リーマンショックから早2年。しかしギリシャ危機に米国経済の不安に伴う超円高など、世界経済は相変わらず不穏なムードに支配され続けている。こんなときに投資などと、思う読者も多いと思うが、現実はさにあらず。ファイナンシャルプランナーの藤川太氏は語る。

藤川太
家計の見直し相談センター
CFPファイナンシャル・プランナー

「昨年夏頃から、本格的に資産運用を始めたいというお客様からの相談が増えてきました。預貯金の利息ではどうにも増やせないし、株価などが下がっている局面こそむしろチャンスではないかと捉えているようです」

 積極的に運用しなければ増やせない時代。リスクはどうコントロールすべきなのだろうか。
資産運用の基本といえば「国際分散投資」をまず考えるが、それについて藤川氏は指摘する。

「リスクを取って株式に投資しても、平均ではせいぜい5~10%程度のリターン。ならばオーソドックスな国際分散投資で3%程度のリターンを安定的に得たいと考える人も少なくありません。しかし手堅いはずのこの手法でも、極端に下がる場面では30~50%の損失を被ることが、ないとはいえないのです」

 図らずも、それを実証したのが2年前のリーマンショックである。国内外の株式、債券に対して資金を投じるという分散投資のスタイルは、必ずしも報われるわけではないということを痛感させられた。

「株式と債券だけでは、値動きの違いを完全には相殺できません。不動産や金など、それらの値動きと相関性の低い資産も組み込むことで、分散投資の効果を高めることを考えたほうがいいでしょう。さらに極端な話、資金の大半を預貯金で持ち、ごく一部をFXなどに投じて非常に積極的な運用を行ったほうが、万一の場合には被るダメージは軽くなることすらあります」