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父と娘の就活日誌

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面接で号泣?! その時、就活が動いた!

 娘は、3月上旬までは、メーカーや電鉄、インフラ系を中心に,説明会に出席し、エントリーシート(ES)を書き、何社かの面接を受けていた。しかし当初志望が高かった会社では、ESやグループ面接の段階で途絶える会社も相次いだ。

 一方、金融機関は、大量採用のイメージが強く、「働く姿が想像できない」との理由で当初は積極的ではなかった。ところが、3月下旬になって、金融機関がまとめて動き出したので一応訪問してみると、リクルーターと充分話せる機会があり、「自分を出せる」感じがして徐々に金融機関に傾き始めた。3月末までに金融機関のA社とB社に各々4回、3回訪問していた。

 そういう中で、4月1日を迎え、多くの会社が本格的に動き出した。日経連の採用・就職活動に関する倫理憲章(「卒業学年に達しない学生に対して、面接など実質的な選考活動を行うことは厳に慎む」)の影響も大きいのだろう。大阪のビジネス街にも4月になって就活ルックの男女がさらに目立つようになった。

「第一志望です」
と言うのが原則

■4月1日

 4月に入って、娘の就活は、大きな転機を迎えた。1日は、金融機関A社の面接である。3月下旬から数えて5回目の訪問だった。娘自身も結構気に入った会社で、リクルーターともよく話し、前回の終わりに「今度は、上の人に会わせるからね」と言われていた。

 面接が終わった夜、電話で娘と話した。様子を聞くと、彼女の声のトーンは沈み相当落ち込んでいた。

(電話でのやりとり)

「今日はどうだった?」

「15年目の男性社員との一対一の面接だった」

「調子よくいったのか?」

「だめだった。『もったいない』という感じだよ」

「どういうところが?」

「後半に『最後はどのようにして会社を決めるんですか?』と聞かれて、『まだ決め切れないのです』と正直に言ったの」

「相手は『第一志望ですか?』という意味だったのかな?」

「そこがよく分からなかった。会話自体は噛み合っていたけど、その人の話に何か乗れなくて、ついそう言ってしまったの。年次が上の人なので、もう見極めの面接だとは思っていたんだけど」

「なるほど。相手はどう言っていた?」

「『決めるタイミングはすぐに来るよ』って。会社を出てから『第一志望です』と踏み込んで話せば良かったと後悔している。でも実際迷っていたし」

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著者プロフィール

楠木新
(「こころの定年」評論家)

大手金融機関勤務のかたわら、企業など組織を離れて「いい顔」で活躍している中高年に対するインタビューを重ねている。2007年3月より朝日新聞be(土曜版)でコラム「こころの定年」を連載中。著書に『ビジネスマン「うつ」からの脱出』(創元社刊)がある。

この連載について

働く価値観が多様化する中、超売り手市場の環境下で、大学生はどのように企業選択をしていくのか。就職活動に臨む大学3年生の娘と父とのリアルな対話を通して、実状に迫る。

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