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ハーバード・ビジネス・レビュー読者と考える「働きたくなる会社」とは

「魚を渡す」のではなく、「魚の釣り方を教える」

岩佐:
Part2では、DHBR読者のみなさんから、サイボウズに対する質問・意見をぶつけていきます。どなたか質問は?(Part1はこちらから)

永井康晃さん
輸送機器メーカー勤務。エンジニアを経て、現在は長期戦略プロジェクトに携わる。

永井:
お二人がおっしゃった「会社を残すことに意味があるのか」という意見に、私はすごく違和感があります。それはサイボウズが今うまくいっているからそう言えるのでは? 会社を残さないと、そこで働いている従業員が生活できなくなるわけじゃないですか。従業員の生活のことも考えるのが経営者の責任ではないでしょうか。

青野:
入社式の時に山田が新入社員に言ったことは「早くサイボウズ以外で食えるようになれ」。つまり、早く辞められるようになれということ。

僕が大企業で見てきたのは、新卒を雇って、囲いながら育てるという方法です。そんなふうに育った社員たちは、企業がヤバくなったらリストラされます。そして自立していないから食べていけません。あのやり方のほうが無責任だと思うんです。

明日会社を解散することになっても、みんなが「わかった」と言って、すぐによそで働ける状態。これが経営者として責任がある状態だと思います。

山田:
僕らは青野が去ったらサービスをなくそうと言っているわけじゃありません。サイボウズには、グループウェアをやりたいという人たちが集まっています。僕らが抜けたところで、そのやりたいという人たちがいるから会社は存続するし、サービスも継続していくはずなんです。しかし「会社を残す」ことを目的にすると、おかしな話になっちゃう。

お客さんを喜ばすサービスを提供するには、自分たちで考え出して、メシを食うということを一人ひとりがやらないといけない。本当に社員を守るというのはそういうこと。「魚を渡す」のではなく、「魚の釣り方を教える」ということです。

「サイボウズって面白い」と、人が集まる、この状態を作ることのほうが大事だと思うんですよ。そこは僕らの勝負です。いつでも辞められるように育てておきながら、本当は辞めてほしくないと思っているんですから。

「副業禁止」を禁止しよう!

河野英太郎さん
大手広告会社、外資コンサルティングファームを経て、日本アイ・ビー・エムへ。著書に『99%の人がしていない たった1%の仕事のコツ』など。

河野:
多くの会社では副業禁止規定がありますが、私は会社の仕事以外にも職業を持っていいと思っています。副業を持っていると、生活の基盤が他にもあることになり明日クビになっても生きていけます。つまり、先ほどお二人もおっしゃっていた、いつ辞めてもいいという状態です。

上司の目を気にして不本意なことに従う必要もありませんし、むしろホンネや正論を主張できる事になり、会社のためになるはずです。ぜひサイボウズにはそういうことも進めていってもらいたい。

岩佐:
サイボウズは副業OKですよね。そうすると、サイボウズ以外の仕事に一生懸命になってしまう、そういう心配は?

青野:
他の仕事に興味があるのならそれでいいんです。問題なのは、サイボウズに興味を持っているふうに見せながら、じつは他の仕事に興味を持っていること。これはウソをついていることになるので、公明正大に反する。

もしサイボウズよりも面白いと思う仕事ができて、「すみません。サイボウズ1に対して他社の仕事を9にしたい」と言われると、「いいね、頑張って」と応援します。

山田:
社員はサイボウズというチームに貢献し、そして会社はその貢献度合いに対して報酬を支払う。それが合理的になっていればいいんだと思うんです。

でも世の中の多くの会社は年功序列で、基本的には給料は下がらないという前提になっている。そんな会社で副業をする人は、本業のアウトプットは減っているのに、給料は減らないということになり、おかしな話になる。それが問題です。

サイボウズでは、社員の心がどこにあるとかは関係なく、アウトプットが減ったら給料を減らします。そういう制度にすると、経営者から見て社員の副業って全然気になりません。実際にこの方は3社掛け持ちしています。副業したほうがよかったですか?

