IPO株の攻略&裏ワザ情報!

2018年は「メルカリ」「ビットフライヤー」が上場?
今年のIPO市場の予測とともに、初値騰落率などの
「2017年 IPO投資ランキング」も発表!

2018年1月5日公開(2022年3月29日更新)
ザイ・オンライン編集部
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 2017年は、日経平均株価が大きく値上がりする中、数多くのIPO(新規上場)株が登場したが、市況の追い風もあり、初値で高騰する銘柄も少なくなかった。今回は、投資情報サービ会社・フィスコで長年IPO銘柄の分析を行っている小林大純(こばやし・ひろずみ)さんを直撃取材! そんな2017年のIPO市場を総括してもらうとともに、2018年のIPO市場の動向やIPOが期待できる銘柄をズバリ教えてもらった。

2017年に上場した全90銘柄のうち
90%以上が初値で公開価格を上回った!

 2017年の1年間に新規上場したIPO銘柄は、昨年の83社より増えて、全部で90社だった。そのうち、初値が公開価格を上回ったのは82社、勝率にして91.1%という非常に良い成績となった。

■初値が上がった銘柄と下がった銘柄の比率 ※初値の公開価格に対する騰落率
  銘柄数
(カッコ内は前年実績)
比率
(カッコ内は前年実績)
初値が公開価格より高い
(初値騰落率がプラス)
82社
(67社)
91.1%
(80.7%)
初値が公開価格と同じ
(初値騰落率が±0)
0社
(1社)
0.0%
(1.2%)
初値が公開価格より安い
(初値騰落率がマイナス)
8社
(15社)
8.9%
(18.1%)

 つまり、IPO株に当選して公開価格で購入できた人は、何も考えずに初値で売るだけで、9割以上の確率で儲かったということ。しかも、そのうち半数近くは初値が2倍以上に高騰している。この数字からもIPO投資が、当選さえすれば「高い確率で儲けられる投資」だということがわかる。

 「2017年は、株高の影響によって個人投資家の懐は温かくなっています。その資金をIPOが引き受けた格好ですね」(小林さん)

 特に「最後の11月12月にラッシュが来て、IPO市場全体が盛り上がった」と小林さんは言う。

 「もともと11月のIPOは初値が跳ねやすいと言われているのですが、特に今年は11月21日に上場したサインポスト(3996)の初値が3.8倍以上に高騰したことで、それ以降、IPO市場全体に勢いがつきました。日経平均株価も、ちょうど2万3000円前後で足踏みしていて既存銘柄も重かったことから、需給にシコリがないIPO株に物色が集まったのです」(小林さん)

 一方、上場後に値上がりした銘柄数と値下がりした銘柄数を集計したのが下の表だ。

■上場後に上がった銘柄と下がった銘柄の比率 ※2017年12月26日時点の終値と初値を比較
  銘柄数
(カッコ内は前年実績)
比率
(カッコ内は前年実績)
上場後に初値より上昇 48社(33社) 53.3%(39.8%)
上場後に初値より下落 42社(50社) 46.7%(60.2%)

 表を見ると、約半数以上のIPO銘柄は、新規上場後に値上がりしている。2016年の勝率が4割弱だったことを考えると、2017年は上場後のIPO株を買う「セカンダリー投資」も好調だったことがわかる。これは、株式市場全体が上昇傾向にあったことが、大きな要因だろう。

初値騰落率のトップは「トレードワークス」
1単元買うだけで100万円以上の利益に!

