信頼できるマンション管理

マンション購入後、住民にとって重要なのは、その資産価値をどう維持するかだ。キーポイントの一つとなるのがマンション管理だ。主役は区分所有者で構成する管理組合だが、その組合を補佐・支援する役目を担うのが管理会社だ。マンション管理は、ここ数年価格破壊の嵐が吹き荒れたが今は沈静化し、安さだけではなく、住民が『管理』に求めるものは多様化し、管理会社はその幅広い注文に応えなければならなくなってきている。今、マンション管理会社に求められていることをレポートする。

1棟1棟によって異なる資産価値の維持・向上に必要な管理築後年数や居住者年齢に応じた質の高いサービスが求められる

いわゆるマンション管理適正化法が施行されて久しい。今春には同法施行規則が改正され、管理組合の資産などについてより厳格な管理が要求される。管理会社各社はすでに対応を終えているが、さらに上質のサービスを求める動きは止まらない。

 今年5月に施行される、マンション管理適正化法施行規則の改正では、マンション管理組合の財産の分別管理や会計の収支状況に関する書面交付などにおいて、より厳格な運用を求めている。建設不況に伴って管理会社の統廃合などが相次ぎ、管理会社や従業員のモラルが問われる事態も少なくなかった。こうした状況の打開策として打ち出された改正だが、すでに主だった管理会社では対応を終えている。改正による混乱は回避される見込みだ。
 とはいえ、景気低迷などを背景に、管理会社の質やコストを問う声はますます高まっている。現行の管理会社への委託を継続するか否か、真剣に検討する管理組合が多いことは確かだ。

コスト競争よりもサービスの質が問われる時代に

 委託管理会社の変更の目的として第一に挙がるのは、コスト削減である。あるマンションでは、大規模修繕などにかかる費用が、資材費高騰のあおりを受けて予想外に上がったため、委託管理会社変更を検討し始めたという。積立金の不足分を、管理委託費の削減によって捻出(ねんしゅつ)しようという考えからだ。
 しかしながら、コストだけを見ていては適切な管理は望めない。乱暴な言い方になるが、コストを削ればサービスの質が下がるのは、マンション業界に限らず一般的な常識だ。マンションにとって必要な管理サービスとは何かをしっかりと把握したうえで、価格交渉に臨むことが重要だ。
 「特に築15年以上の物件では、管理委託契約に付随する仕様書見直しが効果的です」と教えてくれたのは、管理組合のコンサルティングなどを手がけるソーシャルジャジメントシステム(SJS)代表取締役社長の廣田晃崇氏である。仕様書とは、委託された管理業務の具体的な内容と、それぞれにかかる費用を記載したもの。管理組合総会などで内容報告が必要な重要事項にも指定されている。
 廣田氏によると、比較的古い仕様書のなかには、管理員の勤務シフトがはっきりしていなかったり、実際には行われていない業務まで記載されているものもあるという。見直しされないままの記載された内容が実態と合っているのか、不要な業務が記載されていないかなどをチェックし、価格設定を一つずつ確認していくことで、相当程度の委託費カットも可能になる。また、警備費など委託契約を交わした当時よりもコストが低くなっているサービスも少なくない。実勢価格と契約価格を比較するだけでも、コスト削減が可能な項目が出てくるかもしれない。
 もちろん、仕様書に定められた業務が日常的にきちんと遂行されているかもチェックすべきだろう。「管理員の行動を1ヵ月程度追跡すれば、日常業務のレベルを判断できます」と、廣田氏は語る。そうはいっても、管理組合として日常の細かな作業をチェックすることは簡単ではなく、手落ちを立証するのはさらに難しい。問題があるようなら、業務チェックのノウハウを有するコンサルティングのサポートを受けてみるのも一つの方法だ。

図 管理会社について

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