安心・快適な高齢者専用住居(有料老人ホーム・分譲マンション)選び リタイア後のセカンドライフを充実させるため、また介護が必要になった後の生活を自分らしく過ごすためには、「住まい」のあり方が重要な要素になる。 2000年の介護保険制度の開始以来、有料老人ホームをはじめとする高齢者専用住居の形態は、多種多様に、ドラスティックに変化している。 お仕着せの施設ではなく、自分らしい暮らし方ができる住まいへの進化——。 ここでは最先端の高齢者向けの「住まい」を紹介する。

取材・文/上條昌史 撮影/藤井 徹

安心して過ごせる有料老人ホーム・シニア向け 分譲マンションの賢い選び方

日本では65歳以上の高齢者人口が2800万人を超え、本格的な高齢社会に突入した。 有料老人ホームや高齢者用マンションへの入居者数も着実に増えている。 一方で介護ビジネスには多種多様の企業が参入し、施設やサービス内容の幅も広がっている。 入居者側はどのような点に留意すればよいのか。 有料老人ホームの入居事情に詳しい武谷美奈子さんにお話を聞いた。

 今高齢者向けの住まいの種類には、さまざまなものがある(表1参照)。

 福祉を目的とする特別養護老人ホーム(入居待機者数が多い)などを別にすれば、現在主流になっているのは、民間企業や社会福祉法人・医療法人などが運営する「有料老人ホーム」だ。そのなかには、介護サービスを受けられる「介護付き」、介護保険の在宅サービスを利用できる「住宅型」、健康で自立できる高齢者のための「健康型」の3種類がある。

 また、「シニア向け分譲マンション」も注目されている。バリアフリー仕様やスタッフによる緊急時対応、提携事業者の訪問介護サービスの提供など、さまざまな付帯サービスを取り揃えているのが特徴で、レストランや大浴場を併設しているところもある。最近では、「高齢者向け賃貸住宅」(住宅内で介護サービスを提供するところもあり)も増えてきた。

入居者の現状を把握し、 家族の考えを統一しておくことが大切

 では、こうした高齢者向けの住まいを選ぶときのチェックポイントとは何だろうか。事前準備として、次の四つのポイントがあると武谷美奈子氏は明かす。

 「まず、目的を明確にし、入居者本人の現状に合わせた選択をすること。第二の人生をエンジョイしたいのか、それとも手厚い介護体制が必要なのか。将来が不安だからといって、元気なうちから介護重視の施設に入ってしまうと、気がめいってしまうケースもあります。

 二つ目はしっかりと予算を立てること。たとえば有料老人ホームの場合、入居契約の際に払う『入居金』と、月々に支払う『月額利用料』があります。入居金は施設によって0円~数千万円まで幅があり、毎月の利用料も十数万円~数十万円と大きく違います。余裕のある資金計画を立てるには、平均余命に数年加えた想定入居期間を設定する必要があります。

 三つ目は立地です。立地は生活の快適さを左右する大きな要素。住みなれた街がいいのか、家族が住む街に近いほうがいいのか。都心なのか、自然が豊かな郊外がよいのか。何を基準にして選ぶかを、本人の希望と家族の状況を考え合わせて決めておく必要があります。

 四つ目は入居の目的や予算や立地などについて、本人と家族の考えを統一しておくこと。金銭面での家族間の相違から、住まい探しが暗礁に乗り上げてしまうケースもあります。何のため、誰のためのホーム探しなのか、本質を見誤らないようにしたいものです」
表1:高齢者施設分散図

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インターネットインフィニティー日本有料老人ホーム紹介センターチーフアドバイザー 武谷美奈子

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武谷美奈子 たけや・みなこ 学習院大学経済学部卒業後、リクルート入社。人材紹介会社、調査会社などを経て、現在に至る。「有料老人ホームの選び方」をテーマとした講演活動をはじめ、入居相談アドバイザーとして年間300件以上の相談を受ける。著書に『有料老人ホーム 賢い選び方』(日経BP社)などがある。