創立以来80年以上にわたって、本質的な理解を促す良問と懇切丁寧な添削指導で、難関大に強い実績を積み上げてきたZ会。2015年からiPadを通して通信添削をする「iPadスタイル」をスタートさせている。業界再編が進む教育・学習塾業界の中にあって、通信添削の雄であるZ会のICT戦略が、注目を集めている。

株式会社Z会
ICT事業部・事業戦略課
ICT戦略担当
三木浩之主任

 今、学校をはじめとする教育現場では、ICT(情報通信技術)教育が促進されている。文部科学省は2020年までに公立小学校・中学校の児童生徒1人1台の情報端末整備を実現するために、さまざまな取り組みを実行。教育現場では多くのデジタル教材やアプリケーションの活用が急速に広がっている。

 私立の中高一貫校をはじめ、公立小学校・中学校でも、児童生徒にタブレットが配布され、通常の授業や校外学習、アクティブラーニングなどで積極的に使用されている。

 一般家庭でもパソコンやタブレットのある風景は珍しくなくなり、子どもたちのICT機器に対するリテラシーも高くなっている。いわゆるデジタルネイティブの世代にとって、ICTを利用する教育は、もはや特別な環境ではなくなっているのだ。

全ての学習を、一つの動線上に集約

 Z会が中高生向けのタブレット学習のパイロット版をスタートさせたのは13年。ICT機器を使った通信添削に大きく舵を切った。

 「当初はZ会の学習専用のAndroid端末を利用していましたが、タブレットの普及に伴って市販のiPadでアプリを通して学習する形に変更し、15年からは本格的に『iPadスタイル』をスタートさせました。タブレットを導入したのは、事前学習(映像授業など)と答案の提出~返却、復習への取り組みなどの全ての学習を、一つの動線上に集約したかったからです。これまでの紙ベースの通信添削では、「添削問題にどう手をつけてよいか分からない」「答案をポストに投函するのが面倒」といった理由で、答案の提出が滞ってしまうことがありました。しかし、iPadスタイルでは、事前学習と添削問題のギャップを埋めることができ、答案を投函する手間も軽減したことで、会員の答案提出率はアップしています」

 そう説明するのは、ICT事業部事業戦略課ICT戦略担当の三木浩之主任だ。