日本の住宅が変わる!「安心・安全」で「エコ」な家へDIAMOND online plus

インテリアやエクステリアと違って、住まいの「安心・安全」や「省エネ性能」は目には見えない要素。しかし、あえてここに注力することで、家が長持ちするうえ、住み心地も大幅に向上する。震災以降、従来の「価格重視」から住宅の基本性能に目を向ける人が増えたことが、日本の住宅のグレードを押し上げつつあるようだ。

古い「家づくりの常識」を変えていく

地震とエコに配慮した 「これからの住まい」の造り方

「安心・安全」で「エコ」な住まいを手に入れるには、まず、何から始めればよいのだろうか。タレントの乾貴美子氏が、建築環境工学を専門とする東京都市大学の坊垣和明教授に聞いた。

住宅性能表示制度で「安心・安全」を得る

 東日本大震災を経て、住まい選びの傾向が大きく変わってきたといわれます。

坊垣 確かに安心・安全面に強い関心を持つ人が増えました。

 けれど、どこに目を向ければ安心・安全な住まいになるのかが、よくわかりません。

坊垣和明 ぼうがき・かずあき
1949年、兵庫県生まれ。北海道大学工学部建築工学科卒業。工学博士。建設省建築研究所第五研究部長、独立行政法人建築研究所研究調整官、研究総括監、首席研究員を歴任し、2008年より武蔵工業大学(現・東京都市大学)教授。シックハウス問題に取り組むほか、住宅・建築における居住性能向上や省エネルギーに関する各種プロジェクトに参画、主導している。著書に『寿命を縮める家』(講談社ブルーバックス、共著)、『民家のしくみ』(学芸出版社) などがある。

坊垣 いくつか観点があるのですが、わかりやすいのは住宅性能表示制度を利用することでしょう。住まいの性能の10分野に対し、第三者機関が公平な立場で評価し、表示するものです。

 すでに立っている住宅に対し評価、表示するのですか。

坊垣 戸建て、マンションともに住宅を建てる会社が、評価を受けてから売るケースもあるし、建てる人が「耐震等級は3を取ってほしい」という具合に依頼することもできます。

 たとえば等級のいくつを取れば、今回の大震災規模の地震でも安心できるのでしょうか。

坊垣 耐震等級3ならまず大丈夫でしょう。建築基準法の耐震性能を満たしても、住宅性能表示制度では等級1でしかありません。強い住宅を望むなら、高い等級を取る必要があります。固い地盤を選ぶことも大事です。

 でも、そうすると建築費もかさんでいくのでは。

坊垣 普通の住宅が3.5寸(10センチ角)の柱を使うところ、4寸から4.5寸にするなど、材料を多く使ううえ、手間もかかりますから、当然建築費は上がります。といってもべらぼうに高くなるわけではなく、耐震等級3まで高めたところで、せいぜい1~2割増ですむはずです。

補助金を活用していい家づくりを推進

乾 貴美子 いぬい・きみこ
1975年、 東京生まれ。立教大学文学部心理学科卒業。96年~99年、「ニュースステーション」(テレビ朝日系)の天気コーナーを担当。現在はテレビ、ラジオを中心にタレントとして活動。2006年 女児を出産。環境問題への関心も高く、環境社会検定試験(eco検定)を取得するなど勉強を重ねている。

 いい住宅は欲しいけれど、建築費が上がるのは困ります。

坊垣 そこで長期優良住宅への補助金など、いい住宅づくりをバックアップする制度があるわけです。長く持つ、安全性と耐久性が高い住宅に対しては、一定の基準を満たせば100万~120万円の補助が出ます(注1)。長期優良住宅なら、各種税制面での優遇もありますから、長い目で見れば、建築費上昇分の多くは、戻ってくるわけです。

 住宅エコポイントも、今年度中に復活するそうですね。

坊垣 一定の省エネ基準を満たせば、新築で15万ポイント(15万円相当)、被災地は30万ポイントが発行(注2)される予定です。

(注1)年度ごとに、受付期間が限られるなどの制限がある。
(注2)長期優良住宅への補助金交付を受けると、住宅エコポイントの交付は受けられない。

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