IPO株の攻略&裏ワザ情報!

2017年には「USJ」「メルカリ」が新規上場?
今後のIPO市場の予測とともに、初値騰落率などの
「2016年 IPO投資ランキング」も発表!

2016年12月31日公開(2022年3月29日更新)
ザイ・オンライン編集部
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 2016年も多くのIPO銘柄が登場したが、個人投資家の皆さんの投資成績はどうだったろうか? 今回は、投資情報サービ会社・フィスコで長年IPO銘柄の分析を行っている小林大純(こばやし・ひろずみ)さんが、初値騰落率ランキングや上場後騰落率ランキングなどを見ながら、2016年のIPO市場を総括。さらに、2017年のIPO市場の状況と新規上場が期待できる企業をズバリ予想する!

■2017年に新規上場する最新のIPO銘柄はこちら!
⇒IPOスケジュール一覧【2017年】

2016年のIPO数は後半から失速
初値公募割れ銘柄も増加

 2016年の1年間に新規上場したIPO銘柄の数は、合計83社。前年の92社より、約1割減っている。

 実は1年前、小林さんは、「証券会社の手持ちの案件数から考えると、2016年のIPO件数は100件を超えそうです」と予想していた。

 「フタを開けてみると、2016年は下半期から大きく減速しましたね。毎年12月が一番IPO数が多いのですが、2016年は15社のみ。22社が上場した3月のほうが多かったくらいです。やはり、イギリスのEU離脱によりブリグジット・ショックなどでマーケットが荒れたため、IPOを検討しながらも様子見をした企業が多かったのだと思います」

 また、2004年に上場したgumi(3903)が上場直後に業績を大幅に下方修正した、いわゆる「gumiショック」の影響も残っていると言う。

 「gumiショックの後、東京証券取引所は主幹事証券会社や監査法人に対して『事前審査を厳しく行うように』と要請しました。そのため、2015年は上場を見送った企業も多かったのですが、2016年もその影響は残っているようです」

 次に、公開価格に対して初値の状況をまとめた。

■初値が上がった銘柄と下がった銘柄の比率 ※初値の公開価格に対する騰落率
  銘柄数
(カッコ内は昨年実績)
比率
(カッコ内は昨年実績)
初値が公開価格より高い
(初値騰落率がプラス)
67社(82社) 80.7%(89.1%)
初値が公開価格と同じ
(初値騰落率が±0)
1社(2社) 1.2%(2.2%)
初値が公開価格より安い
(初値騰落率がマイナス)
15社(8社) 18.1%(8.7%)

 これを見ると、全83銘柄中、80.7%の銘柄で初値が公開価格を上回った。つまり、IPO株を買えた人は、ただ上場日に初値で売るだけで、8割の確率で儲かったということだ。何も考えずに勝率8割ということからも、IPO投資が株式投資の中でも非常に「儲かる投資」だということがわかるだろう。

 ただ、前年の勝率89.1%と比較すると、2016年の勝率が落ちているのが気になるところだ。これは「市況が悪かったと言うよりも、IPO銘柄として出てくる企業が多様化していることが要因」と小林さんは言う。

 「以前は、IPO株というと、ITベンチャーのように華やかで初値が跳ねやすい案件が比較的多かったのです。しかし最近は、大手企業や地方の老舗企業の上場のように、イメージ的に地味な案件も増え、初値が跳ねるようなIPO銘柄ばかりではなくなってきました」

 また、「ファンドが出資金を回収するためのIPOが増えたのも、ひとつの要因」と言う。

 「2009年のリーマンショック前後にファンドの支援を受けた企業が多いのですが、ファンドの出資はイグジット(出口)までの期間というのが決まっています。つまり、最近になってイグジットの期限が近づき、ファンドが保有している株式を売却するために上場する企業が増えたということです」

