【第24回】 2008年03月13日
リー・アイアコッカ
[クライスラー社CEO]
アメリカ自動車産業の救世主
最高経営責任者(CEO)の名士扱いが本格的に始まったのは、リー・アイアコッカからだ。1980年代、自動車の巨人クライスラー社を鮮やかによみがえらせた手腕によって、アイアコッカは企業の英雄になった。
1946年、フォードモーターコーポレーションにエンジニア研修生として入社したアイアコッカは、自分はセールスマンではないと訴え続けた。しかし、その素質があったことは間違いなく、革命的な自動車ローン支払いプランを案出したことで、フォードに衝撃的な貢献をしている。
アイアコッカはフォード・マスタングを導入し、1970年には同社の社長に昇進した。ヘンリー・フォード2世が仕掛けた社内の権力抗争のあと、1978年に解雇されたアイアコッカは1979年、戦いの場を移し、クライスラー社に入ってCEOとなる。
生い立ち
リー・アイアコッカは1924年10月15日、ペンシルベニア州のアレンタウンで生まれた。家族はイタリア移民で、ナポリの北のサンマルコという小さな町の出身だった。父親はホットドッグを売っていた。世の多くの家族と同様、アイアコッカ家にとっても、1920年の終わりから1930年代にかけての時期は厳しい時代だった。父親は無一文になり、自宅も失いかけた。
リー・アイアコッカはそのときわずかに7歳ではあったものの、大恐慌の厳しさから倹約の意識を深く刻み込んだ。そのために、リスクを取ることに消極的とまでは言えないかもしれないが、投資に対しては保守的で、浪費に対しては否定的だ。
成功への階段
フォードの有名なリバールージュ工場でトレイニーとして働きながら、アイアコッカは自動車製造のあらゆる工程を勉強した。石炭と石灰石の選別工程から始まり、鋼鉄の生産、そして組立ライン上での自動車の製造までの全工程だ。それは当時の自動車業界が用意できる、まさに最良の訓練だった。
訓練の課程を終えると、アイアコッカはエンジニアリング関連の仕事を選ばずに、ペンシルベニア州チェスターにあるフォードの販売部門で働くことにした。根っからのセールスマンではなかったものの、訓練と経験を通して急速に実力をつけ、引っ込み思案で口ごもるような販売担当者から、1949年にはセールスマネジャーに昇進していた。
1950年代はアイアコッカにとって幸せな時代だった。50年代の初期、フォードが実施した流通スタッフ削減を生き残り、1953年にはフィラデルフィア地区担当のアシスタントマネジャーになった。1956年には、フォードの自動車の販売不振を何とか打開しようと、アイアコッカは「56ドルで買える56年型車」と銘打った斬新な自動車ローンの支払いプランを導入した。
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