【第11回】 2007年12月18日
譲歩するときは、譲歩の幅を徐々に小さく
交渉においては、必ず譲歩しなければならない。譲歩することにより譲歩を得るのが、交渉の基本である。
しかし無原則に譲歩してもいけない。譲歩するのは、一刻も早く最終合意にたどり着くためであり、いつまでも相手に、あなたが譲歩することを期待させてはいけないのだ。そのためには、最初の譲歩は、あなたにとっての「最大の譲歩」であるべきで、その後は徐々に、譲歩の幅を小さくしなければならない。
これは相手の立場に立ってみればよくわかる。交渉の過程で、徐々にあなたの譲歩の幅が小さくなれば、「受け取った譲歩が最後の譲歩だったのかもしれない」「これ以上は譲歩も得られないかもしれない」と思うようになるだろう。だから相手は心理的に、つねにあなたの譲歩したオファーを呑むか呑まないかの決断を迫られることになる。
逆に、交渉が進むにつれて、あなたの譲歩の幅が大きくなったら、どう思うだろう?
あなたが譲歩をしたあとでも、相手は「もっとあなたから譲歩が得られるはずだ」と考え、あなたが譲歩したオファーを受け入れようとはしなくなる。いつまでも、あなたがさらに譲歩することを期待するに違いない。
実際に私が経験したケースで、次のような相談があった。
「解雇された従業員から『アメリカ人であるがゆえに解雇された。これは国籍差別だ。5万ドルを支払ってもらわないと会社を訴える』と言われている」
話を詳しく聞くと、元従業員のBさんは非常に勤務態度の悪い社員だったとのこと。ほとんどまともに働いていなかったらしい。ならば裁判になっても勝てる。しかし問題は弁護士費用である。とことん争えば5万ドルは超えてしまう。
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著者プロフィール
- 大橋弘昌
(ニューヨーク州弁護士)
米国ニューヨーク州弁護士。日本国外国法事務弁護士。66年生まれ。慶応義塾大学法学部卒業、サザンメソジスト大学法科大学院卒業。西武百貨店商事管理部、山一證券国際企画部を経て、渡米しニューヨーク州弁護士資格を取得。米国の大手法律事務所ヘインズアンドブーン法律事務所にて5年間プラクティス後、2002年に大橋&ホーン法律事務所を設立。
この連載について
日系企業100社が頼りにする在米敏腕弁護士の交渉ノウハウを初公開!交渉下手な日本人は交渉が始まる前から負けている。駆け引きのセオリーを明かす。
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