ダイヤモンド社の雑誌

これが気になる!

このページを印刷

バックナンバー一覧

歴史雑誌と缶コーヒー、バーと読書――。
不況脱出図る出版業界の“珍コラボ”作戦

 大手出版社小学館が、グラビア誌「sabra」、少女漫画雑誌「ChuChu」、
さらには同社のシンボルといってもいい学年雑誌「小学五年生」と「小学六年生」の休刊を発表した。

 雑誌の休刊(事実上の廃刊)は珍しいことではないが、大手出版社が比較的短い期間に4つもの休刊を発表するのは、異例である。

 大不況が叫ばれる昨今だが、出版界の不況は深刻かつ長期に渡るもので、小学館の例はその一端にすぎない。

 すでに1980年代には「若者の活字離れ」が問題となっていたが、特にこの十数年は情報収集源としても、娯楽の供給源としても、インターネットに代表される他のメディアに食われているのが現状だ。

 もちろん、出版界も手をこまねいているわけではない。根本的な解決策につながるかもしれない流通システムの見直しや、電子書籍の充実などには踏み込めていないものの、ここ数ヵ月に限ってみても、面白い試みは行なわれている。

 そんな取り組みの一例として、今回は「缶コーヒーと歴史雑誌」「ウイスキーと読書」といったユニークなコラボレーションを紹介したい。

 まずは缶コーヒー市場でトップシェアを誇る「ジョージア」の「戦国時代の武将シリーズ」だ。10人の戦国武将を描いた10種類のジョージア缶コーヒーが、11月上旬より数量限定で全国のコンビニエンスストアに並んでいる。

 実はこれ、歴史雑誌「歴史街道」(PHP研究所刊)の監修によるもので、信長、秀吉、家康といった定番はもちろん、「レキジョ(歴女)」に人気の直江兼続、前田慶次郎までがカバーされている。

 ふだん缶コーヒーをあまり買わない層へのアピールはもちろん、ゲームやドラマの影響で戦国武将に興味を持ってはいるものの「専門誌の存在は知らない」というライト層へアピールする側面もあり、「双方が得をする」というコラボレーションの見本である。

 一方、ニッカウヰスキーと「企業、商品、サービスを本で演出する」がモットーのブックコンシェルジュアソシエーションは、バーで読書を楽しむ「バー読(ばーどく)」を提唱している。

 これは、東京都港区にあるニッカ直営の「ニッカ・ブレンダーズ・バー」で、2010年の1月末まで試みられる予定のコラボだ。このバーでは、年代別、性別、飲用経験度など、お客の嗜好に合わせてウイスキーと本をセットで提供するメニューがある。客が自由に選べるミニライブラリーも設置されているという。

 「バーで読書」とは、あまりにキマり過ぎていて気恥ずかしい。しかしカフェで読書をする習慣のある人や、バーに1人で出かける人にとっては、日常から一歩踏み出すだすだけの行為でもある。

 何より、周囲のお客も読書を楽しんでいるブレンダーズ・バーでは、照れることもないだろう。お試しの場としては、最適だ。これをきっかけに新しい世界観が開けるかもしれない。

 前述したように、こうしたコラボレーションは、出版不況の根本的な解決にはつながらない。しかし読書人口をキープするための試みとしては面白いし、一定の効果も見込める可能性がある。

 多くの選択肢から活字を選んでもらうためには、チャネルが多いに越したことはないのだから。

(工藤 渉)

おすすめ関連記事

ソーシャルブックマークへ投稿: このエントリーを含むはてなブックマーク この記事をYahoo!ブックマークに投稿 この記事をBuzzurlに投稿 この記事をトピックイットに投稿 この記事をlivedoorクリップに投稿 この記事をnewsingに投稿 この記事をdel.icio.usに投稿

Special Topics

バックナンバー

第265回
漫画から動画まですごい仕掛けが満載 「変わり種名刺」であなたも商機を掴め! (2010年03月12日)
第264回
もはや「婚活」まで神頼み!? 若者が神社や寺院に“萌えまくる”理由 (2010年03月11日)
第263回
例年より寒い冬に空前の売れ行き? “冬アイス”ブームは何故起きたか (2010年03月08日)
第262回
えっ? こんな狭い所にお店が――。 進化系“空きスペースビジネス”の全貌 (2010年03月05日)
第261回
“大人買い心理”をくすぐる絶妙な戦略 「漫画全巻まとめ買いサイト」が大人気! (2010年03月02日)
第260回
オリジナルの「小学1年生」が作れる? 子供の入学式に特別な記念を残そう (2010年02月26日)

バックナンバー一覧

Pick Up

山崎元のマルチスコープ

官民一体の海外ビジネス受注期待を怪しむ

韓国やロシアなどが国外で官民一体の受注攻勢を仕掛ける中、日本‥

エコカー大戦争!

