地域経済活性化の取り組みで注目される地方銀行の役割

地元に根ざした金融機関として、それぞれの地域で愛されてきた地方銀行。しかし、その役割は以前とは大きく変わりつつあるという。
メガバンク出身で地銀の事情にも詳しい、フィールド・デザイン・ネットワークスの見山謙一郎氏に話を伺った。

「待ちの姿勢」から地域経済のけん引役へと変化する地銀

見山氏写真

見山謙一郎 立教大学大学院ビジネスデザイン研究科 特任准教授

1967年生まれ、埼玉県出身。90年立教大学法学部を卒業後、住友銀行(現三井住友銀行)に入行。05年立教大学大学院ビジネスデザイン研究科修了(MBA)。同年10月に三井住友銀行を退職し、Mr.Childrenの桜井和寿等が設立したNPOバンク(ap bank)に理事として参画。09年2月に株式会社フィールド・デザイン・ネットワークスを設立。国内企業や金融機関、地方公共団体、バングラデシュの企業等に対するコンサルティング業務に従事。専門は、循環型(環境)ビジネス、BOPビジネス。多摩大学経営情報学部非常勤講師。日本の森を守る地方銀行有志の会 総合アドバイザー。次世代人財塾・適十塾(Tekito Juku)塾長。環境省中央環境審議会 循環型社会計画部会委員。社団法人日本マーケティング協会 機関紙「マーケティングホライズン」編集委員。

 各県に1~2行ずつある地方銀行。地元になくてはならない、というより、あって当たり前の存在と感じている人も多いだろう。そもそも、地方銀行はいわゆるメガバンクなどとは何が違うのだろうか。見山謙一郎氏は、地銀の特徴をこう語る。

  「地方銀行は、守るべきところ――つまり地域そのものであり、地域にある企業や住んでいる人ですが――が、はっきりしている。これが地銀の大きな特徴であり、アイデンティティだと言えるでしょう。だから、地銀は地元を決して裏切れないし、地元に信頼されるべき存在なんです」

 特に個人にとっては、地銀は本当に「身近な存在」だろう。特に意識することなく、自然に地元の銀行に口座を開設し、預金をしたり、住宅ローンを組んだりと、何らかの形で関わっている。

 「だからこそ、どこでも利用できるという利便性はサービスの生命線。地元はもとより、たとえ地元から離れた東京やその他の都市にあっても、お金が下せないということがあっては困ります。そこで各地銀とも、コンビニATMとの提携を積極的に進めるなど、利便性の向上には力を入れています」

 一方、法人に対しての地銀は、かつては「ニーズがあるところに融資すればよい」という「待ちの姿勢」が強かった。しかし、バブル崩壊から20年を経ても今なお日本経済が本格的な復活を遂げずにいる中で、自らが中心となって地域経済の活性化に取り組む地銀が、少しずつではあるが増えてきているという。

 「地方のほうが総じて経済的に厳しい状況に直面していて、待っているだけでは状況が改善しないことに気づき始めた。そこで、地域経済を循環させるために何ができるかという本来的な銀行の役割を考え、仕組みづくりから始める銀行が増えてきています」

地域活性化に取り組むことは、地銀の収益増にもつながる

 地域経済を活性化するためには、それぞれの地域の風土や特性、産業に合った取り組みが必要になる。

 たとえばある地銀では、地元の特産品である水産加工物のブランド化を支援している。地元の商工会議所などがブランド化を目指して立ち上げた組織で、地銀がコーディネーター的な役割を果たしているという。

 一見、銀行の業務とは無関係に思えるが、参加している取引先への融資という形で収益にもしっかり結び付いている。さらに、もっと先を見れば、ブランド化により地元に入ってくる資金が増えて経済が活性化することは、地銀にとっても大きなメリットだ。

 また、銀行系のクレジットカードを発行している別の地銀では、地元の百貨店やカード加盟店などと提携して、さまざまなイベントを企画しているという。イベントによって地域を盛り上げて、加盟店の売上げ増を後押しするのが目的だが、カードの利用率・利用額がアップすることで、実は銀行の収益増にもつながっている。

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