 ファンドの資金が多く入っているIPO銘柄は、上場後、ファンドからの売りで需給が緩むことが心配されるため、初値が上がりにくい傾向にある。

 「例えば、6月に上場したコメダホールディングス(3543)ソラスト(6197)は、どちらも初値で公募割れしましたが、どちらもファンドの資金が入っていたことが一因だと考えられます」

 この初値が上がりにくい傾向は、2017年も続くと小林さんは予測する。

 「今後は、IPOだったら何でもかんでも申し込むのではなく、銘柄を慎重に選ぶことがより大切となるでしょう」

 一方、上場後に値上がりした銘柄と値下がりした銘柄の比率は次の通り。

■上場後に上がった銘柄と下がった銘柄の比率 ※2016年12月28日時点の終値と初値を比較
  銘柄数
(カッコ内は昨年実績)
比率
(カッコ内は昨年実績)
上場後に初値より上昇 33社(24社) 39.8%(26.1%)
上場後に初値より下落 50社(68社) 60.2%(73.9%)

 IPO銘柄は、初値が高騰しやすい分、その後、値下がりする割合の方が高いが、2016年は初値から値上がりした銘柄の割合が、前年の26.1%から39.8%に跳ね上がっている。初値が高騰しにくくなった分、上場後を狙うセカンダリー投資が狙いやすくなったと言えるだろう。

初値騰落率トップのグローバルウェイは、
初値が公開価格の約4.7倍に!

 次に、公開価格に対する初値騰落率のトップ10を見てみよう。

■2016年 IPO初値騰落率トップ10 ※初値の公開価格に対する騰落率を比較
順位 騰落率 銘柄
(コード)
業種 上場日 最新株価チャート
1位 +372.97% グローバルウェイ
(東M・3936)
情報・通信業  4/19
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2位 +278.13% はてな
(東M・3930)
情報・通信業  2/24
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3位 +263.69% エルテス
(東M・3967)
情報・通信業 11/29
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4位 +235.34% AWSホールディングス
(東M・3937)
情報・通信業  6/21
AWSホールディングス最新株価チャート(SBI証券サイトへ移動します)はこちら
5位 +223.53% セグエグループ
(JQ・3968)
情報・通信業 12/21
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6位 +221.43% ティビィシィ・スキヤツト
(JQ・3974)
情報・通信業 12/27
ティビィシィ・スキヤツト最新株価チャート(SBI証券サイトへ移動します)はこちら
7位 +214.08% イノベーション
(東M・3970)
情報・通信業 12/21
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8位 +205.34% フィルカンパニー
(東M・3267)
建設業 11/18
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9位 +191.33% シルバーエッグ・テクノロジー
(東M・3961)
情報・通信業  9/27
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10位 +189.47% ハイアス・アンド・カンパニー
(東M・6192)
サービス業 4/5
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 初値騰落率トップのグローバルウェイ(3936)は+372.97%、つまり初値が公開価格の約4.7倍に跳ね上がっている。つまり、グローバルウェイのIPO株を1単元、29万6000円で購入して初値で売っていたら、それだけで110万円以上も儲かったということだ。

 初値騰落率トップ10の顔ぶれを見ると、「情報・通信業」、「東証マザーズ」、そして表組には載せていないが「公開規模(公募・売出額)が小さい」という条件を満たしている企業が多い。

 「情報・通信業、つまりITベンチャーは成長イメージが強く、そのときに盛り上がっている投資テーマにも乗りやすいので、IPOで非常に好まれます。また、一般的に『マザーズの銘柄は成長企業』というイメージがあり、初値は上がりやすい。逆に、東証1部や東証2部、地方市場の銘柄は、『地味な企業が多く、初値が上がりにくい』というイメージを持たれがちなので、注意しましょう。もちろん、単なるイメージでしかないのですが、IPOの初値はそのイメージに大きく左右されがちなのです」

 公開規模は、一般的に「10億円以下だと初値にプラス要因、20億円超だとマイナス要因」と言われるが、初値騰落率トップ10の銘柄は、すべて公開規模が7億円以下。一番公開規模が大きかったはてな(3930)でも、6.94億円だった。

 「業種や市場、公開規模は、初値予想でも重要な要素なので、覚えておくといいでしょう」

 IPO株の初値予想のポイントは、下の関連記事でくわしく解説している。興味のある人は、こちらの記事も読んでみるといいだろう。

【関連記事】
IPO株の初値を予想するのは意外と簡単だった!? 公開規模や予想PER、仮条件などの公開情報を元に、プロが実際にやっている初値予想の出し方を公開!

