【第12回】 2008年10月08日
マクロ経済学は「グローバル金融危機」という
難問を解けるのか?
専門家にも分からない
今後の世界経済の行方
最近、多くのメディアの方々から、「今後の世界経済、金融市場はどうなっていきますか?そして日本市場やわれわれ一般市民に対する影響はどのようなものですか?」と聞かれることが多い。
世界経済、金融市場の混乱ぶりを見れば、メディアがそれを読み解く役割を果たさないといけないのは明らかだが、明確な答えを持ち合わせている有識者は実は少ない。「悪い」ということはわかっているが、どれぐらい悪くて、どの程度の期間続いて、そしてその処方箋は?となると、皆目見当がつかないのである(当然、私にもわからない)。
ジョークのような話であるが、先日話をしていた番組プロデューサーによると、最近は冒頭のようなマクロの質問をされることを嫌がる専門家も少なくないようである。「答えが分からないから」だそうだ。
さて、世界経済や金融市場で混乱が起きている昨今を読み解くヒントはどこにあるのだろうと考えてみると、アカデミズムの世界には「マクロ経済学」なるものが存在する。マクロ経済学で登場するキーワードは、インフレ、金利、失業率、所得、生産高、供給、需要、貨幣量(マネーサプライ)、などであり、なるほど、今の混乱を読み解くにはドンピシャな学問であるとの印象を受ける。ということで、今回はマクロ経済学のお話である。
インフレは悪ではない?
例えば、インフレという現象を考えてみよう。つい先日我が家では、息子の通う保育園の料金が値上がりするという通知が送られてきた。インフレとは無縁と思われていた日本でも、ガソリンや食料品以外でも様々なものが値上がりを始めたのだ。インフレに対して皆さんはどのような印象を持つのだろうか。多くの人は嫌がることと思う。
私が前期に履修した中級マクロ経済学の授業で用いられたテキストは「マンキュー マクロ経済学I(入門篇)、同II(中級篇) 東洋経済」であったが、その入門篇の中でも、一般の人々にアンケートをとると、多くの人がインフレを嫌がるということが書いてある。
一方、同じくだりの中に、経済学者はインフレを悪だと考える人はさほど多くはないということも書いてある。物価が上がっても、給料が上がれば実質生活レベルは変わらないのだから、さほど嫌がる必要はないのだということである。
確かに今の団塊世代の人たちにとっては、むしろインフレが存在しなかった過去10年ほどの日本が例外であった。彼らの人生のほとんどにおいてはインフレが起こっていたが、彼らの生活は給料が増えたことによりむしろ裕福になっていった。
また、マクロ経済学では、インフレが起きると名目利子率も上昇するということも学ぶ。なるほど、過去のアメリカや日本のインフレ率と名目利子率のグラフを見てみると相関して動いていることが見て取れる。これは、インフレがほぼゼロ、名目利子率もほぼゼロという最近までの日本の状況でも納得できるものである。
現在の複合インフレは
対処が難しい
さて、テキストにはそのように書いてあっても、多くの日本人は今回のインフレはやっぱり嫌だと思うであろう。
Special Topics
バックナンバー
Pick Up
新着トピックス
- 野口悠紀雄 未曾有の経済危機を読む
- 「円高こそデフレの原因」説の怪しさ ──今こそ必要なデフレの経済学(6)
- 日本を元気にする企業の条件
- ホンダ、ヤマハ発、味の素、住友化学… 日本企業にもあるBOP市場開拓のネタ
- 『週刊ダイヤモンド』特別レポート
- 市民による市長リコールもまだできない 阿久根市政“大混乱”の責任は誰にある?
- News&Analysis
- 苦境の地方空港に追い討ちも? 火種くすぶる「ハブ空港」議論の真実
- 岸博幸のクリエイティブ国富論
- 日本のためにならない「FREE」礼賛論を疑え!
- 追跡!AtoZ ~いま一番知りたいテーマを追う!超リアルドキュメント
- 大ヒット商品が続々「特許切れ」へ。 2010年以降、もう「新薬」は生まれない!?
- チャンスを逃さない! 今どき「住活」事情 By SUUMO(スーモ)
- エコポイントがなくても人気は絶大? 想像以上に盛り上がる「エコ住宅」ブーム
- 働き盛りのビジネスマンを襲う 本当に怖い病気
- 手足のひび割れと関節痛が同時に!? 骨の変形をも引き起こす皮膚病の正体
ダイヤモンドオンラインplus 知っておきたい価値ある情報
最新の連載一覧
経済・時事
経営・戦略
スキル・キャリア
Diamond Premium 最新記事 無料会員登録すると全文が読めます
- 公認会計士・高田直芳 大不況に克つサバイバル経営戦略
- “不況に強い”にも関わらず売上急減!? 医薬品業界を襲う「2010年問題」とIFRS
- 金融市場異論百出
- 超インフレ国はジンバブエのみ 世界が学んだ「最低限の規律」
- 週刊ダイヤモンド 企業特集
- ユニー 前村哲路社長インタビュー 「現場の自由裁量権を広げ 個店経営のウエートを高める」
- 『社会貢献』を買う人たち
- キレイになって、途上国を支援! 女性の飽くなき「美への探求」が生んだ、一石二鳥のビジネスモデル
- 山崎元のマネー経済の歩き方
- 対等合併の呪

- 岡野工業・岡野代表エッセイ
- “神の手をもつ男”岡野雅行氏が日本の物づくりに「常識を捨て去れ」と喝!

