つみたてNISA(積立NISA)おすすめ比較&徹底解説[2018年]
2018年2月8日 深野 康彦

「つみたてNISA」で積み立てられる投資信託とETFが
“積立&長期投資向き”な理由とは?金融庁が課した
“一定の条件”と、対象となった商品の概要を解説!

つみたてNISAのおすすめ証券会社はココ!

「つみたてNISA」(積立型の少額投資非課税制度)では、一定の条件をクリアして金融庁に届け出た投資信託とETF(上場投資信託)だけが投資対象となっています。では、「一定の条件」とはどういったもので、その結果、対象商品となったのはどんな投資信託とETFなのでしょうか。

 今回は、「つみたてNISA」で購入できる商品の概要とそれらの商品が選ばれた背景を改めて説明します。

ノーロード(購入時手数料無料)、長い信託期間、少ない分配頻度
など、「つみたてNISA」商品はさまざまな条件をクリアしたもの

「つみたてNISA」の対象商品の投資信託とETFの特徴とは?「つみたてNISA」の対象商品として選ばれた投資信託とETFは、“一定の条件”をクリアしたものばかり。

 最初に、「つみたてNISA」の対象商品になったのは、どんな投資信託とETFなのか見ていきましょう。

 まず投資信託は、株のみに投資する商品か、株を含む複数の資産を組み合わせたものに投資する商品だけが対象です。100%債券やリートで運用する投資信託や、またレバレッジをかけた運用をする投資信託などは、「つみたてNISA」の投資対象としては認められていません。

 次に、コストが低いことも条件です。購入時手数料はゼロ円(ノーロード)で、運用管理費(信託報酬:保有する投資信託の純資産総額の何%という形で徴収)は一定の水準以下と決められています。具体的な運用管理費は、インデックス型投資信託で国内資産を対象とするものは0.5%以下(税抜、以下同じ)、海外資産または国内外の資産を対象とするものは0.75%以下。一方、アクティブ型投資信託の場合は、国内資産に投資するものは1%以下、海外資産に投資するものは1.5%以下となっています。

 信託期間や分配頻度についての条件もあります。信託期間については、無期限または20年以上あること。毎月分配型の投資信託は対象から外れます。さらに、アクティブ型投資信託の場合は、純資産額が50億円以上、運用履歴が5年以上あり、そのうちの3分の2の期間で資金が流入しているという条件も加わります。

 また、ETF(上場投資信託)に関しては、対象指数が株式指数で、売買手数料が1.25%以下、運用管理費が0.25%以下、最低取引単位が1000円以下という条件があり、加えて外国取引所のETFの場合は資産残高が1兆円以上という条件も追加されます。

「つみたてNISA」の対象商品は、このように多くの条件をクリアした投資信託・ETFに限られています。金融庁の言葉を借りて一言でまとめると、「長期の積立・分散投資に適した商品」ということになります。

 ただし、気を付けたいのは、いずれの条件も「定量評価」という点です。金融庁は、コストや信託期間、分配頻度などの「見える部分」で線引きをしているだけで、総合的に見て「よい商品」だという「定性評価」を加えた上で判断しているわけではありません。また、金融庁が認めた商品だからと言って、これから先の運用で必ずしもよい結果が得られることを保証しているわけでもありません。ですので、商品を選ぶ際には値下がりリスクがある点に十分注意しましょう。

「一定の条件」をクリアした対象商品は、意外に多い!?
2018年2月2日時点で144本が「つみたてNISA」の対象商品に

 金融庁が一定の条件を設けて「つみたてNISA」の対象商品を絞り込んだのには、株式投資信託の数が全部で約5000本と多いため、特に投資初心者にはわかりにくく、選びにくかったなどの背景があります。しかし、実際には「一定の条件」をクリアした投資信託とETFは、かなりの本数になっています。

 以下は、2018年2月2日時点のデータです。

●インデックス型投資信託…126本
内訳:国内指数に連動するもの…32本
   海外指数に連動するもの…38本
   複数の指数に連動するもの(バランス型)
     国内型…3本
     海外型…53本
●アクティブ型投資信託…15本
内訳:国内型…7本
   海外型…8本
●ETF(上場投資信託)…3本

 投資信託とETFを合わせてなんと144本の商品が、「つみたてNISA」で買えることになっています。2017年10月2日に金融庁が初めて「つみたてNISA」の対象商品を公表した際には103本だったので、4ヵ月で約40本も増えたことになります。「つみたてNISA」用に新たな商品を設定する運用会社もあるため、今後もその数は増えていくことが予想されます。

 140本以上もあったら、選びやすいとは言えないと思うかもしれません。とは言え、「つみたてNISA」の対象商品のうち100本以上を扱っている金融機関は、SBI証券楽天証券マネックス証券など、ごく一部の大手ネット証券に限られます。

 そのほかの金融機関については、ほとんどが対象商品約140本のうちの数本~10本程度のみを扱っています。たとえば、国内型と海外型のインデックス型投信をそれぞれ1~2本と、バランス型を1本というようなイメージです。なお、3本のETFについては、現時点で取扱いがあるのは大和証券だけとなっています。

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商品が選びやすく、少額から積立投資ができる
「つみたてNISA」で、投資初心者は何を買えばいい?