初値騰落率ワースト1は
ユー・エム・シー・エレクトロニクスの−17.33%

 一方、初値騰落率のワースト10は次の通りで、トップのユー・エム・シー・エレクトロニクス(6615)は−17.33%。初値騰落率トップ10の銘柄が何倍にも上昇したのとくらべ、ワースト1位でもそこまで極端に下落しているわけではないことがわかる。

■2016年 IPO初値騰落率ワースト10 ※初値の公開価格に対する騰落率を比較
順位 騰落率 銘柄
(コード)
業種 上場日 最新株価チャート
1位 -17.33% ユー・エム・シー・エレクトロニクス
(東1・6615)
電気機器  3/15
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2位 -14.58% アイドママーケティング
コミュニケーション
(東M・9466)
情報・通信業  3/18
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3位 -8.03% ウイルプラスホールディングス
(JQ・3538)
小売業  3/24
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4位 -8.03% アカツキ
(東M・3932)
情報・通信業  3/17
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5位 -7.88% フィット
(東M・1436)
建設業  3/11
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6位 -7.52% 船場
(東2・6540)
サービス業 12/19
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7位 -7.14% シンシア
(東M・7783)
精密機器 12/16
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8位 -6.82% アイモバイル
(東M・6535)
サービス業 10/27
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9位 -6.52% ベイカレント・コンサルティング
(東M・6532)
サービス業 9/2
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10位 -6.00% ソラスト
(東1・6197)
サービス業  6/29
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 初値騰落率ワースト10を見ると、トップ10で説明した「初値が上がりやすい条件」を満たしていない銘柄が多いことがわかる。公開規模も、シンシア(7783)ウイルプラスホールディングス(3538)を除くとすべて20億円超。ベイカレント・コンサルティング(6532)ソラスト(6197)に至っては、公開規模が100億円以上の大型案件だ。

 「4位のアカツキ(3932)は、『ドラゴンボールZ ドッカンバトル』というスマホ用ゲームがヒットしたのですが、ちょうど決算期末を控えた3月の上場で、同タイトルが通期寄与する2017年3月期の業績予想は示されませんでした。終わろうとしている2016年3月期予想ベースではPERが高水準になってしまい、個人投資家に嫌気がされたようです。行き違いみたいなものです」

 また、コンタクトレンズの製造・販売を行うシンシアは、同業他社の日本コンタクトレンズが破綻したため、イメージが悪化し、初値が振るわなかった。

 「シンシアの場合は、業績が見えにくかったのも初値が上がらなかった要因です。本業は好調で営業利益も増加していたのですが、為替ヘッジのために行っているデリバティブ取引で損失を出してしまい、経常利益が抑えられてしまいました。経常利益や純利益しか見なかった個人投資家から実態以上に不安視されたようです」

上場後騰落率トップはマーキュリアインベストメント
初値が抑えられた銘柄ほどセカンダリー投資では狙い目

アカツキシンシアのように、運悪く、実態より悪く評価割れてしまった銘柄は、セカンダリーで狙い目だ。実際、どちらの銘柄も上場後に高騰している。

 上場後の騰落率をランキングは次の通り。2016年12月28日の終値をもとに、初値に対する騰落率のトップ10とワースト10をまとめたが、アカツキシンシアはどちらもトップ10入りを果たしている。