 次に、公開価格に対する初値騰落率が髙かった銘柄トップ10を見てみよう。

■2017年・IPO初値騰落率トップ10 ※初値の公開価格に対する騰落率を比較
順位 騰落率 銘柄
(コード)
業種 上場日 最新株価チャート
1位 +518.18% トレードワークス
(JQ・3997)
情報・通信業 11/29
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2位 +401.00% ウォンテッドリー
(東M・3991)
情報・通信業  9/14
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3位 +361.08% ビーブレイクシステムズ
(東M・3986)
情報・通信業  6/15
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4位 +337.33% ポエック
(JQ・9264)
卸売業 11/28
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5位 +325.17% ユーザーローカル
(東M・3984)
情報・通信業  3/30
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6位 +320.67% シャノン
(東M・3976)
情報・通信業  1/27
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7位 +313.24% エル・ティー・エス
(東M・6560)
サービス業 12/14
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8位 +287.73% サインポスト
(東M・3996)
情報・通信業 11/21
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9位 +281.82% インターネットインフィニティー
(東M・6545)
サービス業  3/21
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10位 +271.67% 力の源ホールディングス
(東M・3561)
小売業  3/21
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 ランキングを見ると、初値騰落率は+518.18%のトレードワークス(3997)が、2位以下を引き離してトップとなった。トレードワークスのIPO株を1単元(22万円)買えていたら、上場後の初値で売るだけで、なんと114万円も儲かった計算だ。10位の力の源ホールディングス(3561)でさえ+271.67%も上昇している。

 2016年の初値騰落率トップであるグローバルウェイ(3936)が+372.97%、10位のハイアス・アンド・カンパニー(6192)が+189.47%だったことを考えると、2017年は、全体的に初値が大きく跳ねた銘柄が多かったことがわかる。

 「1位のトレードワークスが手がけている証券会社やFX会社のシステムは、足元の需要が強い。公開規模が5億円強と小さいことに加え、先ほど言ったサインポストの高騰の後という追い風もあって、初値が高騰しました。2位のウォンテッドリー(3991)の初値高騰は、業績や成長性というよりも、需給が極端に偏っていたのが原因です。一定の知名度があるのに対し、公開規模が1.5億円程度と非常に小さかった。資金がジャブっと入ってあふれた感じですね」(小林さん)

 初値騰落率トップ10に入っている銘柄を見ると、業種が「情報・通信業」、市場が「東証マザーズ」が多いことに気がつくだろう。

 「これは例年のことですが、情報・通信業、いわゆるIT企業は成長イメージが強く、その時々の投資テーマにヒモ付きやすいので、個人投資家には好まれやすいんです。東証マザーズも、東証1部や東証2部、地方市場にくらべると、『これから大きく成長するベンチャー企業が集まる市場』というイメージがあるので、初値が上がりやすくなります」(小林さん)

 また、ランキング表には掲載していないが、公開規模の小さい小型案件が多いのも傾向のひとつだ。

 「ユーザーローカル(3984)をのぞくと、他のトップ10銘柄は公開規模が10億円未満のものばかりです。株価というものは基本的に需給が重要ですが、IPO株の初値は特にその傾向が強い。流入してくる資金に対して公開規模が小さければ、その分、初値は高騰しやすくなります」(小林さん)

 その他、IPO株の初値を左右する要因は下の関連記事でくわしく解説しているので、もっとよく知りたい人は参照して欲しい。

【関連記事】
IPO株の初値を予想するのは意外と簡単だった!? 公開規模や予想PER、仮条件などの公開情報を元に、プロが実際にやっている初値予想の出し方を公開!

初値騰落率ワースト1は
「西本Wismettacホールディングス」!
ただし下落率は-6.00%に収まる

 次は、初値騰落率ワースト10の銘柄を見てみよう。

■2017年・IPO初値騰落率ワースト10 ※初値の公開価格に対する騰落率を比較
順位 騰落率 銘柄
(コード)
業種 上場日 最新株価チャート
1位 -6.00% 西本Wismettacホールディングス
(東1・9260)
卸売業  3/23
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2位 -5.02% LIXILビバ
(東1・3564)
小売業  2/10
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3位 -4.72% スシローグローバルホールディングス
(東1・3563)
小売業 10/31
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4位 -4.31% プレミアグループ
(東2・7199)
その他金融業 12/12
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5位 -4.26% マクロミル
(東1・3978)
情報・通信業  3/17
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6位 -3.87% ウェーブロックホールディングス
(東2・7940)
化学 12/14
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7位 -2.34% MS&Consulting
(東M・6555)
サービス業 10/5
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8位 -2.31% アルヒ
(東1・7198)
その他金融業  4/10
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9位 +0.05% ビーグリー
(東M・3981)
情報・通信業  3/22
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10位 +1.52% カチタス
(東1・8919)
不動産業 12/21
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 2017年のワーストランキングは、初値で極端に下落した銘柄が見当たらない。ワースト1位の西本Wismettacホールディングス(9260)でも、初値騰落率は-6.00%に収まった。前年2016年のワースト1位であるユー・エム・シー・エレクトロニクス(6615)が-17.33%だったのと比較すると、下落幅は1/3程度だ。

