R-DNA 立命館value(11)

REPORT「グローバル・シミュレーション・ゲーミング」国際関係を体感するリアルなゲーミングを通じて多角的な思考力を養う

DIAMOND online Plus
立命館大学
立命館大学の国際関係学部には、学部創設以来の名物授業がある。学生たちがアクター(国際社会を担う主体)に扮して外交交渉を行う、「グローバル・シミュレーション・ゲーミング(GSG)」だ。内容・規模共に他に類を見ない野心的な試みであり、実践的な教育の取り組みとして高く評価されている。

 各教室の間を、スーツ姿の“各国代表”が、せわしなく行き交う。ノートパソコンを手にそこかしこで交渉が行われ、国連関連機関の職員が調整に走る。マスコミがスクープを求めて歩き、新聞社は号外を発行する。会議場の前の廊下では“グリーンピース”が抗議行動のシュプレヒコールを上げ、その模様を“アルジャジーラ”がUstreamで動画中継する。

 6月29日、立命館大学衣笠キャンパス「敬学館」は、朝から“国際会議”の熱気に包まれていた。国際関係学部が行うグローバル・シミュレーション・ゲーミング(GSG)の集大成の日である。GSGとは、参加者全員がそれぞれのアクター(国家や国連、NGO、マスコミなど)になりきって、国際政治や国際経済の動きの中で、課題設定、政策立案、交渉や政策行使という一連のプロセスを、擬似的に体験するバーチャルリアリティゲーミングである。

交渉を通じて問題を解決する行動力を身に付ける

立命館大学国際関係学部 河村律子准教授

 GSGの目的について、立命館大学国際関係学部・河村律子准教授は、「徹底してアクターに扮することによって、多角的な視点から見た国際情勢への知識を養い、現実の国際社会についての理解を深めることにある」と説明する。

 同学部はGSGを導入期教育の総まとめ、および専門教育の橋渡しとして重視し、2回生での履修を義務付けている。

 今年度のテーマは「食料安全保障と、それに関係する環境問題」と設定。4月のガイダンスから事前学習授業が始まり、各アクターによるアクター研究、プレゼンテーションや政策検討会、ミニGSGなどのクラス授業とクラス合同授業を計10回行った上で本番を迎える。クラス授業は教員を交えたゼミ形式で行われるが、本番では教員はオブザーバーに徹し、学生主体で運営される。

「例年、研究や討論による知識の獲得はもちろんですが、チームをマネジメントすることや、それぞれの国益を背景に交渉することの難しさを学んでいきます。本番での交渉の前に、根回しをする例もあり、自然とコミュニケーション力や、自ら問題を発見する力、それらを解決する行動力を身に付けていきます」(河村准教授)

 テーマによっては討論が白熱し、国際会議で協定の合意や条約の締結が実現しないケースもある。印象的だったのは、学生たちがメールやUstreamなどのツールをうまく使いながら、有機的なネットワークを構築し、バラバラに見えながらも全体が一つの方向に向いて動いていたことだ。事前の勉強に裏打ちされた発言者の論旨の明快さも目立った。「今年は大国の姿勢が柔軟過ぎて、ややもの足りない部分もあった」と語る河村准教授だが、それも含めてのゲーミング。自らが積極的に問題を発見し、解決する力を育成する立命館のR-DNAが、隅々まで実現された画期的な授業風景だった。

「グローバル・シミュレーション・ゲーミング」の様子

問い合わせ先

立命館大学入学センター TEL:075-465-8351
大学ホームページ http://www.ritsumei.ac.jp/
入試情報サイト「リッツネット」http://ritsnet.ritsumei.jp
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週刊ダイヤモンド2013年8月5日号と同時掲載
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