■2016年 上場後騰落率トップ10
※2016年12月28日終値の初値に対する騰落率を比較。上場後の株式分割は計算済
順位 騰落率 銘柄
(コード)
業種 上場日 最新株価チャート
1位 +256.12% マーキュリアインベストメント
(東2・7190)
証券・商品先物 10/17
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2位 +208.56% 農業総合研究所
(東M・3541)
卸売業  6/16
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3位 +140.11% エボラブルアジア
(東M・6191)
サービス業  3/31
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4位 +133.94% リファインバース
(東M・6531)
サービス業  7/28
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5位 +115.90% シンシア
(東M・7783)
精密機器 12/16
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6位 +112.96% アカツキ
(東M・3932)
情報・通信業  3/17
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7位 +112.53% ヒロセ通商
(JQ・7185)
証券・商品先物  3/18
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8位 +101.54% ストライク
(東M・6196)
サービス業  6/21
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9位  +98.58% 中本パックス
(東2・7811)
その他製品 3/3
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10位  +79.01% インソース
(東M・6200)
サービス業  7/21
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■2016年 上場後騰落率ワースト10
※2016年12月28日終値の初値に対する騰落率を比較。上場後の株式分割は計算済
順位 騰落率 銘柄
(コード)
業種 上場日 最新株価チャート
1位 -64.00% グローバルウェイ
(東M・3936)
情報・通信業  4/19
グローバルウェイ最新株価チャート(SBI証券サイトへ移動します)はこちら
2位 -59.45% ハイアス・アンド・カンパニー
(東M・6192)
サービス業 4/5
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3位 -57.51% ベイカレント・コンサルティング
(東M・6532)
サービス業 9/2
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4位 -55.93% バリューゴルフ
(東M・3931)
情報・通信業 3/2
AWSホールディングス最新株価チャート(SBI証券サイトへ移動します)はこちら
5位 -50.84% ホープ
(東M・6195)
サービス業  6/15
セグエグループ最新株価チャート(SBI証券サイトへ移動します)はこちら
6位 -48.78% グローバルグループ
(東M・6189)
サービス業  3/18
ティビィシィ・スキヤツト最新株価チャート(SBI証券サイトへ移動します)はこちら
7位 -45.12% はてな
(東M・3930)
情報・通信業  2/24
イノベーション保証最新株価チャート(SBI証券サイトへ移動します)はこちら
8位 -45.03% フィット
(東M・1436)
建設業  3/11
フィルカンパニー最新株価チャート(SBI証券サイトへ移動します)はこちら
9位 -44.36% エディア
(東M・3935)
情報・通信業  4/15
シルバーエッグ・テクノロジー最新株価チャート(SBI証券サイトへ移動します)はこちら
10位 -39.61% デファクトスタンダード
(東M・3545)
小売業  8/31
ハイアス・アンド・カンパニー最新株価チャート(SBI証券サイトへ移動します)はこちら


 上場後騰落率トップのマーキュリアインベストメント(7190)は、初値で公募割れだったが、その後は順調に株価を伸ばし、10月17日の上場からわずか2カ月半で、初値の約3.5倍以上に高騰した。セカンダリーで上場直後に買っていたら、大儲けだ。

 上場後騰落率トップ10のうち、5銘柄で初値騰落率がマイナスか、プラスでも1%以下となっている。逆に、初値で2倍以上に値上がりした銘柄は、ストライク(6196)1社だけ。つまり、初値が上がらない銘柄のほうがセカンダリーで順調に値上がりしやすいと言えるだろう。

 「かつては、セカンダリーで今期予想PER100倍超の高水準まで買われる新興ネットベンチャーも少なくなかったですが、最近はそうした過熱感の強い銘柄を避ける傾向が強まっています。非ネット・IT系で公開規模や上場当時の市況などの影響から初値が飛ばなかったものの、独自の強みを有する、ニッチ分野で活躍するなど、光るもののある銘柄がセカンダリーで評価されやすいです」

