男子校

海城中学校

「パワポ」より「ドラマ」! 体験学習で新しい自分が開花する

常に時代の先を見て、教育改革を実行している海城学園。辿った改革の道のりとその成果について教育ジャーナリスト・おおたとしまさ氏が密着取材した本が出版された。新校長就任で次の局面に入った海城の今とこれからは…。

アクティブラーニングで身につく 新しい学力と新しい人間力

 今話題のアクティブラーニングだが、海城では、20年以上前から知識習得型の教育に限界を感じ、新しい学力の育成に取り組んできた。
 その一つが中学社会科総合学習科目「社会Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ」。社会事象に関して、教員と生徒の双方向的な議論や生徒同士のディベートで論理構成力や反論方法などを中1次から学び、中3次には原稿用紙30~50枚もの卒業論文をまとめるオリジナル科目だ。社会科から始まった改革は他教科にも広がり、社会・国語・英語の3教科合同の総合講座など、合教科型・課題発見解決力を育成する方向に発展。通常授業でも各教員が自発的に工夫をするようになった。
 たとえば、ある年の高1の数学では、数学の原理が身近な生活で使われている応用例を調べるグループ学習が実施された。最終プレゼンでは、生徒たちは映像や実物を用意して、工夫を凝らしたプレゼンをした。その様子を「観念的なものを相手に分かりやすく伝えるのはかなり難しいが、伝える為に懸命に知恵を絞る生徒たちの姿には感動しました。自分で考え、それを自分の言葉で表現することに重点を置いてきた成果」と校長特別補佐の中田教諭は振り返る。

言語化できないことから学び 共感力を身につける体験学習

 こうした成果に大きく貢献しているのが、プロジェクトアドベンチャー(PA)やドラマエデュケーション(DE)だ。導入の発端となったのが、小学生のコミュニケーション能力の低下だった。2000年代に入った頃から、異年齢というだけで生徒同士関わり合うことが困難な状況が生まれ、それまでに整備してきた部活や行事が、それだけでは人間力育成の場として機能しづらくなってきたのだ。おおた氏の本でも、それぞれの取り組みの様子が詳しく紹介されているが、DEでは、プロの演出家から何度もダメ出しを受けながら、グループで一つの劇を作っていく過程で、生徒たちは伝える難しさと伝わった時の喜びを体感していく。PAもDEも、そもそも人は分かり合えないということを前提に、そこをどう乗り越えてチームとして協働するかを学び「新しい人間力」を育成するプログラムなのだ。導入から10年が経ち、かなりのレベルになってきた。
 昨春の卒業生が同プログラムを6年間受けた第1期生。大学合格実績でも良い結果が出たが「教育は一過性のものではなく、時間をかけて浸透していくもの」、同校がめざしてきた「新しい学力」と「新しい人間力」は、ここにきて、日本の教育改革の目標ともなっている。

グローバル教育部を新設 海外研修や留学制度もさらに充実へ

 昨年、第4期の改革に入ったが、その象徴が柴田新校長の就任。同氏は三菱商事から国際教養大学教員となった異色の経歴を持つ。豊富な海外経験とビジネス世界で培われたマネジメントが期待されている。おおた氏の本の中で柴田校長は「グローバリゼーションとは、(中略)自分とは違うものを認め、受け入れ、歩み寄る姿勢を意味する」と語る。これは「新しい紳士」に必要な要素であり、前述の「新しい人間力」でもある。主体的に学び続ける原動力は、知的好奇心を満たすこと。「自分が開かれていく感覚を知ってほしい」と語る。今後は海外体験の機会も増やして、生徒の好奇心を深掘りしていく。同校の教育の魅力は尽きないが、続きはぜひ同書を見てほしい。

School Data

海城中学校
最寄駅名 新大久保 西早稲田
URL http://www.kaijo.ed.jp/
大学合格実績 東京、一橋、東京工業、京都、東京医科歯科、東京外国語、早稲田、慶應義塾、上智、東京理科、東京慈恵会医科、順天堂など
学校基本情報 創立年(西暦) 1891年
併設校 海城高等学校
生徒数 (1年)329人
クラス編成 (原則)40人
男女比
授業時間 8:35~14:55 (土)~12:25
海外交流校
帰国生特別入試
中高6年間費用 569万円
交通情報 新大久保駅(JR山手線)徒歩5分、 西早稲田駅(東京メトロ副都心線)徒歩8分
所在地 〒169-0072 東京都新宿区大久保3-6-1
TEL 03-3209-5880