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湯谷昇羊 不屈の経営者【列伝】

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大学受験失敗、店舗清掃で起業した青年が
ビル・住宅等のエコ事業で1300加盟店展開
――トータルサービス社長 山口恭一

受験に失敗し、「経営者になりたい」と思った青年は、営業力を身につけ、すたれない仕事「店舗の大掃除代行」で起業した。転機は米国視察だった。米国の最新技術を次々と導入してFC展開を進め、FC店は1300店を突破した。

入社1年後にトップセールスへ
1年364日働いた起業時代

山口恭一
トータルサービス 山口恭一社長

 福島県出身の山口恭一が「経営者になる」と決意したのは、大学受験に失敗して東京の高田馬場に下宿していたときだった。予備校に通って浪人生活をしていたある日、高校時代の同級生と会った。現役で大学に合格していた彼らは、「商社マンになる」、「新聞記者になりたい」と話している。

 山口には、彼らのような明確な進路は定まっていなかった。山口の親は「4年間大学に行かせてやる」と言ってくれていたが、4年後も仕事の選択に迷う自分が見えた。同級生と同じ道を歩んでも、周回遅れであり、彼らの下になるのも嫌だった。残された道は中小企業に入るか経営者になるか。いわば消去法で経営者を目指すことにしたのだ。

 周囲の大先輩に聞くと、経営者には「営業型」と「技術型」があるという。技術はないので、営業型しかない。「どうしたら営業力が身につくか」と聞くと、「自分を売り込む、飛び込みセールスは力がつくよ」と教えてくれた。

 そこで飛び込みセールスをやっている会社を探した。当時19歳、高卒で入れる会社が、たまたまレジャー会員権を売る会社だった。しかし、最初はまったく売れなかった。毎日毎日10キロ以上も歩き回ったのだが、一向に売れない。どうしたら売れるか、と先輩に聞くと、「売れている人の真似をしてみればいい。売れない人の反対をやればいい」と教えてくれた。

 売れていない人は、勉強しない、サボる、訓練しない、愚痴っぽい。この反対を実践してみるとアポが取れた。山口を可愛がってくれていた先輩が同行してくれ、続けて2口も売れた。これで勢いがついた。次々に契約が決まった。6ヵ月目には年上を含む2人の部下がいた。

 1年経つと課長に昇進、部下は20人もいた。部下の育成がうまくいき、他の課の3倍~6倍も売った。最大60人のほとんどが年上という部下を持ち、年収は1500万円(現在の3000万円相当)にも達していた。営業で1番にならないと次が見えないと思っていた山口だったが、1番になった。「うちへ来ないか」。山口は、取引先などあちこちの会社から誘われた。しかし山口の目標はあくまで「経営者」だった。

 ところが、何をやればいいかがわからない。いろいろな人に聞いてみた。すると、「新規客を常に取らなきゃならないところは、不況のときに潰れる。汚れる商売はリピート・オーダーがあるからすたれない」という人がいた。山口は「これだ!」と閃いた。

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著者プロフィール

湯谷昇羊
(経済ジャーナリスト)

経済ジャーナリスト。鳥取市出身、1952年生まれ。法政大学経済学部卒業。1986年にダイヤモンド社入社、2004年週刊ダイヤモンド編集長。2007年営業局長兼論説委員、同年取締役。2008年同社退社。2000年に立命館大学客員教授として教鞭をとる。 主な著書に、「迷走する銀行」、「生保危機の真実」、「会社再建」(いずれもダイヤモンド社刊)、「サムライカード、世界へ」(文春新書)などがある。最新刊は「立石一真評伝 『できません』と云うな」(ダイヤモンド社刊)。

この連載について

経済危機後の今も好調・堅調な業績をあげる経営者たち――。しかし、彼らは順風満帆にこの地位を築いてきたわけではない。どのように逆境を乗り越え、成功を導いてきたのか。経営者たちの「不屈の精神」に迫る。

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