 一方、上場後騰落率ワースト10には、初値騰落率トップのグローバルウェイを筆頭に、はてなハイアス・アンド・カンパニーなど、初値が跳ね上がった銘柄が目白押しだ。初値で過熱してしまった銘柄ほどは、その後の値上がりは期待しづらく、セカンダリーで狙うのは慎重になったほうがいいだろう。

2016年のIPO銘柄の中では
農業総合研究所、WASHハウス、スタジオアタオの今後に期待

 2016年上場した銘柄の中で、今後の値上がりに期待できる銘柄を小林さんに聞いたところ、まず挙がってきたのは、上場後騰落率の2位にも入っている農業総合研究所(3541)だ。

 「農業総合研究所は、農家と野菜などの直売所を結ぶ流通支援の会社です。双方のニーズが高く、時流にも乗っているので、今後も期待できると思います」

 次に名前が挙がってきたのは、コインランドリーチェーンを展開するWASHハウス(6537)

 「コインランドリーなんて古い業態と考える人もいるかもしれませんが、最近の若い人向けのドラマを見ると、コインランドリーのシーンがけっこう目に付きます。昔と違って、最近はオシャレな雰囲気のコインランドリーが増えています。うちの近所なんて、ロボットのペッパーが置いてありますよ(笑)。WASHハウスは九州基盤の企業なので、今後首都圏で展開していくことを考えると、成長余地は十分にあるでしょう」

 女性向けの財布やバッグの製造・販売をしているスタジオアタオ(3550)も要注目だ。

 「『スタジオアタオの製品は、一度使うと他のメーカーの製品は使えなくなるほど使い勝手が良い』とネットでの評判も非常に高いようです。製品にバッグや財布を選んだのも、『季節要因が少ないから』という理由のようです。最近ではメディアの露出も増えているので、これから化けるのではないかと期待しています」

主幹事実績数トップはみずほ証券と野村証券
主幹事、取り扱いともに伸ばしているSBI証券に要注目

 IPO投資で利用する証券会社を選ぶとき、特に重要となるのは、主幹事証券を務めた実績数だ。主幹事証券は、その他の取り扱い証券会社と比較すると割当株数が圧倒的に多く、その分、当選確率が高くなる。IPO株に申し込むときは、主幹事証券が一番の狙い目なのだ。

【関連記事】
IPOに当選して儲けたいなら「主幹事証券」を狙え!通常の引受証券の50~100倍も割当がある主幹事と主幹事のグループ会社の攻略がIPOで勝つ秘訣!

 2016年の主幹事実績数のランキングは次の通り。

■2016年 IPO主幹事証券会社の実績ランキング
順位 証券会社名 主幹事実績数
(カッコ内は昨年実績)
取り扱い実績数 口座開設
1位 みずほ証券 18社(16社) 52社  
1位 野村証券 18社(28社) 30社  
3位 大和証券 15社(14社) 34社
公式サイトはこちら!
4位 SBI証券 13社(8社) 75社
公式サイトはこちら!
4位 SMBC日興証券 13社(24社) 64社
公式サイトはこちら!
6位 東海東京証券 5社(5社) 15社
公式サイトはこちら!
7位 三菱UFJモルガン・スタンレー証券 2社(7社) 20社  
8位 いちよし証券 1社(2社) 30社  
8位 SMBCフレンド証券 1社(2社) 23社  
8位 JPモルガン証券 1社(0社) 2社  
 ※ザイ・オンライン調べ。取り扱い実績数は委託幹事を含む


 主幹事証券実績数トップ5のうち4社を、みずほ証券、野村證券、大和証券、SMBC日興証券という、いわゆる5大証券会社が占めている。5大証券会社以外で唯一、トップ5に食い込んでいるSBI証券は大健闘と言えるだろう。さらに、取り扱い実績数はSBI証券がダントツの1位で、その後をSMBC日興證券とみずほ証券が続いている。