 「上場時、初値が公開価格に対して大体6%以上割り込んでくると、オーバーアロットメント分の買い戻しのために、主幹事証券はその銘柄に買い注文を入れます。それが買い支えとなるため、-6%程度がひとつのラインになります。そこからさらに割り込むとズルズルと下がっていくのですが、今年はそこを超えて下げる銘柄がなかった、ということです」(小林さん)

 オーバーアロットメントの買い戻しについては、以下の関連記事でくわしく説明している。

【関連記事】
「野村證券が主幹事のIPOは公募割れなし」は本当? イベント投資の達人・夕凪氏が過去のデータを分析し、IPO投資に役立つ「アノマリー」を徹底検証!

 初値公募割れの銘柄を見ていくと、前述の「初値が上昇する条件」を満たしていない銘柄が多いことがわかる。つまり、「情報・通信業ではなく」「東証1部、もしくは東証2部」「公開規模が大きい」といった銘柄だ。表には掲載していないが、初値騰落率がマイナスだった8銘柄のうち、6銘柄は公開規模が100億円を超えていた。

 逆に言えば、2017年に新規上場した会社の中で、公開規模が100億円を超えていたのは10銘柄あったが、そのうちの6銘柄で初値が公募割れしてしまった。IPO銘柄の初値予想では公開規模が重要だ、と言われる意味がよくわかるだろう。

 ただ、「初値が上がらない=株として評価が低い」というわけではない。初値が上がることと、上場後に株価が上がることはまったく別の話だ。そこで、次は、上場後の騰落率のランキングを見ていこう。

上場後騰落率のトップは、初値の4倍以上まで株価が上がった
「ジャパンエレベーターサービスホールディングス」

 上場後、初値に対してどれだけ株価が上がったのかを示す「上場後騰落率ランキング」のトップ10とワースト10をまとめたのが次の表だ。(初値と2017年12月26日終値を比較)。

■2017年・IPO上場後騰落率トップ10
※2017年12月26日終値の初値に対する騰落率を比較。上場後の株式分割は計算済
順位 騰落率 銘柄
(コード)
業種 上場日 最新株価チャート
1位 +342.70% ジャパンエレベーターサービスホールディングス(東M・6544) サービス業  3/17
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2位 +131.19% インターネットインフィニティー
(東M・6545)
サービス業  3/21
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3位 +131.00% ヴィスコ・テクノロジーズ
(JQ・6698)
電気機器 12/13
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4位 +116.61% PKSHA Technology
(東M・3993)
情報・通信業  9/22
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5位 +110.65% 幸和製作所
(JQ・7807)
その他製品 11/28
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6位 +99.06% サインポスト
(東M・3996)
情報・通信業 11/21
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7位 +88.43% テックポイント・インク
(東M・6697)
電気機器  9/29
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8位 +84.27% エコモット
(札ア・3987)
情報・通信業  6/21
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9位 +83.42% ティーケーピー
(東M・3479)
不動産業  3/27
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10位 +82.80% ウェーブロックホールディングス
(東2・7940)
化学  4/10
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■2017年・IPO上場後騰落率ワースト10
※2017年12月26日終値の初値に対する騰落率を比較。上場後の株式分割は計算済
順位 騰落率 銘柄
(コード)
業種 上場日 最新株価チャート
1位 −67.19% シャノン
(東M・3976)
情報・通信業 1/27
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2位 −58.18% ビーブレイクシステムズ
(東M・3986)
情報・通信業 6/15
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3位 −57.84% ユーザーローカル
(東M・3984)
情報・通信業 3/30
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4位 −57.60% 旅工房
(東M・6548)
サービス業 4/18
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5位 −44.64% フュージョン
(札ア・3977)
情報・通信業 2/23
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6位 −41.59% SYSホールディングス
(JQ・3988)
情報・通信業 6/30
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7位 −41.25% ピーバンドットコム
(東M・3559)
卸売業 3/9
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8位 −39.89% ディーエムソリューションズ
(JQ・6549)
サービス業 6/20
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9位 39.01% ユニフォームネクスト
(東M・3566)
小売業 7/19
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10位 38.86% トランザス
(東M・6696)
電気機器 8/9
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 ダントツで伸びたのはジャパンエレベーターサービスホールディングス(6544)で、初値の4倍以上まで株価が上昇した。

