ダイヤモンド社の雑誌

父と娘の就活日誌

このページを印刷

バックナンバー一覧

娘の就活が終わった

 娘は金融機関B社から4月4日に内々定を受けた。しかし、祖母が大きな手術を受けて私と妻が介護に取り組む様子を見て、関西で働ける会社も考えた方がいいと思い就活を続けていた。何が何でも地元というよりも、後悔しないためにも廻っておきたい気持ちもあったようだ。

 4月16日に、倉庫会社D社から内々定の連絡が来て、同じ日に、エネルギーのC社から最終面接の連絡が来た。D社は4月21日に来てほしいとのことだった。

 C社は、同じ大学の知人が4日前に最終面接に進んだ話を聞いていたので、もう落ちたと思い込んでいた。私が採用責任者だった時も「ペンディング」と言って、人数調整や状況を見極めるために、しばらく合否を保留することがあった。

 昨日までは金融機関B社に決めていたが、2社からの内々定と最終面接の連絡を受けて再び気持ちが揺らいだ。

■4月18日

 エネルギーC社の最終面接は、娘1人対して人事部長を含む3人が面接者だった。質問の中心は「学生時代に打ち込んだこと」で、娘は演劇サークルの話をした。また「自分の欠点を2つ挙げてください」と質問を受けた。まず「根を詰めすぎることです」と答えたが、もう1つがすぐには頭に浮ばなかった。面接官が「1つでもいいですよ」と助け舟を出してくれた時、「このように生真面目過ぎるところです」と返して、皆が笑って場が和んだ。

 「現場で作業服を着たおじさんと仕事をすることもありますが、どうですか?」には、「年配の人と話すのは勉強になるので大丈夫です」と答えた。スムーズに話は流れたが、強い手ごたえがあった訳でもなかった。「どうかなぁ」と思いながら、30分少しの面接を終えた。
 
 その日の夜、C社の人事担当者から「楠木さんには、当社に来てもらいたいと考えています」と内々定の連絡が来た。C社は、リクルーター制ではないので、毎回人事担当者から電話が来る。B社リクルーターの勢いある話し方とは対照的である。
 
■4月21日

 内々定を辞退するため倉庫会社D社を訪問。娘は、以前にB社からの内々定の話もしていたので、気分的には楽だった。先方は最終の意思確認をしたい趣旨だった。

 D社は、採用面接でも、形にこだわらず、驚くほどざっくばらんな話しぶりで、これなら日常の仕事も自然体で取組めると感じられた。B社の先輩のように、ぐいぐい引っ張る雰囲気は全くなかった。必ずしも地元で働ける会社ではなかったが、社会を支えるインフラの仕事に興味があったし、「こういう雰囲気の会社だったら働きたい」と娘は評価していた。

 自分の気持ちを率直に話して内々定を辞退すると、人事の役職者は「そう決めたのなら応援します。がんばってください」、担当者は「楠木さんなら、どの会社でもやっていけるでしょう」と声をかけてくれた。最後まで肩に力が入らず、自然に応対してくれた2人に感謝すると同時に、彼らの言葉に自信を持ったようだ。

 娘からその話を聞いて「簡単でいいからお礼の手紙を出したらいいよ」と声をかけた。

■4月23日

 娘は、ここ2日間迷った末に、金融機関B社ではなくて、エネルギーC社に決めた。

 その際の会話である。

「裕美は、どういうことで迷っているの?」

おすすめ関連記事

ソーシャルブックマークへ投稿: このエントリーを含むはてなブックマーク この記事をYahoo!ブックマークに投稿 この記事をBuzzurlに投稿 この記事をトピックイットに投稿 この記事をlivedoorクリップに投稿 この記事をnewsingに投稿 この記事をdel.icio.usに投稿

Special Topics

バックナンバー

Pick Up

週刊・上杉隆

元秘書として鳩山邦夫氏に苦言を呈す 信念の見えない離党に意味はあるのか?

