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藤井英敏 株式市場サバイバル!

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3月相場は「ゆうちょマネー」の動向がカギを握る

 とうとう、米国のシティグループが実質的に国有化されます。

 米政府は現在保有するシティの優先株のうち、最大250億ドルを議決権のある普通株に転換し、シティ株の最大36%を保有します。また、シンガポールの政府系ファンド(SWF)であるGICや、サウジアラビアのアルワリード王子ら海外投資家も優先株の転換に応じる見通しです。

 米政府やSWFなど政府系の持ち分合計は54%と半数を超え、さらに08年前半に公募優先株を購入した株主の比率が21%ですから、転換後は金融危機後に増資に応じた株主が75%と、議決権の4分の3を握る株主構成となります。

 実質国有化を受け、2月27日のシティの株価は1.50ドルと、前日比0.96ドル(39.02%)安となりました。大幅な希薄化が嫌気された格好です。また、ムーディーズはシティの格付けを従来の「A2」から1段階引き下げ「A3」とし、S&Pは格付けを「A」に据え置いたものの、見通しをネガティブに変更しました。

 ですが、シティへの政府の関与が一段と増したことで、シティ破綻リスクは大幅に後退し、且つ、不良債権処理がスピーディーになる可能性が高まったと、今後、ポジティブに評価されることでしょう。

 なお、米金融株が反発に転じるのは、「ストレステスト」終了後でしょうね。米政府は4月までに大手銀のストレステストを実施し、公的資金も活用して、金融機関に対して十分な水準の資本を確保させることを目指しています。

 テスト終了後、一体いくらの公的資金を注入すれば、大手銀が十分な水準の資本になるかの「総額」が判明すれば、金融株は底入れする可能性が高いとみています。逆に「総額」がわからないうちは、希薄化懸念で、不安定な動きを続けるでしょう。

ゆうちょ銀行マネーが
金融危機対策に使われる?

 一方、日本ですが、ゆうちょ銀行が、第一生命保険に対して資本増強につながる劣後ローンを500億円供与する方向で最終調整に入ったと報じられています。

 ゆうちょ銀行では、民営化前は認められていなかった株式の直接売買が07年12月から可能になるなど、運用の自由度が高まりました。しかし、200兆円規模の郵貯マネーのうち、大半を国債が占めています。08年9月末の資産構成では76.1%が国債です。

 今後、政府・与党はこの郵貯マネーを活用した金融危機対応策を打ってくる可能性が高そうです。まずは、金融機関の資本増強となるようですが、今後は、個人・法人向け融資解禁、さらには、株価対策用資金にも活用されるかもしれません。

 民営化されたとはいえ、現時点では、政府が100%株式を保有する持ち株会社(日本郵政)の子会社ですからね。表向きはともかく、実際のところは、政府の意向に沿った資産運用をせざるを得ないでしょう。

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著者プロフィール

藤井英敏
(カブ知恵代表取締役)

早稲田大学政経学部卒。日興證券、フィスコ等を経て05年に「カブ知恵」を設立。説得力のある解説で個人投資家に絶大な人気を誇る。雑誌「ダイヤモンド・ザイ」で2000年創刊時からレギュラーアナリストとして活躍。

この連載について

「100年に1度」の急変相場を生き残る! 個人投資家から絶大な支持を得ている筆者が、相場状況に応じた投資スタンスを毎週直伝します。

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