 前年の実績を比較すると、2015年にダントツでトップだった野村証券の主幹事実績数が減っているのが印象的だ。それに対して実績数を伸ばしたのが、みずほ証券とSBI証券。特にSBI証券は、ここ数年、主幹事実績数、取り扱い実績数ともに、大幅に増加している。

 IPO投資は、できるだけ多くの証券会社で口座を開くことが重要だが、「そんなにたくさんの証券口座があっても管理しきれない」と考える人もいるだろう。もしIPO投資のために、まずどこかひとつの証券口座を開くのであれば、やはりSBI証券が一押しだ。

 「SBI証券は、個人投資家向けの商品ラインナップ拡充という意味もあり、ここ数年、IPOの主幹事獲得に力を入れています。取り扱い実績数に関しては、大手証券会社としがらみのない独立系であること、さらに、ネット投資家を数多く抱えていることが強みとなっています」

 主幹事実績はないものの、取り扱い実績数の多い証券会社としては、マネックス証券岩井コスモ証券カブドットコム証券が挙げられる。

■2016年 主幹事はないがIPO取り扱い実績数の多い主な証券会社
券会社名 主幹事実績数 取り扱い実績数 口座開設
マネックス証券 0社 46社
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岩井コスモ証券 0社 25社
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カブドットコム証券 0社 19社
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 ※ザイ・オンライン調べ。取り扱い実績数は委託幹事を含む


 中でもカブドットコム証券は、5大証券会社のひとつ三菱UFJモルガン・スタンレー証券のグループ企業で、三菱UFJモルガン・スタンレー証券が取り扱うIPO銘柄のほとんどはカブドットコム証券でも申し込むことが可能だ。

 三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、2016年こそ主幹事実績数が2社と少ないものの、2015年は7社の主幹事を務めており、今後また多くのIPO銘柄で主幹事証券となる可能性は十分にある。主幹事証券のグループ証券は、それだけ多くのIPO株が委託される可能性も多いので、隠れた狙い目証券会社と言えるだろう。

2017年はストライプインターナショナルや
USJ、メルカリなどの新規上場に期待

 最後に2017年にIPO市場の見通しと、新規上場が期待できる銘柄をズバリ予想してもらおう。

 「まずIPO数について。『今の景気が続けば90社は行く』という人もいますが、マーケット関係者の意見で多いのは、今年並みか少し減って80社前後という予想。私個人は、80社行けばいい方だと思っています。アベノミクス相場も一服し、ここからまた株価が右肩上がりで続くのも難しいと思うので、IPO数も増大はしないと思います」

 では、2017年に上場しそうな企業は?

 「まず、上場する可能性が高いのは、『アース ミュージック&エコロジー』などの衣料品ブランドを展開し、『第2のユニクロ』とも呼ばれるストライプインターナショナル(旧社名:クロスカンパニー)です。ここは2016年に上場予定だったのが、後ろにずれ込んだという話も聞いています。確度としてはランクAです。もうひとつ、インターネットリサーチ会社で、2014年に上場廃止となったマクロミルも、3月に再上場するとの報道が出ました。ここも確度Aです」

 次に、上場の実現性が多少落ちる確度Bの銘柄だが、ここでは非常に有名な企業の名前が挙がった。

 「確度Bの銘柄ですが、まずは、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(以下、USJ)。再上場申請の話が9月頃に出ていたので、順当に行けば2017年前半に上場すると思います。ただ、東証は再上場に対して厳しいので、そこが気になるところです。USJは、知名度も高いし、業績の立ち直りを皆さん知っているように強い成長イメージもある。IPOが決まれば、盛り上がることは間違いありません」

 もうひとつ期待したいのが、ネットオークションサービスを展開するメルカリだ。

 「メルカリの上場も、マーケットの期待値は高いです。あれだけ観測が流れると言うことは、それなりに準備はしているはず。決算公告を見ても黒字に転換していたようで、数字的にも良いです。秋口に、メルカリの社長が『まだ、上場の時期ではない』とコメントしていたようなので、すぐに上場ということはないでしょうが、早期の上場を期待はしたいところです」