中村龍太さん
サイボウズ 社長室 デジタル ビジネス プロデューサー

龍太:
私は副業を始めて2年半たちますけど、やったほうがいいということはわかってきました。

青野:
厚労省のプロジェクトで僕が主張しているのはまさに、「『副業禁止』を禁止しよう」ということです。大企業は副業を原則禁止していて、承認がないとだめ。でも、そんなこと承認を取ってまでやらないですよ。

だから副業禁止を禁止する必要がある。法人がなぜ個人の働き方まで規定する必要があるのでしょうか。個人に権限を返していくと、生身の人間がイキイキしてくる。そうすると結果的に会社の事業だって強くなると思います。

いかにして自立した人材を育てるか

滝口健史さん
スコラ・コンサルト 組織プロセスリサーチャー。企業の組織風土・体質を改革するコンサルタント。

滝口:
お二人はKPIとして数字には注目するけど、その先に目指す理想があるとのことでした。でもその考えには、レベルの高い、自立した社員でないとついていけないのでは。小さい会社ならそういう集団はあるかしれませんが、新人も採用していくなかで、どうやって自立した人を育てているのですか?

山田:
……できてないですねぇ。

(笑い)

やってはいますよ。でもやっていること自体は、昔から企業がやっていることとそんなに変わらない。各自の希望を共有したり、一人ひとりとキャリア相談したり、育成の計画を立てたりとか。それをサイボウズ風にアレンジしながらやっています。それが実際にできているかというと、できていない。これからですね。

「サイボウズっていい会社ですね」と言われることが増えていますが、愚痴を言っている人も、うつになる人もいる。でも大事なのは、こうありたいという理想。こんな会社にしたい、こんな会社がいいなという理想があれば、きっといろんな仕組みがそこに近づいていくんじゃないかなと思っています。

青野:
みんなに「自立しよう」と言い続けてはいます。徐々に共感度は高まっていますが、そうはいっても新人が入ってきて、自立度の低いところから始まりますから、難しいところはあります。

山田:
いろいろな選択肢を選べる状態にはしていますね。たとえば働き方を自由にするのもそう。言いたいことがあったら直接青野に質問できる場があるということも。

当社では、「質問責任」「説明責任」という言葉を使います。つまり、質問をしろということ。質問もしないのに文句を言うのは止めようねと。そして質問と返答のやりとりは、基本的にオープンにしている。こんなふうに選択肢が用意されていると、それを選ぶ・選ばないは本人次第になります。そういうところから自立が始まると思います。

岩佐:
社員の方はどう思いますか?

倉林一範さん
サイボウズ カスタマー本部 ダイレクトマーケティング部 副部長

倉林:
私がサイボウズに入社した時、働き方を自由に選べるということが、最も大きなインパクトでした。自由にできるんだから、自分はどうしようかと、考えるきっかけになりました。

働きながら子育てをしている人も、副業をしている人も、一度辞めて戻ってくる人もいます。本当に多様で、そこでいろいろな気づきが生まれて、自分なりに考え始めたという感じです。

山田:
給与を市場評価で決める制度もポイントかもしれません。市場評価で決まると、外に目を向けざるを得ません。外でどうバリューがあるかという観点で、自分のスキルを磨いていかないといけないですから。これは自立をサポートするコミュニケーションの一つといえます。

サイボウズの問題点を社員が暴露!?

岩佐:
僕から社員のみなさんに質問させてください。サイボウズという組織の問題は?

青野:
いっぱいありますよ。昨日も……

岩佐:
青野さんは黙っててください!

(笑い)

石黒照朗さん
サイボウズ 運用本部 サービス運用部

石黒:
私は入社3年目です。サイボウズは働きやすい会社ですが、良くも悪くも摩擦が少ないと思います。ガチのぶつかり合いしたいなという気はあるのですが、いい人が多いので、派手にやり合おうとすると、「まあまあ」となだめられるみたいな。物足りなさがあるのは不満といえば不満です。

大里真理子さん
アークコミュニケーションズ代表取締役。翻訳・Web制作会社を経営。

大里:
サイボウズっていい会社だと思いますけど、社員のみなさんは経営者に対して、「社会を変えるとか言う前に、オレたち社員のことを見ろよ!」「市場並みではなく市場よりいい給料を寄こせ!」とは思いませんか?

倉林:
入社して1年未満ですが、給料という意味では、前職よりも下がりました。お給料という価値観では、会社に期待していません。

山田:
ちょっとは期待してよ!

(笑い)

倉林:
僕はお金だけを大事な価値観として置いてはいないので、あまり不満はないですね。最終面接で、制度の話などを聞いた時に、社長は「みんな幸せになってほしいじゃん」と語ってくれました。経営者って抽象的な言葉では語らないと思っていたのですが、「幸せ」という言葉が出た時に、「なるほど」とすごく共感したのを覚えています。

僕がサイボウズで問題と思っているのは、社員の青野・山田に対する批判精神が弱く、イエスマンになっているのではないかということですね。

岩佐:
これだけオープンにやっていても?

