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マネジングボード Managing Board

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【第1回 チャイナ・コンシェルジュ社長 大西 正也  中国で「リクルート」モデルを体現フリーペーパーの先駆者になった男】

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 このとき、単純に広告を集めるだけで終わらせなかった商魂こそが、まさに「リクルート仕込み」。当時、訪日中国人客には個人での観光ビザ発給が認められていなかった。そこで中国の旅行会社を回り、自治体の地元を訪れる団体ツアーをつくってもらい、広告とともに旅行プランを掲載した。

 さらに掲載後はツアー客1人当たり単価や参加人数などの結果、売れなかった場合はその原因をつぶさに自治体へレポートした。こうして06年3月から08年12月までに累計3万2000人の中国人ツアー客を日本に送り込んだ。現在、38都道府県と取引がある。

第2ステップは日本政府のウェブサイトで訪日促進 12年メドに中国で上場も


わが社はこれで勝負!
中国人向け訪日旅行誌「A[ei]」は現地旅行会社約180店舗や航空会社、空港などに配布し、12.5万部を発行。「Concierge」は中国や香港で発行されている日本人向け、「needs」は香港人向けのフリーペーパー

 「まだ第一段階。紙の媒体だけでは限界がある」と大西。次のステップはインターネットだ。自らのネットメディアに加えて、日本政府観光局の中国向けウェブサイトのコンテンツを制作し、訪日へと導くネットマーケティングに乗り出している。

 経営は節目に立つ。04年までは経常黒字を続けたが、その後4年間は赤字。04年に海外五法人を束ねる日本法人の統括会社をつくり、組織強化のために従業員数を大幅に増やし、コストが増大しているのが赤字の主因だ。さらに日本の監査法人の指導を受けて経営体制を厳格化した。業績は痛手を受けたが、中国ルールに従ってきた同社が日本の大手企業や政府との提携、取引を増やしていくには避けられない洗礼だった。

 現在の出資構成は大西本人が49%、ベンチャーキャピタルが40%。12年をメドに上場を目指す。中国大手証券会社からは中国新興市場での上場の提案を受けている。

 国際化の時代、観光、ビジネス、勉学の人の流れが国を超えてボーダレス化していくなか、同社の成長は「日本は訪れる価値のある国になれるか」にかかっている。

 「経済も文化も魅力は大きいが、アピールが足りない。たとえば留学生を増やすにも、どんな大学があるのか海外に情報発信できているのか。日本での生活をサポートする体制は整っているのか。まずは各自治体が各国言語に対応する情報インフラを整える必要がある」と大西。

 目下、中国と日本の地方を結ぶことに汗をかく。世界と日本を結ぶ懸け橋として「コンシェルジュ」は奔走する。(敬称略)

(「週刊ダイヤモンド」編集部 臼井真粧美 2009年11月21日号)

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