 この2社は、一般の人にも知られるほど知名度が高いので、IPOでも人気が集まることは間違いなく、初値高騰が期待できる。ぜひ、参加したいところだ。

 また、確度は低いものの、新規上場が決まれば人気が出ることは間違いない企業として、東京メトロ、クラウドソーシングの大手・ランサーズ、ネットを利用した格安印刷で成長してきたラクスル、クラウド会計ソフトのfreee、の名前が挙がった。

 「これらの企業は、マーケット関係者の間でもずっと名前が挙がっているし、知名度も高い。2017年中に上場するかはわかりませんが、要チェックです」

 トランプノミクスにより日経平均株価は上昇を続け、とうとう1万9000円台を突破した。その勢いのまま、2017年の株式市場には多くの個人投資家が期待を寄せている。IPO市場もその波に乗って、盛り上がってくれることを期待しよう。

■2017年に新規上場する最新のIPO銘柄はこちら!
⇒IPOスケジュール一覧【2017年】

■「IPO株が当たらない!」という人は、まずこちらの記事へ!
⇒IPOに当選して儲けたいなら「主幹事証券」を狙え! 通常の引受証券の50~100倍も割当がある主幹事と主幹事のグループ会社の攻略がIPOで勝つ秘訣!

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◆SMBC日興証券
主幹事数(上)/取扱銘柄数(下) ネット配分・抽選方法 口座数
2023 2022 2021
19社
52社
24社
47社
26社
80社
10%:1人1票の平等抽選
最大5%:「ステージ別抽選」
※1
341万
【ポイント】
大手証券の中でもIPOに力を入れており、例年、主幹事数・取り扱い銘柄数ともに全証券会社中でトップクラス! また、国内五大証券会社のひとつだけあり「日本郵政グループ3社」や「JR九州」「ソフトバンク」などの超大型IPOでは、主幹事証券の1社として名を連ねることも多い。10%分の同率抽選では、1人1単元しか申し込めないので資金量に関係なく誰でも同じ当選確率となっているのがメリット。さらに、2019年2月からは、預かり資産などによって当選確率が変わる「ステージ別抽選」がスタート。平等抽選に外れた人を対象にした追加抽選で、最高ランクの「プラチナ」だと1人25票が割り当てられて当選確率が大幅にアップする。
※1 預かり資産残高などによって決まる「ステージ」ごとに、別途抽選票数が割り当てられる。
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主幹事数(上)/取扱銘柄数(下) ネット配分・抽選方法 口座数
2023 2022 2021
21社
91社
13社
89社
21社
122社
60%:1単元1票の平等抽選
30%:「IPOチャレンジポイント」順に配分
10%:知識・経験・資力と取引状況を踏まえて配分
1169万
【ポイント】
ネット証券にもかかわらず、主幹事数、取扱銘柄数ともに大手証券会社に引けをとらない実績を誇る。特に取扱銘柄数がダントツで、2023年は全96社中91社と約95%のIPO銘柄を取り扱った。つまり、SBI証券の口座さえ持っていれば、ほとんどのIPO銘柄に申し込めると考えていいだろう。個人投資家への配分の100%がネット投資家へ配分されるのも魅力。1単元1票の抽選なので、多くの単元を申し込むほど当選確率は高くなる当選確率がアップする「IPOチャレンジポイント」が、資金量・取引量と関係なく、IPOに申し込み続ければ誰にでも貯められるのもメリットだ。また、スマートフォン専用サイトでIPOの申し込みや情報確認ができるのも便利。
※SBIネオモバイル証券、SBIネオトレード証券、FOLIOの口座数を含んだSBIグループ全体の口座数。
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※ 主幹事数、取扱銘柄数はREITを除く。口座数は2023年12月末時点。
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