ダイヤモンド社の雑誌

経済ジャーナリスト 町田徹の“眼”

このページを印刷

バックナンバー一覧

それでもボルカールールは必要
「大き過ぎて潰せない」まま放置より良策だ

 オバマ米大統領が1月21日の記者会見で法制化の方針を表明した「ボルカールール」(金融機関に対する新たな規制)が世界的な批判の対象になっている。

 大統領の発表によると、ボルカールールは、(1)金融機関によるリスクの高い投資の禁止、(2)借り入れをテコにした規模拡大の抑制――の2つが柱だ。

 これに対して、欧米では、経済界を中心に、オバマ大統領の動機が「高額報酬を復活した銀行を叩くことによって、低下した政権の支持率の回復を目指す政治的なもので不純だ」といった見方が根強く、中身については「(一連の)金融・経済危機の原因と無関係な規制」であり、これが実現すると「(足取りが覚束ない)米経済の回復の足を引っ張りかねない」という批判が後を絶たないのだ。

 米議会で、こうした規制強化の法制化が容易でないのも事実だろう。筆者も、ボルカールールが最善の方策だとは思わない。

 しかし、ボルカールールを政治的なポピュリズムの産物とみなすのは間違いである。現状は、危機以前にも増して、「大き過ぎて潰せない」金融機関が無謀な投資を繰り返し、再び、尻拭いのために米国民の血税が投入されるリスクが高まっていると考えるべきだ。こうした事態を繰り返さないために、ボルカールール的な規制の導入は避けて通れない道なのではないだろうか。

 「2年あまりの間に、700万人を超す人々が職を追われた」「今回の経済危機は金融危機として始まった。それは、銀行や金融機関が、手早く利益と巨額のボーナスを得ようとして、巨大で向こう見ずなリスクを犯したときのことだった」――。

 公式のトランスクリプトを読むと、オバマ大統領は1月21日にホワイトハウスで開いた記者会見の席で、今回の金融・経済危機のつめ跡の深さを強調した。今回の危機を、1929年の大恐慌に匹敵する、「第2の大恐慌」と例える場面もあった。そして、大統領は、こうした金融・経済危機を引き起こした原因が、銀行や金融機関の放漫経営にあったと断定した。

 そのうえで、「『大き過ぎて潰せない』銀行によって、米国の納税者が人質にされる事態は2度と起こさない」と語り、このような危機を2度と招かないために、今回の金融機関に対する規制であるボルカールールの法制化が必要だと強調した。

おすすめ関連記事

ソーシャルブックマークへ投稿: このエントリーを含むはてなブックマーク この記事をYahoo!ブックマークに投稿 この記事をBuzzurlに投稿 この記事をトピックイットに投稿 この記事をlivedoorクリップに投稿 この記事をnewsingに投稿 この記事をdel.icio.usに投稿

Special Topics

バックナンバー

Pick Up

野口悠紀雄 未曾有の経済危機を読む

総需要の減少をもたらした2つの要因 ──今こそ必要なデフレの経済学(5)

政府は公共事業を次々に廃止し、景気対策として定額給付金などの‥

今週の週刊ダイヤモンド ここが見どころ

あなたは保険会社に騙されている!? 「保険見直し」のバイブルが登場

今週号の特集「保険リストラ」では、保険のリストラクチャリング‥

エコカー大戦争!