- DOL編集部のツイッターを開始
- 最新記事の話題から編集部の日常まで、24時間つぶやきます。フォローよろしくお願いします。
Business information
著者プロフィール
- 保田隆明
(ワクワク経済研究所LLP代表)
1974年生まれ。早稲田大学商学部卒業。リーマン・ブラザーズ証券、UBS証券にてM&A、資金調達アドバイザリーに従事後、SNSサイト運営会社の起業、ネットエイジキャピタル執行役員を経て現職。著書に『M&A時代 企業価値のホントの考え方』(ダイヤモンド社)、『図解 株式市場とM&A』(翔泳社)など多数。現在は、経済・金融分野をわかりやすく解説する活動をテレビなど各種メディアで展開中。保田氏ブログ
この連載について
仕事と両立しながら大学院に通い始めた保田隆明が、大学院で学ぶからこそ見えてきた新しい視点で、世の中の「経済・金融ニュース」をわかりやすく解説する。
経済・金融のグローバル化に伴い、企業を取り巻く環境は複雑化。ビジネスパーソンにとっても、経営戦略とファインスに関する知識は不可欠になっています。本書では、資金調達やM&Aなど、経営戦略とファイナンスの関係を基本から徹底解説します。 2100円(税込)
- DOLブックストアで購入
購入金額に関わらず送料無料! - Amazonで購入
アクセスランキング
- 2位
- 週刊・上杉隆
- 元秘書として鳩山邦夫氏に苦言を呈す 信念の見えない離党に意味はあるのか?
- 3位
- News&Analysis
- 日本が望みを託す宇宙開発の切り札! 「宇宙エレベーター」の知られざるシナリオ
- 4位
- China Report 中国は今
- 優秀な中国人学生を採用できなくなった日本企業
- 5位
- 評価が上がる!上司を味方にする技術
- 上司に好かれる話の聴き方、嫌われない質問の方法
Recommend 話題の記事
- China Report 中国は今
- 優秀な中国人学生を採用できなくなった日本企業
- 田中秀征 政権ウォッチ
- 鳩山首相「発言のブレ」正当化に疑問を呈す
- News&Analysis
- 日本が望みを託す宇宙開発の切り札! 「宇宙エレベーター」の知られざるシナリオ
- 山崎元のマルチスコープ
- 官民一体の海外ビジネス受注期待を怪しむ
- ミドルマネジャーのための「不機嫌な職場」改革講座
- この閉塞感はどうにもならないのか? 組織の成果を最大化する人事制度とは
- SPORTS セカンド・オピニオン
- 大リーグ球団にとっての、日本人選手の価値を考える
- 政局LIVEアナリティクス 上久保誠人
- 参院選がどう転んでも、 政界の「世代交代」加速は止められない

- 【PrimeTime】トップインタビュー
- 「サービス力は人財力と組織力の掛け算」~百瀬次生・日立電子サービス社長

- 【THEProject】プロダクトとサービス最前線
- 現実味帯びる「IFRS」。最新会計基準対応処理システムを低コストで提供
雑誌定期購読のご案内
特大号・特別定価号を含め、1年間(50冊)市価概算34,500円が、定期購読サービスをご利用いただくと25,000円(送料込み)。9,500円、約13冊分お得です。さらに3年購読なら最大49%OFF。
1冊2,000円が、通常3年購読で1,333円(送料込み)。割引率約33%、およそ12冊分もお得です。
特集によっては、品切れも発生します。定期購読なら買い逃しがありません。
年間12冊を定期購読すると、市販価格8,400円が7,150円(税・送料込み)でお得です。お近くに書店がない場合、または売り切れ等による買い逃しがなく、発売日にお手元へ送料無料でお届けします。
※別冊・臨時増刊号は含みません。
偶数月の1日発売(隔月刊)。1年購読(6冊)すると、市販価格 5,880円→4,700円(税・送料込)で、20%の割引!
※別冊・臨時増刊号は含みません。
お知らせ・ご案内
- 会員専用ページ開始のお知らせ
- 7月より一部の記事で、無料会員登録した方だけが全文を読める形に変わりました。詳細はこちらをご覧ください。