鳩山邦夫元総務大臣が離党した。前2回、秘書として支えた離党劇‥

China Report 中国は今

優秀な中国人学生を採用できなくなった日本企業

中国人人材の採用は日本企業にとって経営課題である。従来、「中‥

IFRS最前線

「のれん償却廃止」で利益が乱高下!? IFRSで変わるM&A戦略の行方

これまで国際会計基準(IFRS)の適用は膨大な手間とコストを‥

News&Analysis

日本が望みを託す宇宙開発の切り札! 「宇宙エレベーター」の知られざるシナリオ

宇宙ステーションに滞在中の野口聡一飛行士は、実は米国やロシア‥

最新の連載一覧

すべての連載

特集を見る

Diamond Premium 最新記事 無料会員登録すると全文が読めます

短答直入
大幅人員削減で業績改善へ 売上高3兆円計画は達成可能 住友電気工業社長 松本正義
金融市場異論百出
超インフレ国はジンバブエのみ 世界が学んだ「最低限の規律」
週刊ダイヤモンド 企業特集
ユニー 前村哲路社長インタビュー 「現場の自由裁量権を広げ 個店経営のウエートを高める」
『社会貢献』を買う人たち
キレイになって、途上国を支援! 女性の飽くなき「美への探求」が生んだ、一石二鳥のビジネスモデル
起業人
地方に埋もれたうまい食材を発掘し 築地市場に乗り込んだ風雲児 食文化社長 萩原章史
山崎元のマネー経済の歩き方
対等合併の呪
野口悠紀雄 未曾有の経済危機を読む
総需要の減少をもたらした2つの要因 ──今こそ必要なデフレの経済学(5)
岡野工業・岡野代表エッセイ
“神の手をもつ男”岡野雅行氏が日本の物づくりに「常識を捨て去れ」と喝!
DOL編集部のツイッターを開始
最新記事の話題から編集部の日常まで、24時間つぶやきます。フォローよろしくお願いします。

著者プロフィール

楠木新
(「こころの定年」評論家)

大手金融機関勤務のかたわら、企業など組織を離れて「いい顔」で活躍している中高年に対するインタビューを重ねている。2007年3月より朝日新聞be(土曜版)でコラム「こころの定年」を連載中。著書に『ビジネスマン「うつ」からの脱出』(創元社刊)がある。

この連載について

働く価値観が多様化する中、超売り手市場の環境下で、大学生はどのように企業選択をしていくのか。就職活動に臨む大学3年生の娘と父とのリアルな対話を通して、実状に迫る。

Recommend 話題の記事

山崎元のマルチスコープ
官民一体の海外ビジネス受注期待を怪しむ
エコカー大戦争!
ハイブリット車は主力製品にならない! 車文化を食い潰した日本には真似できない 欧州自動車メーカーの腹のくくり方
ミドルマネジャーのための「不機嫌な職場」改革講座
この閉塞感はどうにもならないのか? 組織の成果を最大化する人事制度とは
ビジネスモデルの破壊者たち
知恵と包丁は使い様!次々と有名シェフを 生み出す料理専門CATV局の躍進
今週のキーワード 真壁昭夫
キム・ヨナやサムスンに“脅威論”が噴出 「日本はもう韓国に勝てない」は本当か?
『週刊ダイヤモンド』特別レポート
県が格安で手に入れた茨城空港 「軍民共有化」というカラクリ
SPORTS セカンド・オピニオン
大リーグ球団にとっての、日本人選手の価値を考える
政局LIVEアナリティクス 上久保誠人
参院選がどう転んでも、 政界の「世代交代」加速は止められない
野口悠紀雄 未曾有の経済危機を読む
総需要の減少をもたらした2つの要因 ──今こそ必要なデフレの経済学(5)
今週の週刊ダイヤモンド ここが見どころ
あなたは保険会社に騙されている!? 「保険見直し」のバイブルが登場

雑誌定期購読のご案内


詳しくはこちら

特大号・特別定価号を含め、1年間(50冊)市価概算34,500円が、定期購読サービスをご利用いただくと25,000円(送料込み)。9,500円、約13冊分お得です。さらに3年購読なら最大49%OFF。


詳しくはこちら

1冊2,000円が、通常3年購読で1,333円(送料込み)。割引率約33%、およそ12冊分もお得です。
特集によっては、品切れも発生します。定期購読なら買い逃しがありません。


詳しくはこちら

年間12冊を定期購読すると、市販価格8,400円が7,150円(税・送料込み)でお得です。お近くに書店がない場合、または売り切れ等による買い逃しがなく、発売日にお手元へ送料無料でお届けします。
※別冊・臨時増刊号は含みません。


詳しくはこちら

偶数月の1日発売(隔月刊)。1年購読(6冊)すると、市販価格 5,880円→4,700円(税・送料込)で、20%の割引!
※別冊・臨時増刊号は含みません。

お知らせ・ご案内

会員専用ページ開始のお知らせ
7月より一部の記事で、無料会員登録した方だけが全文を読める形に変わりました。詳細はこちらをご覧ください。