倉林:
そうですね。「青野さんが言ったんだから」とつい納得してしまったり。そうならないよう、自分自身で批判的に見るようにはしています。でも具体的に突っ込むまでには至っていないので、もっと突っ込めるようにしたいと思います。

岩佐:
他に問題と思うことは?

龍太:
僕は2年半前まではマイクロソフトにいました。前の職場にいた16年を振り返ると、ものすごいプレッシャーのなかで鍛えられたと感じます。つらい仕事でしたが、得たものは大きかったです。そういう意味では、「サイボウズは大丈夫か」という心配はあります。社員がのんびりしているからです。

岩佐:
ご自身ではサイボウズに来られてからの成長は実感していますか?

龍太:
しています。前職では、ものすごく高いノルマを与えられ、それをこなす毎日でした。そのことで、与えられた仕事、つまり与えられたその理想をどうやるか、大きなリソースから手段を選択して実行するという力が鍛えられました。

一方サイボウズでは、まずどういう理想を作るかを自分で考えないといけないんです。自分で考えるなんて、前職では全くやってこなかったことです。サイボウズに来てこの2年半、それがものすごく面白くて、本当に入社してよかったと思っています。52歳になりましたが、まだ勉強することがいっぱいあるんだなと思います。

給料は下がったが、自分らしさを取り戻した

山崎繭加さん
ハーバード・ビジネス・スクール勤務。日本リサーチセンター。同スクールにおける日本企業のケース作成などに携わる。

山崎:
社員の方への質問です。「グループウェアで世界一になる」「チームワークあふれる社会を創る」、この理念に関してどこまでみなさんは共感しているのでしょうか。

自立した人材として、自分の頭で深く考えるようになると、チームワーク以外のことに興味を持つようになったり、グループウェアだけじゃ物足りないと思うようになったりしないですか?

大槻幸夫さん
サイボウズ コーポレートブランディング部長 サイボウズLive プロダクトマネージャー

大槻:
たぶん、そういう人たちは会社から出て行ってしまい、残っていないはずです。

サイボウズに共感はするけど、今は子供を育てるためにもっと稼ぎたいと、競合会社に転職した若い社員がいました。また、海外でいろんな経験をしたいといって辞めた人もいます。それはそれで、いいんじゃないかなと思います。

松川 隆さん
サイボウズ 事業支援本部 人事部 マネージャー

松川:
僕はこの会社に入った時、ITリテラシーがかなり低くて、そもそもグループウェアって知らなかった。

(笑い)

でも入社してこの組織が好きになりました。自立と議論の文化というか、与えられたものをやるだけじゃなく、手を挙げればいろいろなことができる可能性があるから。

そういう環境があると、自分がモヤモヤしているのは自分側の責任になります。選択肢があるのにやらないのは、自分のせいでしかないんです。そうすると、組織に対する文句は生まれないんですね。そんなふうに感じつつ、ここに加わり続けています。

岩佐:
でも、そもそもグループウェアを知らないのに、なんで応募したんですか?

松川:
山田を知っていましたから。

(笑い)

山田:
コネ採用です!

(笑い)

松川:
私の職歴は、銀行員、広告代理店、テニスコーチです。最終面接で青野さんに、「ITに興味はあるんですか?」と聞かれ、僕は「ワードとエクセルを少々……」と。それに対して青野さんは「いろいろな人がいていいんじゃないですかね~」って。

(笑い)

こういうのがアリな会社なんだなと思いました。給料は銀行員時代のほうがよかったんですが、当時はやはり考えずに仕事をしていました。今は当時よりよほど自分らしくいられます。

自分を隠していい給料をもらうことは幸せではありません。僕はサイボウズにいて、自分の選択で生きている、そんな感じがします。

社会を変えるには、教育から変える

土井 剛さん
三井住友海上勤務。元内閣官房 情報通信技術(IT)総合戦略室 参事官補佐。政府のIT戦略を担った。

土井:
サイボウズでは自分で考えるということに非常に力を入れているのがわかりました。でも日本の教育について考えると、それができていません。世界一のグループウェアとかチームワークを広げるということをやるのなら、サイボウズが日本の教育を変えるしかないのでは。どう思いますか?

