MRJ、5度目の納期遅延なら致命傷になる理由愛知県営名古屋空港に引き返したMRJ。高温の空気の漏れを検知する機器の不具合が原因だった Photo:読売新聞/アフロ

 三菱重工業傘下の三菱航空機が手掛ける「三菱リージョナルジェット(MRJ)」が8月下旬、米国へ飛び立ったが、機器のトラブルにより、2日連続で途中で引き返した。

 MRJの納入時期を4度、延期してきた三菱航空機にとって、2018年半ばの初号機の納入がさらに遅れることは致命傷になる。

 それを避けるために、試験飛行を行いやすい米国に早く機体を運び、安全運航の“お墨付き”である型式証明の取得作業をスピードアップさせる予定だった。だが、今回の失態で米国への機体到着は9月下旬以降にずれ込む見通しだ。

 トラブルの原因は空調の異常を検知するセンサーだ。2系統のうち一つの故障であり、通常の運航なら、そのまま飛ぶこともあるトラブルだった。政府関係者は「これまで出なかったマイナーな不具合が、重要局面で出るとは不運だ」としつつ、「引き返すのは慎重過ぎたのではないか」と指摘する。

縮小する先行者メリット

 三菱航空機関係者は「今回のUターンが納期に影響しないようにする」と話すが、MRJの顧客である航空会社は冷めた視線を送る。