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Keep Watch! 時代の空気を経営のヒントに
【石原壮一郎 第10回 あなたの会社に「パンダ」はいますか?】

 

 それにしても、すごい歓迎ぶりでした。2月21日の深夜、中国からパンダ模様の飛行機に乗ってやってきた2頭のジャイアントパンダが、東京の上野動物園に到着。動物園の入り口では地元の商店街の人たちを中心に大勢の人たちが、横断幕やらパンダのイラストを描いたボードを掲げて出迎えました。

 「パンダが字を読めるわけじゃないのに、あれは意味ないよね」と呆れるのは野暮というもの。パンダの到着で盛り上がっている光景がニュースで流れることによって、上野全体がパンダを大歓迎している微笑ましいイメージを全国に印象づけました。おかげで、たとえばパンダを動物園に見に行った人が、上野の街でトホホな便乗商法を見かけたとしても、「ああ、頑張ってるなあ」とあたたかい気持ちで受け止めることができるでしょう。一般公開は3月下旬の予定ですが、さぞや盛り上がるに違いありません。

 1972(昭和47)年10月に上野に初めてパンダがやってきたときは、パンダブームが大爆発しました。上野動物園の年間の入園者数は、パンダが来た前年は400万人程度だったのに、パンダ効果が年間を通して反映された1973~74年度は、700万人を大きく突破。その後も、いろんなパンダが上野にやってきましたが、リンリンが死亡してパンダがいなくなった2008(平成20)年度は、60年ぶりに300万人を割り込みました。上野の街の人たちや動物園関係者が、パンダの復活に熱い期待を寄せるのもむべなるかな、です。

 2頭で年間8000万円という高額のレンタル料に対する批判の声もありますが、パンダ効果で仮にプラス100万人の人が上野にやってきて、動物園や周辺で1000円ずつ使えば、それだけでプラス10億円の経済効果です。思想信条の話やら何やらはさておき、単純にお金の話だけで言えば、けっして「税金の無駄遣い」という批判は当たらないでしょう。

 さすが「客寄せパンダ」「人寄せパンダ」と、集客力の代名詞になるだけのことはあります。こんなふうにパンダのパワーを見せつけられると、「目玉」となる存在がいかに大切かをあらためて思い知らされずにはいられません。パンダがいなかった今までの上野動物園だって、ほかに500種類の動物が飼育されていて十分に楽しめる場所だったはず。しかし、「あそこに行けば○○に会える」というわかりやすくてインパクトある「目玉」がないと、多くの人の興味を引きつけて実際に足を運ばせる吸引力は発生しないようです。

 話は飛びますが、ほんの5、6年前までの男子ゴルフの世界も、宮里藍などの活躍で人気絶頂だった女子ゴルフの陰に隠れて、ちょっと地味な雰囲気でした。ところが、2008(平成20)年に石川遼がプロデビューしたとたんに、全体の人気も注目度も一気にアップ。ひとりの「目玉」が、いかに大きな影響力を持つかをまざまざと見せつけてくれました。

 飲食店にせよ小売店にせよ、あるいは製造業にせよ、「あそこ行けば○○がある」「あそこは○○がウリ」という客寄せの「目玉」があるとないとでは大違い。常に、自分のお店や会社にとっての「パンダ」を探したり創ったりする意識を持ちたいものです。パンダに負けずに、斬新なアイディアでお客さんの目玉を白黒させてしまいましょう。

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