青野:
今、社長室でやっていますよね。

龍太:
ええ、僕はこの半期のミッションとして、いろいろな学校に行き、教育の現状について調査しています。そこで感じるのは、「このままではヤバイぞ」ということ。我々が経験したことのない新しい時代に入っているなかで、今までの知識ベースの教育だけでは、日本の子供たちは生き残っていけないのではないか。「考える」ということを教えておかないとまずいと感じました。

そこでサイボウズができることとして、『チームのことだけ、考えた。』にも出ている、問題解決メソッドやモチベーションマネジメントの方法などを先生方に紹介して回っています。サイボウズらしいチームワークの作り方に共感してくれる先生もいて、今度実際に高校生相手に講義してみることになりました。

それで世界を変えられるかどうかはわかりませんが、ちょっとは変わっていくのではと。そんなこともやり始めています。

津田和樹さん
JSR石化事業部 エラストマー部勤務。元JリーガーでMBA取得者。現在は合成ゴムの営業を担当。

津田:
教育を変えないで、国ごとの文化に合わせるのも一つの手かと思います。社会を変えて1つのグループウェアで全世界を席巻するのではなく、各国で最適なグループウェアをそれぞれ作るというように。そのあたりは今後どちらに?

青野:
世の中はわりあいシンプルな法則で動いています。各国で違うように見えるチームワークも、元を辿れば同じ法則で動いている。僕たちは、その基盤としてチームワークの法則を表現したソフトを作りたい。その上でそれぞれの会社に合わせてアプリケーションを選べる、そんなグループウェアをイメージしています。

1つのグループウェアを押しつけようとは思っていません。ローカライズするために、チームワークのコア部分をいかにしてソフトウェアで表現するか、そこにチャレンジしています。

サイボウズは株主軽視の会社じゃない

岩佐:
他にご質問は?

川端慧己さん
電気機器メーカー勤務。グローバルに展開する電気機器メーカーで医療関係の新規開発事業に携わる。

川端:
山田さんがおっしゃった「事業そのものがCSR」は興味深いと感じました。事業の社会性と利潤の追求に対して、どのようにバランスをとられているのでしょうか。

また、「売上・利益を目指さないことに株主が慣れてきた」ともおっしゃっていましたが、そこに至るまでにどういった経緯があったのか、非常に気になります。

山田:
サイボウズが株主を軽視しているように見えるかもしれませんが、世の中が株主を重視しすぎなんですよ。

(笑い)

僕らは株主施策として、まず上場後しばらくは、利益が上がっても配当を出さずに投資に回すと言っていました。その結果、株価がバーッと上がりましたが、そうすると株主がみんな株を売ってしまうんですよ。あれほど「サイボウズのファンです!」と言っていた人が、売っている。

そこで、「株主は株価が上がったら売るんだ」ということに気づきました。この事実を目の当たりにして、長く保有してもらうためには配当金が重要だと思い、配当性向を高めるようにしました。

その後、クラウドへの投資を決め、クラウド事業の売上の10%を配当に出すという施策を打ち出しました。そうすると、クラウド事業が伸びれば伸びるほど、株主も応援してくれる。赤字でも関係なく配当は出しますから。というふうに、株主のことも一応考えてやっているんですよ。

岩佐:
川端さんの最初の質問に対してはどうでしょうか。サイボウズでは「事業そのものがCSR」であると。社会貢献しようとするなら、提供する商品はできるだけ安いほうがいいわけですよね。でも企業ですからそれはできません。そのジレンマは?

青野:
ありますね。それは解決したい問題です。お金を取りたくないお客さんって、いっぱいいます。使ってくれるだけで社会がどんどんよくなるような、そんなチームに対してだったら、無料でも提供したいと思います。

片や、お金持ち過ぎだろうみたいな会社もあって、そういう会社に限ってソフトウェアを買う時に値切り交渉をしてきたりします。これは本当にカチンときますね。

僕が理想としているのは、太陽みたいなサービスを作ること。太陽の光ってみんなタダで利用していますが、明日から月1万円支払わなきゃならないとなったら、断れませんよね。そこまですごい、誰も作れないサービスを作りたい。そうすればいろいろな問題が解決できる。今の僕らのサービスは、まだ弱いです。

山田:
僕はいまアメリカで事業立ち上げに携わっています。現場に行って改めて考えたいと思ったのは、製品価格の決め方について。ユーザー一人ひとりによって価値観や感じ方は違うはずですから、お金がない会社からは取らなくてもいいし、お金がある会社からはもっともらってもいいと思ったんです。実際に、この製品ならもっとお金を払ってもいいと言ってくれる会社はあります。

ですから営業のメンバーにも、「金を持っているお客さんにはもっともらえ」と指摘することもあります。利潤を追求していないにもかかわらず。そうじゃないと「いいこと」を続けられませんですから。

僕が常に言っているのは、「いいことを続けるためにはお金がいる」ということ。だから、持っている人からはお金をもらわないといけないんです。その商売の感覚を忘れると、単なるボランティアになってしまい、継続できなくなってしまいます。

幸せのツボを追求できる社員になってほしい

宇尾野彰大さん
トライフォート勤務。サービス開発部 部長。前職では総合メディア企業にて人事・事業企画などを担当。

宇尾野:
今日はみなさんのお話のなかで、「幸せ」という言葉が何度か出てきました。一人ひとりで幸せについての尺度は違います。青野さんが経営者として、サイボウズの従業員は幸せだろうと思う瞬間は?

