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「大失業時代」を逆手に、人手不足の農業に人材流入の動きも

 派遣社員を中心とする非正規社員の失業数は10万人台、あるいは30万人近くにまで膨らむかもしれない――。

 厚生労働省は2008年11月末、「08年10月から09年3月までの6ヵ月間に失業あるいは失業する見通しの非正規労働者が、全国で3万67人に上る」と発表した。ところが、それからたった1ヵ月で、これが“ミニマムの数字”となる可能性が高まっている。

  「現在のリストラは氷山の一角。各労働組合や派遣会社などの関係各所と意見交換をすると、『公表数字の2~3倍、もしくは1ケタ多くなるのではないか』という声さえ聞こえる。派遣という雇用形態でなくても、たとえば建設業における“大工の一人親方”などへの影響も大きく、数字に現われない失業者が増える可能性は高い」(関係者)

 その予想を裏づけるかのように、12月26日の厚労省の発表によれば、同月12月19日時点の非正規労働者の「雇い止め」は、すでに8万5012人にも上っている有様だ。

 今秋以降の本格的な景気後退を機に、トヨタ自動車を筆頭とする自動車産業で「派遣1万人切り」が発生し、ソニーや日本IBMなどの電機メーカーでも、正社員まで含めたリストラの発表が相次いでいる。製造業を中心とする“未曾有の大リストラ”が始まり、まさに「派遣は雇用の調整弁」と言わんばかりの企業の対応が鮮明になっているのだ。

 これまで「強い日本企業」の代名詞的な存在だったトヨタにいたっては、前年度に達成した2兆2703億円という過去最高益から一転して、09年3月期は業績予想を大幅下方修正、1500億円もの営業赤字に転落する見込みだ。大企業の苦境が日本経済に与える悪影響は、計り知れない。

  「利益が出ない、売り上げも見込めない」という現状では、工場閉鎖や従業員の解雇は避けようもなく、今後失業者数は増える一方だろう。

 工場労働者ばかりではない。巷では製造現場の「派遣切り」が目立つが、ここに来て「08年末で事務系派遣が打ち切られた」(不動産会社)という声も聞こえ始めた。今でこそ「事務系派遣で契約打ち切りの大きな動きは見られない」(大手派遣会社)というが、今後は契約が短期化され、雇用調整を容易にしようとする動きが出てくるだろう。

 それは、厚生労働省のデータからも明らかだ。一般労働者派遣事業における労働者派遣契約の期間は、06年度の統計で3ヵ月未満が81.8%(前年度73・0%)、6ヵ月未満が全体の94・2%(前年度91.0%)を占めており、契約の短期化は確実に進んでいる。

 このような雇用調整の動きは、実は「過去の不況時と比べてもかなり激しいレベル」という見方が強い。たとえば、雇用環境を悪化させる経済事件が相次いだ1990年代後半と現在とを比べてみよう。非正規社員ばかりでなく、エリート正社員もうかうかしていられないのが現状なのである。

 97年には、山一證券の破綻、消費税の引き上げに加えてアジア通貨危機が発生し、現在と同様に「金融危機の恐怖」が叫ばれた。アジア全体の成長にブレーキがかかった結果、97~98年頃から賃金カットと正社員の採用抑制が本格化したのである。

 株主対策も含め、人件費を変動費に転化させたい企業は、非正規社員の大量採用や正社員への「年俸制」導入などを通じて、人件費の固定費分を削減し続けた。

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