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バレンタイン商戦の主流は
「本命」「義理」より「友チョコ」に?

森永製菓の期間限定商品「逆ダース」「逆チョコ」。「逆ダース」の中身12粒のデザインがすべて逆になった「HAPPYダース」が7箱に1箱の割合で登場するという仕掛けもある。

 2月14日のバレンタインデーを控え、お菓子売り場が活気づいてきた。バレンタインチョコと言えば、「本命」「義理」という言葉がまず思い浮かぶが、そもそも「男性から女性へチョコを贈る」というトレンドが、もはやちょっとくなっているようだ。

 江崎グリコが全国の10~20代女性を対象に2009年に行なったインターネット調査によると、「今年チョコをあげる予定の相手は?」という質問に対して、「彼氏」「告白したい男性」などの“本命チョコ”と回答した人は43.2%に過ぎなかった。

 それに対して、「女友達」と回答した人は、なんと74.0%に上った。友人向けのチョコレートについては、2010年も84%の人が「あげたい」と答えており、また90%が「もらいたい」と考えている。

 女友達同士でチョコを贈りあう、いわゆる「友チョコ」が十代を中心にすっかり定着したようだ。

 少々うがった見方だが、これは現代における若者の「草食化傾向」を表していると言えるのではないだろうか。「愛の告白」という既存の人間関係に変革をもたらすイベントとしてよりも、「既存の人間関係を確かめ合うイベントとして捉えたい」という気持ちが強まっているのだろう。

 ちなみに、友人からもらう場合、希望する価格は平均346.7円だという。逆に贈る場合の予算は同438.1円で、「本命」向け予算(平均1780.7円)の4分の1程度。江崎グリコによると、価格が安く、数が多く、購入したあとデコレーションなどで独自性を出しやすい商品が人気だとか。

 さらに、「友チョコ」に並んで近年のバレンタイン事情を象徴するキーワードとして浮上しているのが、「逆チョコ」である。読んで字のごとく、男性から女性へ贈るチョコのことだ。昨年あたりから注目され始めているが、こちらも増加傾向にある様子だ。

 森永製菓の調査によると、「今年のバレンタイン時期に女性へチョコをあげてみたいですか?」という質問に対し、27.2%の男性が「あげてみたい」と回答したという。3分の1近くの男性が興味を示しているということであり、そう考えるとかなり高い数字ではないだろうか。

 こうしたトレンドを反映し、森永製菓では昨年に引き続き、「逆チョコ」向け商品の投入を決定。パッケージのデザインを反転させた「逆ダース<ミルク>」と「逆小枝<ミルク>」を1月12日から2月中旬まで期間限定で発売する。ちょっとしたシャレも利いていて、「これならテレ屋の男性も……」というところだろう。

 また、同調査によると、「バレンタインに一緒にチョコを作ろうと誘われたい」「誘われたら、作ってみたい」という男性が70%を超えた。「草食系」「弁当男子」といった男女のボーダレス化がますます加速していることがうかがえる。

 1960年代から、「女性がチョコレートで男性に愛を告白する」という趣旨の元で成熟してきた日本独自のバレンタイン市場。ここにきて、成熟を超えて「変質」の様相を見せてきている。

 「女同士」「男性から女性へ」と範囲が広がっていくことで、「愛の告白」というロマンティックさや、物語性が薄まっていくような気もする。

 「友チョコ」「逆チョコ」は大いに結構だが、ときめきを胸に秘めながら、バレンタインデーを特別な日として迎える「クラシックスタイル」のカップルたちの物語も、健在であることを祈りたい。

(梅村千恵)

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