 「ここは名前の通り、エレベーターの保守点検を行う企業。IT系などにくらべると地味な事業ですが、最近の建設ラッシュもあり、ビジネスとしては強いです。特にジャパンエレベーターサービスホールディングスは、サービスの質の高さが評価されて急速に業績を伸ばしています。地味な企業なだけに初値騰落率は+61.82%しか伸びませんでしたが、上場後のセカンダリーで実体面が評価された形です」(小林さん)

 2位のインターネットインフィニティー(6545)は、初値騰落率でも上位9位に入ったが、上場後、そこからさらに値上がりした。

 「インターネットインフィニティーは、名前にそぐわずリハビリ型デイサービスを提供している会社です。公開規模が3億円弱と小さいこともあって初値が飛びましたが、その後、業績が拡大していることから値上がりが続いています。『健康寿命の延伸』という国の政策に乗っていることや、名古屋鉄道(9048)との提携も材料になりました。今、私が注目している銘柄のひとつです」(小林さん)

 一方、上場後騰落率のワースト10を見ると、初値で大きく跳ねた銘柄が多い。

 「ワースト3のシャノン(3976)ビーブレイクシステムズ(3986)ユーザーローカル(3984)は、どれも初値騰落率が+300%を超え、初値騰落率トップ10にランキングされています。IPOでは、初値が公募価格の数倍に跳ねてPERが100倍近くになることも珍しくありませんが、上場後にそれを維持できるのは一握りです」(小林さん)

 初値騰落率ランキングのところで解説したような「初値の飛びやすい銘柄」が実際に初値高騰した場合、そこからセカンダリーで参加するのは慎重になるべきだろう。

主幹事数のトップは、安定の野村證券
大和証券は大型株の主幹事で存在感を示す

 次に、2017年に主幹事を多く務めた証券会社をランキングにまとめた。

■2017年・IPO主幹事証券会社の実績ランキング
順位 証券会社名 主幹事実績数
(2016年実績)
取り扱い実績数
(2016年実績)
口座開設
1位 野村證券 27社
(18社)
38社
(30社)
野村證券の公式サイトはこちら!
2位 大和証券 18社
(15社)
41社
(34社)
公式サイトはこちら!
3位 みずほ証券 15社
(18社)
60社
(52社)
 
4位 SMBC日興証券 13社
(13社)
71社
(64社)
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5位 SBI証券 8社
(13社)
83社
(75社)
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6位 いちよし証券 4社
(1社)
37社
(30社)
 
6位 岡三証券 4社
(0社)
35社
(2社)
 
6位 三菱UFJモルガン・スタンレー証券 4社
(2社)
29社
(20社)
 
9位 東海東京証券 3社
(5社)
11社
(15社)
公式サイトはこちら!
 ※ザイ・オンライン調べ。取り扱い実績数は委託幹事を含む

 上位陣の顔ぶれは、例年とほとんど同じで、今回も野村證券がトップ。一方、大和証券は前年の3位から2位に順位を上げている。

 「大和証券は、特に大型案件で目立っていましたね。SGホールディングス(9143)マクロミル(3978)といった、有名どころの大型案件が多かったです」(小林さん)

 また、準大手証券や中堅証券も独自の存在感を発揮したと言う。

 「初値の伸びで個人投資家の評価が高まっているのが、いちよし証券です。主幹事数は4社だけですが、初値が4倍近くまで高騰したサインポスト(3996)を筆頭に、すべて2倍以上の初値をつけています。一方、地方案件を得意としているのが岡三証券。主幹事を務めた4社のうち、3社が名証や札証への上場でした」(小林さん)