「つみたてNISA」は、投資初心者だけに向けた制度ではありません。しかし、一定の条件で商品を絞り込んでいて、しかも前述のとおり、ほとんどの金融機関では実際には数本程度から商品を選ぶことになるので、初心者にとって商品を選びやすく、わかりやすい制度になっています。

 また、ネット証券などでは毎月100~1000円というように、ごく少額から積立を行うことが可能です(年間の非課税投資枠は40万円なので、毎月積立であれば最大でも月額3万3000円程度です)。もちろん、積立投資専用なので、毎月(金融機関によっては、毎日・毎週、あるいは数ヵ月に1回のこの日など)決まった日に投資することになり、投資のタイミングに悩む必要もありません。このように「つみたてNISA」は、投資初心者が「とにかく一度投資をやってみよう」と「お試し感覚」で始めるときにも、非常に向いている制度と言えるのです。

 では、投資初心者は「つみたてNISA」でまず何を買えばよいのでしょうか。仮に、毎月1万円分を投資するのであれば、たとえば日本株と海外株のインデックス投資信託を5000円ずつ買ってみてはどうでしょうか。株以外の資産にも分散したいというのであれば、バランス型投信を1万円買うというのでも構わないと考えます。すでに商品は十分絞り込まれているので、まずはその金融機関にあるラインナップから1本もしくは2本を選んでみましょう。

 なお、銀行など対面型の金融機関で購入する場合も、「つみたてNISA」で購入すると決めていれば、もともと商品が絞り込まれているため、銀行が今売りたい投資信託を無理におすすめされるようなことはありません。そういう意味でも、「つみたてNISA」は投資初心者に安心な商品と言えるかもしれません。

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「つみたてNISA」ではなぜ対象商品を絞り込んだのか
「つみたてNISA」と「一定の条件」が生まれた背景とは?

 金融庁は、以前から個人の資産形成をもっと促したい、その方法としては長期の積立・分散投資が望ましいと考えていました。個人の資産形成を促したい理由は、米国や英国に比べて日本では家計所得に占める株式や投資信託などの投資商品の割合が低いため、資産が大きく成長して(増えて)いかないからです。また、長期での積立投資が望ましいのは、長期での積立であれば、投資によるリスクをある程度抑えて安定的に資産を増やしていくことが期待できるからです。

 そして、個人の資産形成を支援するために2014年から導入されたのが、従来の「NISA(少額投資非課税制度)」でした。ところが、積立での利用は全NISA口座の1割程度に過ぎず、少額からの積立投資が浸透しませんでした。従来の「NISA」も本来の目的は中長期での資産形成にありましたが、実際には個別株の短期売買に使われたり、毎月分配型投資信託の購入に充てられたリと、金融庁の目論見とは違った使い方がされていたのです。

 そこで、従来の「NISA」をテコ入れする形で作られたのが「つみたてNISA」です。「つみたてNISA」では、制度自体を長期での積立投資限定にして、投資対象も長期投資に適したものになるようにと、対象商品やコスト、信託期間などについて「一定の条件」で絞り込んだというわけなのです。

 ところで、株のみに投資をしたり、または株を含む複数の資産を組み合わせたものに投資したりにする投資信託(やETF)だけが「つみたてNISA」の投資対象になったのはなぜでしょうか。少々うがった見方かもしれませんが、私は金融庁による現政権への「忖度」の可能性があると考えています。

 安倍政権が発足後の5年間で、最も目に見える成果と言えるのが「株価の上昇」と「失業率の改善」です。しかし、株価を上昇させるような政策にも限度があります。そこで、陰ながらの援護射撃として、「つみたてNISA」では株を投資対象に含む投資信託(やETF)だけを対象商品にしたのではないかと思うのです。

 あくまで私の推論に過ぎませんが、分散投資という投資のセオリーから考えると、債券だけを投資対象にする投資信託も「つみたてNISA」のラインナップに入っているほうが自然です。しかし、そうではないということを考えると、私の推論もあながち間違いではないかもしれません。

 次回は、140本(2018年2月2日時点)を超える「つみたてNISA」のラインナップの中から、おすすめの商品とその選び方を詳しく紹介します。

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(構成:肥後紀子)

深野康彦(ふかの・やすひこ)[ファイナンシャルプランナー]
ファイナンシャルリサーチ代表。AFP、1級ファイナンシャルプランニング技能士。クレジット会社勤務を3年間経て1989年4月に独立系FP会社に入社。1996年1月に独立し、現職。あらゆるマネー商品に精通し、わかりやすい解説に定評がある。主な著書に『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない』『ジュニアNISA入門』(ダイヤモンド社)など多数。