ハイブリット車は主力製品にならない! 車文化を食い潰した日本には真似できない 欧州自動車メーカーの腹のくくり方

ジュネーブモーターショーを訪れて分かったのは、3つの大きな流‥

ミドルマネジャーのための「不機嫌な職場」改革講座

この閉塞感はどうにもならないのか? 組織の成果を最大化する人事制度とは

不機嫌な職場の大きな原因は、やはり「成果主義」によるチームの‥

ビジネスモデルの破壊者たち

知恵と包丁は使い様!次々と有名シェフを 生み出す料理専門CATV局の躍進

料理専門のケーブルテレビ局が大ブレーク。背景には、料理嫌いだ‥

最新の連載一覧

すべての連載

特集を見る

Diamond Premium 最新記事 無料会員登録すると全文が読めます

週刊ダイヤモンド 企業特集
ユニー 前村哲路社長インタビュー 「現場の自由裁量権を広げ 個店経営のウエートを高める」
『社会貢献』を買う人たち
キレイになって、途上国を支援! 女性の飽くなき「美への探求」が生んだ、一石二鳥のビジネスモデル
起業人
地方に埋もれたうまい食材を発掘し 築地市場に乗り込んだ風雲児 食文化社長 萩原章史
山崎元のマネー経済の歩き方
対等合併の呪
野口悠紀雄 未曾有の経済危機を読む
総需要の減少をもたらした2つの要因 ──今こそ必要なデフレの経済学(5)
原英次郎の「強い中堅企業はここが違う!」 トップに聞く逆境の経営道
段ボール業界随一の原価計算の鬼! アースダンボールに学ぶネット販売の真髄 ~奥田敏光社長に聞く(下)
週刊ダイヤモンド 企業特集
【企業特集】ユニー 提携と差別化戦略で狙う “超”地方小売りチェーン
「測るための標準」を考える
紀元前2500年頃に造られたピラミッドの建築に当たっては、常に同じサイズの石を…
DOL編集部のツイッターを開始
最新記事の話題から編集部の日常まで、24時間つぶやきます。フォローよろしくお願いします。

この連載について

ビジネスのヒントに、取引先との話題のネタに、日々生まれる「流行」は常にウォッチしておくべし。オン・オフ問わず、世の中の気になるトレンドをキャッチアップします。

Recommend 話題の記事

今週のキーワード 真壁昭夫
キム・ヨナやサムスンに“脅威論”が噴出 「日本はもう韓国に勝てない」は本当か?
『週刊ダイヤモンド』特別レポート
県が格安で手に入れた茨城空港 「軍民共有化」というカラクリ
SPORTS セカンド・オピニオン
大リーグ球団にとっての、日本人選手の価値を考える
政局LIVEアナリティクス 上久保誠人
参院選がどう転んでも、 政界の「世代交代」加速は止められない
週刊ダイヤモンド 企業特集
ユニー 前村哲路社長インタビュー 「現場の自由裁量権を広げ 個店経営のウエートを高める」
野口悠紀雄 未曾有の経済危機を読む
総需要の減少をもたらした2つの要因 ──今こそ必要なデフレの経済学(5)
今週の週刊ダイヤモンド ここが見どころ
あなたは保険会社に騙されている!? 「保険見直し」のバイブルが登場
はい上がれる人、はい上がれない人――「負け組社員」リベンジの十字路
“人生の負け組”が勢ぞろい! 負け組リベンジの名門「奇跡の屋台ラーメン」
業界別 半年先の景気を読む
市場規模はピーク時の6分の1!? バイク業界にみる縮小市場で生き残る方法
『社会貢献』を買う人たち
キレイになって、途上国を支援! 女性の飽くなき「美への探求」が生んだ、一石二鳥のビジネスモデル

雑誌定期購読のご案内


詳しくはこちら

特大号・特別定価号を含め、1年間(50冊)市価概算34,500円が、定期購読サービスをご利用いただくと25,000円(送料込み)。9,500円、約13冊分お得です。さらに3年購読なら最大49%OFF。


詳しくはこちら

1冊2,000円が、通常3年購読で1,333円(送料込み)。割引率約33%、およそ12冊分もお得です。
特集によっては、品切れも発生します。定期購読なら買い逃しがありません。


詳しくはこちら

年間12冊を定期購読すると、市販価格8,400円が7,150円(税・送料込み)でお得です。お近くに書店がない場合、または売り切れ等による買い逃しがなく、発売日にお手元へ送料無料でお届けします。
※別冊・臨時増刊号は含みません。


詳しくはこちら

偶数月の1日発売(隔月刊)。1年購読(6冊)すると、市販価格 5,880円→4,700円(税・送料込)で、20%の割引!
※別冊・臨時増刊号は含みません。

お知らせ・ご案内

会員専用ページ開始のお知らせ
7月より一部の記事で、無料会員登録した方だけが全文を読める形に変わりました。詳細はこちらをご覧ください。