【第60回】 2009年10月16日
朝日新聞と中日新聞の提携は本当にジャーナリズムのためになるのか?
朝日新聞と中日新聞が、2011年春から新聞を相互に印刷委託する業務提携で合意し、今後は輸送や販売での協力についても検討する、という報道がありました。新聞業界全体を襲う経営危機への対応ですが、この提携はどう評価すべきでしょうか。
コストカット効果はあるけれど
新聞社はどこも経営が火の車になっています。朝日新聞の2009年3月期の連結決算を見ると、当期利益が前期の46億円の黒字から139億円の赤字に転落しました。中日新聞も、単体の当期利益が7億円の赤字に転落しています。
報道によると、今回の提携により輪転機の更新投資が20億円以上コストカットできるようですので、両社の赤字額を考えるとそれなりに大きなメリットがあるように見られます。
しかし、この提携を評価する際には、もう少し様々な側面から考える必要があるのではないでしょうか。私個人の意見を言わせてもらうなら、二つの点が重要だと思っています。
第一に、二つの新聞社が存続し続けるためには、短期的には意味があると思いますが、中長期的な効果については疑問です。新聞社のように経営危機に瀕した企業にとって、大胆なコストカットは当然ですが、事業再生の観点から考えると、広告収入や購読者数が低下し続ける中で営業キャッシュフローの赤字を食い止める方法や成長戦略のシナリオが不在の中では、ある意味で焼け石に水なのかもしれません。
ジャーナリズムの維持の観点
第二に、ジャーナリズムを維持するという観点から今回の提携は果たしてどう評価すべきでしょうか。
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著者プロフィール
- 岸 博幸
(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授)
1986年通商産業省(現経済産業省)入省。1992年コロンビア大学ビジネススクールでMBAを取得後、通産省に復職。内閣官房IT担当室などを経て竹中平蔵大臣の秘書官に就任。不良債権処理、郵政民営化、通信・放送改革など構造改革の立案・実行に関わる。2004年から慶応大学助教授を兼任。2006年、経産省退職。2007年から現職。現在はエイベックス非常勤取締役を兼任。
この連載について
メディアや文化などソフトパワーを総称する「クリエイティブ産業」なる新概念が注目を集めている。その正しい捉え方と実践法を経済政策の論客が説く。
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