 一方、取り扱い実績数では、2016年に引き続いてトップはSBI証券、2位はSMBC日興証券という結果に。

 「SBI証券は主幹事数も8社あり、ネット証券の中ではもっともIPOに力を入れています。また、SBI証券が幹事団に参加していると個人投資家の資金フローがものすごく大きくなるため、上場する企業側としても『SBI証券を入れよう』という話になりやすいようです」(小林さん)

 また、主幹事数は少ないが取り扱い銘柄数が多い証券会社としては、以下のようなところが挙げられる。

■2017年・主幹事はないがIPO取り扱い実績数の多い主な証券会社
証券会社名 主幹事実績数 取り扱い実績数 口座開設
マネックス証券 1社 49社
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岩井コスモ証券 0社 39社
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カブドットコム証券 0社 27社
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岡三オンライン証券 0社 23社
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 ※ザイ・オンライン調べ。取り扱い実績数は委託幹事を含む

 中でもカブドットコム証券は、5大証券会社のひとつである三菱UFJモルガン・スタンレー証券のグループ会社で、同社が取り扱うIPO銘柄のほとんどはカブドットコム証券からも申し込める。三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、毎年、何社かのIPO銘柄で主幹事証券を務めているが、その際、主幹事証券のグループ会社も多くのIPO株が割り当てられる可能性がある。その意味で、カブドットコム証券は隠れた狙い目証券会社と言えるだろう。

【関連記事】
IPOに当選して儲けたいなら「主幹事証券」を狙え! 通常の引受証券の50~100倍も割当がある主幹事と主幹事のグループ会社の攻略がIPOで勝つ秘訣!

2018年に新規上場しそうなのは
「メルカリ」「ビットフライヤー」「USJ」「ZMP」

 最後に、2018年のIPO市場の見通しと、IPOが期待できる銘柄を教えてもらった。

 「市況に関しては、まだ先高感が強いのでしばらくは堅調な状況は続くと思います。IPO件数は今年より少し増えて、90数社程度じゃないでしょうか。日本郵政やJR九州のような超大型案件は出なさそうですが、小型のベンチャー企業で注目されている企業が出てくるので、その辺で盛り上がってくれると思います」(小林さん)

 具体的なIPO期待銘柄として挙がってきたのは、まず、フリマアプリで有名なメルカリだ。

 「メルカリは2017年に上場の予定でしたが、資金決済法を巡る問題などから、いったん延期したと言われています。一部では『そんな、東証や警視庁ににらまれている企業が上場できるのか?』といった声も聞かれますが、聞くところによると、問題に対して企業としてきちんと対応はしており、関係省庁におけるメルカリの評判自体は悪くないそうです」(小林さん)

 次に名前が挙がったのは、自動運転のZMPと仮想通貨取引所のビットフライヤー

 「ZMPは、2016年に1回上場承認が下りたものの直前で延期になった経緯がありますが、最近、無人自動運転車の公道実験など、新しい動きが出てきました。一方ビットフライヤーは、最近さかんに流しているCMの効果もあり、認知度を高めています。ビットコインの高騰もあって、仮想通貨関連のIPOがそろそろ出てきてもおかしくないと思います」(小林さん)

 その他には、テーマパーク運営のUSJ、アパレルブランド「アース ミュージック&エコロジー」で知られるストライプインターナショナル、名刺管理アプリで有名なSansan、エネルギー関連のエリーパワー、といった社名が挙がってきた。

 「名前を挙げた企業は、どこも新規上場するには超えなければならないハードルがあるので、絶対に上場するとまでは断言できませんが、十分に期待はできます。特に年の前半、3月頃に話題になるIPO銘柄がいくつか出てきてくれると思います」(小林さん)

 IPO投資は、記事の前半にまとめた勝率や騰落率を見ても分かるように、当選さえすれば儲かる確率は高い。ブックビルディングへの申し込み自体は無料なので、ダメ元でも申し込む価値はあるだろう。中には「IPO株なんて、個人投資家が申し込んでもどうせ当たらないだろう」と最初から諦めている人もいるかもしれないが、それは誤りだ。

 「IPO投資をやっている投資ブロガーさんの話を聞く限りは、感覚的にですが、複数の証券会社から全部のIPO銘柄に申し込んで年に数件当選する、といった感じのようです。もちろん、初値公募割れするケースもあるので銘柄の選定には慎重になる必要はありますが、申し込んでいる価値は十分にあると思います」(小林さん)

