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タタの27万円カーだけでない、インドの日本車追撃網

世界の自動車産業史に1ページを刻むほどの歴史的快挙だったに違いない。「絶対に不可能」と言われた、世界最廉価(約27万円)のクルマをインドのタタ自動車が世に送り出したのだ。あまりに簡素な作りのため、商業的成功を疑問視する声も多いが、注目すべきはむしろ不可能を可能にした現地メーカーの台頭である。日本勢も安穏としていられない時代がやってきた。

 真っ暗な会場に浮かび上がった英語の一文。

 「TaTa'Rs. 1lac car not feasible. Osamu Suzuki
 (タタ自動車は1ラックカーを実現できない。鈴木修)」。

 やがて、この文字が粉々に砕け散ると、SF映画「2001年宇宙の旅」のオープニング曲として知られる「ツァラトゥストラはかく語りき」が鳴り響き、3台のクルマが交錯するライトを浴びながら会場内に滑り込んだ。

 1月10日のインドのデリー・モーターショー。現地メーカー、タタ自動車の発表会場の様子だ。

 あまりに豪奢で荘厳な新車の発表会。だが、登場したクルマは高級車でもスポーツカーでもない。世界で最も安いクルマ、「ナノ」だ。その
価格は1ラック(10万ルピー)。日本円にすると、約27万円という超格安車である。

 1ラックカーは、タタ財閥のラタン・タタ会長が1台のバイクに4~5人もの家族が同乗するというインド交通事情を憂い、約4年前に表明した国民車だ。

 冒頭の一文は、インドの乗用車市場でシェア約五割を占めるスズキの鈴木修会長がメディアに語ったとされる言葉。実際、世界的に環境・安全規制が厳格化し、原材料の高騰が続くなか、1ラックカーの実現は不可能と言われていた。

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