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広瀬隆雄 世界投資へのパスポート

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低金利とボラティリティ低下が好環境!
話題の「ドル・キャリー・トレード」とは?

【今回のまとめ】
1.「ドル・キャリー・トレード」とは、米ドルを売って、高金利通貨を買う取引を指す
2.「キャリー・トレード」を続けるためには、トレード要件が動かない方がよい
3.その意味では、現在は好環境が続いている

 最近、「ドル・キャリー・トレード」という言葉をよく耳にします。そこで今回は、「ドル・キャリー・トレード」のお話をします。

 「キャリー・トレード」とは通常、金利コストの低い国で資金を調達し、金利コストの高い国の投資対象で運用するなど、2つの市場間、ないしは2つの証券間での利回りの差に着目した投資戦術を指します。

 かつては、日本の金利水準が他の国々と比べて低かったために、日本円で調達し、高金利通貨国で運用するということがよく行われました。いわゆる「円キャリー・トレード」です。

 また、「キャリー・トレード」の「キャリー」は「保有し続ける」という意味です。つまり、保有し続けることによって、その期間が長ければ長いほど、投資利益は増えるのです。

 我々が株式投資をする際、配当に関する議論を除外すれば、通常は、その株の値上がりを期待して株を買います。

 これに対して「キャリー・トレード」の場合、例えば為替レートなど、それを成立させるさまざまな要件が、その投資ポジションを保有し続ける期間を通じて、動かない方がありがたいのです。

なぜ今「ドル・キャリー・
トレード」が旺盛なのか?

 さて、2008年の秋に金融危機がアメリカを襲ってから、アメリカの中央銀行である連邦準備制度理事会(FRB)は、景気テコ入れを図るため、政策金利を限りなくゼロに近づけています。

 さらに、FRBは「当面の間、低金利政策を維持する」とも明言しており、低金利がこの先続くことが、わかりきっている状況にあります。

 このため、金利コストという観点で見れば、足元の米ドルは世界で最もコストの低い部類に入っているのです。

 また、長期のすう勢としては、米ドル安傾向にあります。つまり「返すお金(米ドル)が少なくて済む」ということになり、これは、調達側のコストを最終的に割安にする1つのファクターとなります。

 以上、「ドル・キャリー・トレード」が話題になる背景にはこのような事情があって、「キャリー・トレード」が盛んになる素地ができ上がっていると言えます。

 前述したように、「キャリー・トレード」を行う環境としては、それを成立させるさまざまな条件が固定され、動かない方が好ましいのです。

 そして、FRBが「当面は利上げしない」と明言しているため、一見すると、現在の状況はしばらく変わらないだろうという印象があります。

 しかし、実際には景気の状況に応じて、FRBが「当面は利上げしない」という公式なスタンスを翻す状況は起こり得ます。

 これを誰もが心配していて、最近の為替市場が、株式市場、とりわけニューヨーク株式市場の動向に極めて敏感になっているのはこのためです。

 また、原油価格も、景気の強弱を推し量る指標として注目されています。原油は米国だけでなく、世界中で消費されていますので、中国を含めた新興国の景況感もある程度反映していると、最近の投資家は考え始めています。

 別の言い方をすれば、為替市場、株式市場、商品市況は極めて緊密な関係を構成しているということです。

 さて、上記のような原資産間のフィードバック(=影響し合うこと)と、それぞれの投資対象のボラティリティーは、どのような関係になっているのでしょうか?

 乱暴な言い方をすれば、最近の「ボラティリティー日照り」の状況が為替、株式、商品間の緊密性を一層強固にしたということになります。

 ちなみに、ボラティリティーとは価格変動の激しさのことであり、「値段のブレの大きさ」くらいに理解しておけばよいでしょう。

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著者プロフィール

広瀬隆雄
(投資顧問会社コンテクスチュアル・インベストメンツLLC代表)

慶応大学法学部卒業。三洋証券、S.G.ウォーバーグ証券(現UBS証券)、ハンブレクト&クィスト証券(現J.P.モルガン証券)を経て、2003年、投資顧問会社・コンテクスチュアル・インベストメンツLLCを設立。長年、外国株式関連業務に携わっており、特にBRICsをはじめとした新興国市場に詳しい。米国カリフォルニア州在住。

この連載について

BRICsをはじめ、中南米、アジアや東欧諸国など、新興国の経済事情に精通した筆者が、知られざる国の注目企業を分析。世界の株に視野を広げよう!

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