青野:
「働きがいのある会社」ランキング調査を毎年受けていて、中堅企業部門では2年連続3位にランクされています。そういう結果から見ると、全体的に従業員の満足度はそこそこ高いんだろうなとは思います。

でも実際に一人ひとりを見てみると、つらい顔をしている人もいるし、気持ちの上がり下がりもあるようです。

基本的に、みんなを一律に幸せにはできることはできません。どこに幸せのツボがあるのかは、結局その人にしかわからないですし、ツボが変わることもあるからです。若い頃はお金に価値観を置いているけど、結婚して子供が生まれるとそれが変わったりします。

だから大切なのは、幸せのツボを自分で見つけて、追求できる人になってもらうこと。つまり、魚の釣り方を教えることが大事なんです。そこに注力していきたいなと思っています。

岩佐:
ありがとうございました。では最後にお二人から、今回の討論についての感想をお願いします。

山田:
本当にありがとうございました。みなさんのご意見は参考になりましたし、改めて考えさせられることもありました。一つ思ったのは、「サイボウズ=給料安い」イメージはやめたいなと。

(笑い)

安くないです。市場並みですから! 売上高70億円くらいの会社ですが、1000億円になった時はもっと給料を上げたいなと思います。

それは置いておいて、サイボウズに対してお褒めの言葉をいただき嬉しいなと思う反面、つらいとも思いました。実際に一人ひとりの社員を見て会話をしていると、明らかにしんどそうな顔をしている人もいて、みんなが本当に幸せなのかな?と思うこともありますから。

僕らが理想とする状態とは、まだまだギャップがある。でも、ギャップがあるからこそ面白いと思います。不満を持っている人が多いからこそ、一つ一つ解決していこうと思える。人事制度だって、一人ひとりのことを考えてやっていたら、結果的にこうなったというだけ。でもまだ足りません。

まだまだ全然できていないことがたくさんある会社なので、もっといろいろ悪口を言ってください。褒められてばかりだとモチベーションが上がりません。「こんなことやったらどうなんですか」みたいなことを、いろいろ言っていただけたら、もっと刺激になります。

青野:
「会社を継続させなくてもいい」という僕の発言に対して、納得できないというご意見をいただきました。それについて僕の中で整理できたのは、自分は会社と仕事を分けて考えているということです。

そこに仕事があって、仕事をしたい人たちがいて、製品やサービスを受けて喜ぶ人たちもいる。この状態は残したいと思うんです。でも会社は残したいとは思わない。会社って、人が集まって名前を付けただけのものですから。

仕事というものはずっと昔、何千年前からあって、これからもなくなることはない。でも会社は、たかだか数百年前に人間が発明した仕組みでしかないので、そんなものは変わっていくし、なくなることもある。だから仕事に意味はあるけど、会社には意味がない。そんなふうに思っています。

今日はたくさん褒めていただいたんですが、喜ぶよりも悔しい思いがします。「こんなにゆるい働き方をしているのに、グローバルなソフトウェアとなぜか肩を並べている」という状態まで持っていくのが理想なのですが、今はまだそこには遠すぎるからです。

今年45歳になりますが、現役の間にそこにたどり着けるのか。そこまで行ってから喜びたいと思います。ぜひ一緒に、面白い社会にしていきましょう。

岩佐:
サイボウズのみなさん、読者のみなさん、長時間ありがとうございました。
これまでのDHBR討論では、最後にサイボウズにぶつける質問を考えていたんですが……あえてここでは結論めいたものを申しません。

今の時代の「働きたくなる会社」とは何か? 仕事のやりがいとは? 報酬とは? 仕事の成果とは? サイボウズという企業を通して、このスペシャル・サイトを読んでくださったみなさんの考えるきっかけになったでしょうか。

あ、会場の読者のみなさん、まだまだ言いたいことはたくさんあるのに、という表情ですね。

(笑い)

そこで……

あらためて「働きたい会社とは」を問い直す「延長戦」を提案したいと思います! いいですか!?

(大拍手)

これまでの議論をまとめると・・・

「延長戦」はDHBRnetで!
5月31日に公開予定!
これまでの討論はこちら

みなさまのご意見を聞かせてください