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岸博幸のクリエイティブ国富論

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官邸はもはや機能不全!百年に一度の天災に人災も加わった日本の悲劇

 麻生政権の支持率が遂に10%台に突入しましたが、どうもメディアは支持率低迷の原因として表面的なことばかりを喧伝してばかりいます。私は、麻生総理の失言もさることながら、官邸の機能不全が支持率低迷の背景にあると思っているのですが、最近それを象徴する2つの出来事が起きました。定額給付金とかんぽの宿です。

定額給付金を巡る
説明の迷走

 定額給付金については連日凄まじい量の報道がされていますので、詳細な説明は不要でしょう。今年に入って麻生総理が、定額給付金に関する発言内容を明らかに変えました。昨年の段階では、「定額給付金は国民の生活支援のためであり、高額所得者が受け取るのは望ましくない」と言っていましたが、今年になって「景気が急速に悪化する中、消費振興と内需拡大のために国民全員が受け取って消費に使うべき」と変わったのです。野党やメディアは、麻生総理が発言を変えたことばかりを非難していますが、実はその背景こそが重要です。

 そもそも定額給付金は、昨年8月29日の「安全実現のための緊急総合対策」の中で、“世界的な原油・食料価格高騰の中で家計を支援するため”に特別減税という形で登場しました。対策の本文で“有効需要創出を主目的とした財政出動は行わない”と明言されていることからも、景気刺激がその目的でないことが分かります。その後、10月30日の「生活対策」の中で、“景気後退下での生活者の不安にきめ細かく対応するため、家計への緊急支援として”2兆円の定額給付金が決定されたのです。ここでも、景気刺激策という意図で導入が決定されたのでないことは明らかです。

 それが今年に入って突然、景気刺激策という位置づけで説明し出したのですから、メディアや野党の餌食になるのは火を見るより明らかです。そして、私が何より不思議なのは、なぜ官邸のスタッフは説明を変えるのを止めなかったのかということです。それは、霞が関の常識として、国会答弁や記者会見での大臣の発言は重く、理屈の立つ事情変更などがない限り、一度話した内容は基本的に変えてはいけないからです。

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著者プロフィール

岸 博幸
(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授)

1986年通商産業省(現経済産業省)入省。1992年コロンビア大学ビジネススクールでMBAを取得後、通産省に復職。内閣官房IT担当室などを経て竹中平蔵大臣の秘書官に就任。不良債権処理、郵政民営化、通信・放送改革など構造改革の立案・実行に関わる。2004年から慶応大学助教授を兼任。2006年、経産省退職。2007年から現職。現在はエイベックス非常勤取締役を兼任。

この連載について

メディアや文化などソフトパワーを総称する「クリエイティブ産業」なる新概念が注目を集めている。その正しい捉え方と実践法を経済政策の論客が説く。

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