【第39回】 2009年12月22日
「普天間」で米国に従順すぎると、
日本は利益を得られない
鳩山由紀夫首相は「普天間基地移設問題」について、基地の移設先を決めずに結論を来年に先送りした。これは事実上、日米合意の白紙撤回と見なされ、鳩山政権に対してマスコミ、野党・自民党、そして米国から厳しい批判が浴びせられている。
普天間問題は、鳩山政権発足直後から最重要政治課題の1つとなった。しかし、岡田克也外相や北澤俊美防衛相、福島みずほ少子化担当相(社民党党首)など閣僚のさまざまな発言が入れ乱れた。
鳩山首相は「最後は私が決める」と言い続けたが、結論を出す時期さえ決められず、指導力不足と批判されたのだ。その上、鳩山首相が11月の日米首脳会談でオバマ大統領に対して「私を信用してほしい」と発言したにもかかわらず、指導力を発揮できなかったために、日米同盟の信頼関係が失われたという厳しい批判がある。
更に、基地の移転先が決まらないことで、さまざまな危険性が指摘される普天間基地が固定化されること、「米軍再編問題」全体への悪影響も懸念されている。
鳩山政権と自民党政権時の
閣僚発言の違いとは
しかし、普天間問題を巡る首相や閣僚のさまざまな発言に対する批判は、自民党政権時代との比較の観点を欠いている。そのため、それらの発言が意味するものを客観的に伝えられていない。
そもそも、自民党政権時代には、このような政策を巡る閣僚たちの喧々諤々の議論などなかった。政策調整は、外務省や防衛省などの官僚が水面下で行うものだったのだ。
たまに途中で政治家がポロッとなにか発言したら、「不規則発言」とされて、意思決定から除外されたものだ。そして、官僚の関係各所の調整終了後、初めて閣僚は発言できたのだ。自民党政権時代、マスコミは閣僚の発言を「決定事項」と見なしてきた。
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著者プロフィール
- 上久保誠人
(早稲田大学グローバルCOEプログラム客員助教)
1968年愛媛県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、伊藤忠商事勤務を経て、英国ウォーリック大学大学院政治・国際学研究科博士課程修了。Ph.D(政治学・国際学、ウォーリック大学)。博士論文 タイトルはBureaucratic Behaviour and Policy Change: Reforming the Role of Japan’s Ministry of Finance。
この連載について
「大物政治家に話を聞いた」「消息通に話を聞いた」といった大手マスコミ政治部の取材手法とは異なり、一般に公開された情報のみを用いて、気鋭の研究者が国内・国際政局を分析する。
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