 実際に新規上場が決まった最新のIPO情報とスケジュールは、下の関連記事に掲載している。この記事を参考にしながら、自分の資金や時間の許す範囲でぜひIPO投資にチャレンジして欲しい。

【関連記事】
IPOスケジュール【2018年】
IPOに当選して儲けたいなら「主幹事証券」を狙え! 通常の引受証券の50~100倍も割当がある主幹事と主幹事のグループ会社の攻略がIPOで勝つ秘訣!

■「IPO株が当たらない!」という人は、まずこちらの記事へ!
⇒IPOに当選して儲けたいなら「主幹事証券」を狙え! 通常の引受証券の50~100倍も割当がある主幹事と主幹事のグループ会社の攻略がIPOで勝つ秘訣!

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IPO株(新規上場株・新規公開株)で儲ける方法!
IPO株の銘柄分析&予想
IPOスケジュール一覧[2024年]
 IPO株の攻略&裏ワザ情報!
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【2024年版】本気でIPO当選を狙うなら、真っ先に押さえておきたい!
IPO[主幹事]の多いおすすめ証券会社

◆SMBC日興証券
主幹事数(上)/取扱銘柄数(下) ネット配分・抽選方法 口座数
2023 2022 2021
19社
52社
24社
47社
26社
80社
10%:1人1票の平等抽選
最大5%:「ステージ別抽選」
※1
341万
【ポイント】
大手証券の中でもIPOに力を入れており、例年、主幹事数・取り扱い銘柄数ともに全証券会社中でトップクラス! また、国内五大証券会社のひとつだけあり「日本郵政グループ3社」や「JR九州」「ソフトバンク」などの超大型IPOでは、主幹事証券の1社として名を連ねることも多い。10%分の同率抽選では、1人1単元しか申し込めないので資金量に関係なく誰でも同じ当選確率となっているのがメリット。さらに、2019年2月からは、預かり資産などによって当選確率が変わる「ステージ別抽選」がスタート。平等抽選に外れた人を対象にした追加抽選で、最高ランクの「プラチナ」だと1人25票が割り当てられて当選確率が大幅にアップする。
※1 預かり資産残高などによって決まる「ステージ」ごとに、別途抽選票数が割り当てられる。
【関連記事】
◆【SMBC日興証券のおすすめポイントは?】信用取引完全無料、NISAや積立投資にも便利な株が小分けで買える「キンカブ」がおすすめ!
◆「日経テレコン」「会社四季報」が閲覧できる証券会社を解説! 利用料0円ながら、紙媒体では読めない独自記事や先行情報を掲載し、記事の検索機能も充実
SMBC日興証券の公式サイトはこちら
◆SBI証券
主幹事数(上)/取扱銘柄数(下) ネット配分・抽選方法 口座数
2023 2022 2021
21社
91社
13社
89社
21社
122社
60%:1単元1票の平等抽選
30%:「IPOチャレンジポイント」順に配分
10%:知識・経験・資力と取引状況を踏まえて配分
1169万
【ポイント】
ネット証券にもかかわらず、主幹事数、取扱銘柄数ともに大手証券会社に引けをとらない実績を誇る。特に取扱銘柄数がダントツで、2023年は全96社中91社と約95%のIPO銘柄を取り扱った。つまり、SBI証券の口座さえ持っていれば、ほとんどのIPO銘柄に申し込めると考えていいだろう。個人投資家への配分の100%がネット投資家へ配分されるのも魅力。1単元1票の抽選なので、多くの単元を申し込むほど当選確率は高くなる当選確率がアップする「IPOチャレンジポイント」が、資金量・取引量と関係なく、IPOに申し込み続ければ誰にでも貯められるのもメリットだ。また、スマートフォン専用サイトでIPOの申し込みや情報確認ができるのも便利。
※SBIネオモバイル証券、SBIネオトレード証券、FOLIOの口座数を含んだSBIグループ全体の口座数。
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※ 主幹事数、取扱銘柄数はREITを除く。口座数は2023年12月末時点。
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