牧野 和彦 ナレッジマネジメントジャパン 代表取締役社長
1989年早稲田大学卒。ダンアンドブラッドストリートジャパンを経て2000年6月に現在の会社を設立。与信管理のコンサルティングや講演、執筆など幅広い活動を行なう。著書に『eビジネスのリスクマネジメント』(エクスメディア)、『海外取引の与信管理と債権回収の実務』(日本実業出版社)などがある。

信用リスク管理“焦げつき”債権をいかに防ぐか

未曾有の経済危機の影響を受けて国内でも倒産件数が増加している。各企業とも厳しい経営を強いられているなかで、万が一取引先が倒産するような事態になれば、影響は計り知れない。こんな時代だからこそ、リスクマネジメントの視点に立って、企業の信用をいかに管理していくかが問われているのである。取材・文/津田浩司  撮影/大塚 俊

的確な現地調査と客観情報を組み合わせた信用状態の把握が重要

不況に伴う倒産件数の増加のなかで、与信管理の重要性が高まっている。その際の基本は、情報収集である。現地調査や信用調査レポート、登記簿などの情報源に当たる手間を惜しんではならない。取引信用保険やファクタリングなどの活用も含めて、トータルな信用リスク管理が求められている。

 世界的な経済危機のなかで、企業倒産件数は顕著な増加を示している。これは、ほぼすべての業種に共通する傾向だ。
 新規顧客との取引を始めるに当たって、ほとんどの企業は審査を行なっている。もちろん、現金や前金での取引ならば審査は不要だが、圧倒的に多いのは後払いの取引だ。
 また、手形決済の減少という事情もある。ナレッジマネジメントジャパン社長で与信管理コンサルタントの牧野和彦氏は、次のように指摘する。
 「20年ほど前に比べると手形決済は10分の1程度まで減り、代わって後払い取引が増えています。手形の不渡りは倒産に直結します。これに対して、後払いの約束で期日に支払えなければ信用は低下しますが、倒産のような深刻な事態には至りません。手形に比べると、債務者側の真剣さが違います」
 経済環境の悪化と後払い取引の増加により、与信管理の重要性はますます高まっている。

現地調査で相手を知る登記情報の分析も重要

 与信管理の際に重要なのは、言うまでもなく情報収集である。牧野氏は「情報収集には現地調査と客観的な情報の収集の2種類があります」という。
 現地調査とは、文字通り相手企業に足を運んで、信用を判断するための材料を集めること。その企業が本当に実在するのかから始まって、従業員が何人くらいか、どのような業務が行なわれているのか。また、工場や倉庫であれば、設備の稼働や在庫の状況についても観察する。
 また、客観情報としては、信用調査会社のレポートを利用するのが一般的だ。もう1つの重要な情報源が、商業登記と不動産登記である。現在では、インターネット経由で簡単に登記情報を取得できる。
 登記情報を分析する際のポイントは、以下のようなものだ。
 「まず、社名や本店所在地の変更が頻繁に行なわれていないか。きちんとした理由があればよいのですが、そうでない場合は注意が必要です。設立年や資本金のチェックも欠かせません。長い業歴があるように見せたい、資本金が大きいように見せたいと、偽った情報を伝えるケースもあるからです」(牧野氏)

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