。しかし、本社人事部門の視界には、海外の従業員はほとんど入っていませんでした。言わば、日本人一極集中型の人事。これが第1の課題です。つまり、事業と人事の足並みが揃っていない。先進企業を中心に、そんな危機感が広がりつつあります」

 課題はまだあると南氏は言う。

 「第2に、経営から人材の状況が見えない。人材のブラックボックス化です。『ウチには世界中にどんな人材がいるのか』『重要なポジションの後任者は育っているのか』『グローバルビジネスを牽引できる人材は育っているのか』といった経営者の問いに対して、明確に答えられる人事部門はまだ少ないのではないでしょうか」

 第3の課題として南氏が挙げるのが、人事業務の複雑化・属人化である。「日本企業の多くで見られるのが、過去の経緯を踏まえた例外処理の蓄積です。本来効率化しなければならない定型的な業務に大きな手間とコストがかかっています。また、本社である日本が世界の中で特殊な人事慣習を持つことも、グローバル人事の足かせとなっています」

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