現地密着取材!ロスアラモス発「スマートグリッド」革命の胎動~日米巨大プロジェクトの知られざる正体

ついに、あの国家プロジェクトが本格始動した。日本の行方を左右‥

はい上がれる人、はい上がれない人――「負け組社員」リベンジの十字路

“人生の負け組”が勢ぞろい! 負け組リベンジの名門「奇跡の屋台ラーメン」

人生の光を見失った人を、生き返らせる屋台ラーメンがある。そこ‥

最新の連載一覧

すべての連載

特集を見る

Diamond Premium 最新記事 無料会員登録すると全文が読めます

原英次郎の「強い中堅企業はここが違う!」 トップに聞く逆境の経営道
段ボール業界随一の原価計算の鬼! アースダンボールに学ぶネット販売の真髄 ~奥田敏光社長に聞く(下)
週刊ダイヤモンド 企業特集
【企業特集】ユニー 提携と差別化戦略で狙う “超”地方小売りチェーン
金融市場異論百出
「やり過ぎ」とブーイングを 浴びるFRB、正反対の日銀
週刊ダイヤモンド アーカイブズ
クリス・アンダーソンとロングテール理論をおさらい!ネットが動かしたニッチ商品の驚くべき市場規模
『週刊ダイヤモンド』特別レポート
日本のテレビ業界が復活するには 「キー局の合従連衡」が待ったなし
起業人
ネット通販専業でアパレル業界に風穴! 「七転び八起き」で若い女性の心をつかむ 夢展望社長 岡 隆宏
山崎元のマネー経済の歩き方
成長のための資産運用の落とし穴
「測るための標準」を考える
紀元前2500年頃に造られたピラミッドの建築に当たっては、常に同じサイズの石を…
DOL編集部のツイッターを開始
最新記事の話題から編集部の日常まで、24時間つぶやきます。フォローよろしくお願いします。

著者プロフィール

町田徹
(ジャーナリスト)

1960年大阪府生まれ。神戸商科大学(現兵庫県立大学)卒。日本経済新聞社に入社後、記者としてリクルート事件など数々のスクープを連発。日経時代に米ペンシルバニア大学ウォートンスクールに社費留学。同社を退社後、雑誌「選択」編集者を経て独立。日興コーディアルグループの粉飾決算をスクープして、06年度の「雑誌ジャーナリズム賞 大賞」を受賞。「日本郵政-解き放たれた「巨人」「巨大独占NTTの宿罪」など著書多数。

この連載について

硬骨の経済ジャーナリスト・町田徹が、経済界の暗部や事件を鋭く斬る週刊コラム。独自の取材網を駆使したスクープ記事に期待!

Recommend 話題の記事

経済ジャーナリスト 町田徹の“眼”
NTTグループには大誤算? 原口総務相の経営形態見直し指示
News&Analysis
やはり“持ち直し局面”入りは確実? データと巷説に見る「住宅の本当の買い時」
週刊ダイヤモンド 企業特集
【企業特集】ユニー 提携と差別化戦略で狙う “超”地方小売りチェーン
IT&Business
サイバー攻撃の増加で注目度急上昇! マカフィーが誇るセキュリティ技術の中身
岸博幸のクリエイティブ国富論
米金融関係者が鳩山政権に抱く4つの懸念と違和感
週刊・上杉隆
ついに歴代首相・外相を国会召致か? 「核密約」を闇に葬った政・官・メディアの重い責任
DOL特別レポート
増税でも解決できない地方財政の危機! 民主党は参院選前にビジョンを示せ ――宮脇敦・北海道大学教授インタビュー
News&Analysis
日本を逆転しても意識は“子ども”のまま? 中国が世界にバラまく「強欲社会主義」
田中秀征 政権ウォッチ
鳩山首相は度を越えた「偽善者」か? “上から目線”の政治が不信感を強める
働き盛りのビジネスマンを襲う 本当に怖い病気
突然、妻を襲う原因不明の頭痛! 男性も他人事ではない更年期障害の実態

雑誌定期購読のご案内


詳しくはこちら

特大号・特別定価号を含め、1年間(50冊)市価概算34,500円が、定期購読サービスをご利用いただくと25,000円(送料込み)。9,500円、約13冊分お得です。さらに3年購読なら最大49%OFF。


詳しくはこちら

1冊2,000円が、通常3年購読で1,333円(送料込み)。割引率約33%、およそ12冊分もお得です。
特集によっては、品切れも発生します。定期購読なら買い逃しがありません。


詳しくはこちら

年間12冊を定期購読すると、市販価格8,400円が7,150円(税・送料込み)でお得です。お近くに書店がない場合、または売り切れ等による買い逃しがなく、発売日にお手元へ送料無料でお届けします。
※別冊・臨時増刊号は含みません。


詳しくはこちら

偶数月の1日発売(隔月刊)。1年購読(6冊)すると、市販価格 5,880円→4,700円(税・送料込)で、20%の割引!
※別冊・臨時増刊号は含みません。

お知らせ・ご案内

会員専用ページ開始のお知らせ
7月より一部の記事で、無料会員登録した方だけが全文を読める形に変わりました。詳細はこちらをご覧ください。